瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

白馬岳の雪女(46)

辺見じゅん「十六人谷」(9)『闇の祝祭』②
 現代短歌文庫と交換するような按配で単行本を借りて来た。書影は8月10日付(14)に貼付してある。以下、①単行本の内容を紹介しつつ、②現代短歌文庫を比較して対応関係を示しながら、内容をもう少し細かく見て置くこととしたい。
辺見じゅん『闇の祝祭』昭和62年12月25日初版発行・定価九八〇円・角川書店・141頁・四六判上製本
 私の見た本には帯はない。黒を基調としたカバー、裏表紙折返し下部にゴシック体白抜き横組みで小さく「カバー写真瀬尾明男」とあるが何を写したものだか分からない。カバー表紙とカバー裏表紙は同じ写真の左右反転。カバー背表紙は丸背で、白線でカバー表紙・裏表紙と区切られている。従って背景は写真ではなく黒地、但し私の見た本は下部が退職して紺色に見える。上部にカバー表紙と同じ標題を一列に縮小して示し、中央に白抜きイタリックと縹色の縦長明朝体で著者名、これはカバー表紙では青紫に見えるが地色と同じく褪色したのであろう。「辺見」を右に寄せて左に「henmi 」その下に「じゅん」と左寄せでその右に「Jun   」と添える。最下部にゴシック体白抜きの横並びでごく小さく版元名、これのみカバー表紙にはなかった文字である。カバー裏表紙、右端に白抜き・上寄せで、OCR-Bを横転させて「ISBN4-04-871250-0 C0092 ¥980E 定価九八〇円」最後の定価はゴシック体で縦組み。カバー表紙折返しは黒地で中央に白の横線。カバー裏表紙折返しも同様で、上部右に水色のゴシック体縦組みで「辺見じゅん」の紹介。見返し(遊紙)の用紙は黒。
 扉はやや厚い紙で表はやや紫がかった黒地で、中央やや上にカバー表紙と同じ標題・著者名を縮小して入れる。著者名は紫。下部中央にゴシック体縦組みでごく小さく版元名。裏は白地で、ここに前回、②52頁上段中央に、小さい活字で「アーネスト・ヘミングウェイの名言を引用している」とした、Ernest Hemingway(1899.7.21~1961.7.2)の文がエピグラフとして掲げられている。

幸運にも、
若き日の一時期を
パリで過ごした者には、
その後の人生をどこで送ろうとも、
パリの日々は
終生ついて離れない。
パリは移動する視察だからだ。
     アーネスト・ヘミングウェイ


 ②ではこのようになっていたが、どうも妙である。そこで①を見るに、上部に明朝体でごく小さく7行、そして下部にゴシック体でごく小さく「アーネスト・ヘミングウェイ」とあるのだが、上段の7行めは「パリは移動する祝祭だからだ。」となっている。――「視察」とは何じゃらほい、と思っていたのだが、スキャナが「祝祭」を読み取り損ね、編集部も校正漏れ、辺見氏もまさかこんなところが間違うとは思わずに見落としたのであろう*1。似ていると云えば、辺見と Hemingway も似ている。未確認だが『移動祝祭日』の一文のようだ。
 1頁(頁付なし)「目次」の扉、2頁上段に「Ⅰ」下段に「Ⅱ」3頁上段に「Ⅲ」下段に「Ⅳ」と「あとがき」。3頁右下に明朝体横組みでごく小さく「本歌集では/ルビは新がな/遣いとした。」とある。4頁(頁付なし)は下部中央に縦組みで小さく「book design――菊池信義」とある。
 5頁(頁付なし)は「Ⅰ 桃 の お ぼ ろ 世」の扉。以下、見開きの右頁に1首、左頁に2首を掲出。①は1首を2~4行に分かち、必ず上の句と下の句を改行しているが、②は2行に詰めて、下の句の途中で改行することになっている。
・①5~38頁②52頁下段~58頁上段、連作4篇。
「野の停車場」①6~10頁②52頁下段2行め~53頁上段、7首。
「大津絵」①11~25頁②53頁下段~56頁上段4行め、23首。
 「Ⅰ」①11~17頁3行め②53頁下段2行め~54頁下段4行め、10首。
 「Ⅱ」①17頁4行め~20頁②54頁下段5行め~55頁上段6行め、5首。
 「Ⅲ」①21~25頁②55頁上段7行め~56頁上段4行め、8首。
谷戸は武蔵野」①26~33頁②56頁上段5行め~57頁上段、11首。
「妣の国」①34~38頁②57頁下段~58頁上段、7首。
・①39~75頁②58頁下段~65頁上段「Ⅱ 比叡暮れたり」も連作4篇。
「雪のまほろば」①40~51頁②58頁下段2行め~56頁上段4行め、18首。
 「Ⅰ」①40頁2行め~44頁②58頁下段3行め~59頁下段4行め、7首。
 「Ⅱ」①45~51頁②59頁下段5行め~60頁、11首。
「額髪」①52~59頁②61~62頁上段、11首。
 「Ⅰ」①52頁2行め~56頁②61頁上段2行め~下段、7首。
 「Ⅱ」①57~59頁②62頁上段、4首。
「縄文破片」①60~69頁②62頁下段~64頁上段、15首。
 「Ⅰ」①60頁2行め~63頁2行め②62頁下段2行め~63頁上段4行め、5首。
 「Ⅱ」①63頁3行め~69頁②63頁上段5行め~64頁上段、10首。
「海やま」①70~75頁②64頁下段~65頁上段、8首。
・①77~107頁②65頁下段~70頁「Ⅲ 螢の樹」も連作4篇。
「紺のほとり」①78~83頁②65頁下段2行め~66頁上段、8首。
「浮人形」①84~90頁②66頁下段~67頁下段2行め、10首。
「精霊とんぼ」①91~97頁②67頁下段3行め~68頁、11首。
 「Ⅰ」とあるが「Ⅱ」がない。
「推定海峡」①98~頁②69~70頁、15首。
 「Ⅰ」①98頁2行め~104頁②69頁上段2行め~70頁上段4行め、10首。
 「Ⅱ」①105~107頁②70頁上段5行め~下段、5首。
・①109~140頁②71~76頁上段「Ⅳ 立山曼荼羅」は連作3篇。
「斉唱」①110~119頁②71頁上段2行め~72頁下段4行め、15首。
「十六人谷」①120~129頁②72頁下段5行め~74頁上段、14首。
「椿を焚く」①130~140頁②74頁下段~76頁上段4行め、16首。
・①141頁②76頁下段~77頁上段「あとがき」は「昭和六十二年十月二十七日、父の十三回忌に寄せて」。
 裏は白紙で奥付、その裏も白紙。(以下続稿)

*1:入力担当者が老眼で「祝祭」を「視察」と読み間違え、以下辺見氏に至るまで皆老眼でチェック出来なかった可能性もあろうか。私の実感としても。