2019年12月22日付(1)に①上製本と④並製本(オンデマンド版)についてメモして置いた。①上製本のカバーについては2020年3月14日付「日本の民話35『越中の民話』(4)」に、色違いの第一集カバーと比較しつつメモしてある。
1~2頁「は し が き」から内容について説明した箇所を抜いて置こう。1頁13行め~2頁1行め、
いまから十二年前、昭和三十八年に、伊藤・佐伯両氏と共編にて、越中の民話集第一集を出しました。その後、私/ひとりで新しく県下を採訪し、今般、民話九十八篇とわらべ歌六十三篇を編集、第二集を出す次第であります。本集/では、山里・海辺・町村の三部に区分し、それに笑い話の三群と九十余歳の老媼の話を配しました。また、前集にく/【1】らべて、長篇を多くし、語り口としてできるだけ方言を使って再話してみました。‥‥
注意されるのは謝辞に人名を列挙したところ、2頁5~6行め「‥‥。特に、NHK北海道北見放送局在勤の岩井正氏、県内では北沢俊嶺・成瀬昌示・橋本芳雄・佐伯安一・/太田久夫・水上秀夫・永田陶吉の諸氏から‥‥」とあって『第一集』の共編者のうち佐伯氏は見えるのに伊藤氏の名がないことである。
3~9頁(頁付なし)「目次」、3頁は扉で左上に「越中の民話 第二集 目次」中央やや右下寄りに「こうろんござ」のイラスト、白文の「善」の印。
10頁(頁付なし)は右を上にした富山県の手書きの絵地図。県境と海岸線を太い墨線で描き、北から時計回りに「富山湾/日本海/新潟/中部山岳国立公園/長野/岐阜/石川」周辺の県の境は破線。県域内には縦長の枠に地名、これに地域を代表する話の題を1話ずつ横書きに下線、いくつかの話にはイラストを添える。県庁所在地からやはり時計回りに挙げて行こう。イラストのある話は題を仮に太字にして示した。[富山]按摩と狸、白菊の歌、[魚津]竜に化けた錨、[黒部]魔神と千本槍、[入善]大名の奥方になった娘、[朝日]尼さのひとり合点、[宇奈月]雪女、[上市]力持ちの六兵衛、[立山]狸かと思はれた役者、[大山]福禄寿の頭と冬瓜、[八尾]山の神、[山田]山田男と白滝姫、[井波]愚者につける薬がない、[城端]ことしやみせん、[福光]蛙になったぼたもち、[砺波]婆さの正体化狸、[小矢部]むじながくれた大判小判、[高岡]蟹に負けた猿、[氷見]天狗の碁うち。
以下、①上製本第三刷に拠りながら、細目と話者について見て置く。
11頁(頁付なし)「山家のいろりばた」の扉。
【1】三つ山長者(13~15頁)挿絵13頁左上
話手 氷見市角間 井田幸二郎
【2】猿と兎と蛙の正月遊び(16頁)
話手 富山市和合町 高橋源重
【3】熊の裁判(17~18頁)
話手 下新川郡入善町 奥田新作
【4】狐に化かされたご坊さま(19~20頁)
話手 富山市和合町 高橋源重
【5】縄が池の女郎さまとの約束(21~24頁)
話手 東礪波郡城端町 前田宅次郎
【6】なめくじらとへびとかさばば(25~26頁)
話手 婦負郡八尾町 成瀬岩松・初枝
【7】化けもん(27~28頁)挿図28頁右上
話手 婦負郡八尾町 成瀬岩松・初枝
【8】狼の目玉(29頁)
話手 氷見市南大町 余川久太郎
【9】笛吹き男と女竜との約束(30~32頁)
話手 下新川郡入善町 奥田新作
【10】蟹に負けた猿(33~35頁)
話手 高岡市戸出 野竹辰次郎
【11】蛙になったぼた餅(36~37頁)挿絵36頁上
話手 西礪波郡福光町 石崎しげ
【12】愚かな嫁選び(38~39頁)
話手 氷見市角間 井田幸二郎
【13】茶椀ころがし(40頁)
話手 婦負郡八尾町 成瀬岩松・初枝
【14】嫁入り竜女の忘れもの(41~43頁)挿絵41頁上
話手 魚津市本江 広田寿三郎
【15】すずめ(44頁)
話手 婦負郡八尾町 成瀬岩松・初枝
【16】山の神(45~46頁)
話手 婦負郡八尾町 成瀬岩松・初枝
【17】狐のだまし(47頁)
話手 婦負郡八尾町 成瀬岩松・初枝
【18】天狗杉のたたり(48~51頁)挿絵48頁上
話手 西礪波郡福光町 石崎しげ
【19】なまくら競べ(52~53頁)
話手 西礪波郡福光町 石崎与作
【20】小星垂れ(54頁)
話手 婦負郡八尾町 成瀬岩松・初枝
【21】雪女(55~58頁)挿絵57頁上
話手 下新川郡朝日町 大井四郎
【22】笑いの花束 1(59~66頁)挿絵65頁上
【22①】馬の糞を拾うていった小僧(59頁2~15行め)
話手 氷見市南大町 余川久太郎
【22②】和尚をやりこめた小僧(60頁)
話手 富山市和合町 高橋源重
【22③】鈍助の頓智(61~62頁10行め)
話手 下新川郡入善町 奥田新作
【22④】前口三間奥行七間の頭巾(62頁10行め~64頁12行め)
話手 西礪波郡福光町 石崎ユキ
【22⑤】だらな聟さの失敗(64頁13行め~66頁)
話手 富山市和合町 高橋源重
【23】山里のわらべ唄(67~72頁上段4行め)
(五箇山平村)10首、(五箇山利賀村)9首。
童歌は2段組。(以下続稿)