瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

ビートたけし『たけしくん、ハイ!』(22)

銀河テレビ小説たけしくんハイ!」シナリオとの異同(15)
 昨日の続き。この辺り、TVドラマと『シナリオ』で展開は同じ。ただ録画を断念したためTVドラマを見返すことが出来ないので、以下『シナリオ』にて確認して行くこととする。
・第7回(4)古田④
 さて、第6回の最後、預かったまま着服してしまった出征時の餞別の返還を求められるのではないかとビクビクしている竹次郎(林隆三)真利子(木の実ナナ)夫婦に対して、『シナリオ』87頁下段11~17行め、

古 田「ところでねえ、竹さん。」
竹次郎「あン?」
古 田「今日はいい話を持って来たんだよ。」
竹次郎「いい話って?」
古 田「こりゃね、こりゃ、竹さん、絶対に喜ぶよ、/ウン。(茶わん酒をなめる。)」
  真利子と顔を見合わせて首をひねる竹次郎。

と、古田(綾田俊樹)は切り出そうとするのだが、とにかく30円を思い出させたくない竹次郎たちは第7回、酒を飲ませ金の話が出ないように話題が途切れないよう努め、果ては流行歌を歌って誤魔化そうとする。しかし結局、古田は思い出してしまい竹次郎は着服を認め、真利子は必ず返すと約束しようとするのだが、古田は「三十円ぽっち」と笑って許し、そこで漸く用件を切り出すのである。
 93頁上段3~19行め、

古 田「それよりね、竹さん、俺が今日来たのはさ、/ いい話なんだよ。どうだい、もう一ぺん、うるしの/ 仕事に戻ってみる気はないかい?」
竹次郎「うるしの?」
古 田「実はね、真面目な話なんだが、前の店の若/ 大将が持って来た話でね。今アメリカじゃ、うるし/ がえれえ人気なんだってさ。」
竹次郎「へえ。」
古 田「で、いい物なら、いくらでも引取るって、/ 向こうのバイヤーの人がね。」
竹次郎「バイヤーって?」
真利子「買手のことだよ。」
竹次郎「そうだろう。俺もそう思った。ウン、それで?」
古 田「で、若大将がさ、会社作って元の職人に集/ まって貰って、一旗上げようじゃねえかって話ん/ なってね。それで竹さんの事を捜してたんだよ。」
  ボーッとしている竹次郎。


 ここから真利子が本格的に割って入る。少し片鱗を見せているが、ここから1月16日付(19)に見た、TVドラマでは省かれてしまった『シナリオ』の第7回冒頭で信濃屋の主人と客の間で話題になっていた真利子の英語力が、いよいよ発揮されることになるのである。
 ところで、TVドラマでは「若大将」ではなく「若旦那」と言っていた。最後だけ『シナリオ』94頁下段1行めのまま「若大将」である。(以下続稿)