瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

赤いマント(326)

五木寛之の赤マント(14)
 五木寛之が接した赤マント流言については、2020年10月22日付(284)に一応の纏めをして置いた。昭和14年(1939)京城の三坂小学校1年生のとき「赤マント青マント」の噂に怯えたものと思われる。
 五木氏は、2020年10月8日付(273)に見た『七人の作家たち』所収の昭和56年(1981)のインタビューで、2020年10月10日付(275)に引いたように「赤マント青マント」について述べているのであるが、実は、もう少し前にも赤マント流言に触れていたのである。
瀬川拓男・松谷みよ子 編『日本の民話 12 現代の民話昭和四十九年一月二十五日 初版発行・定価八九〇円*1角川書店上製本(16.2×15.4cm)

角川文庫4767『日本の民話⑫ 現代の民話』昭和五十七年四月三十日 初版発行・定価420円・307頁 上製本の奥付には「編者」として「瀬川 拓男/松谷みよ子」の2名が挙がるが、文庫版のカバー表紙には「松谷みよ子・瀬川拓男・辺見じゅん」カバー背表紙「松谷みよ子/瀬川拓男/辺見じゅん」、1頁(頁付なし)扉「松谷みよ子・瀬川拓男・辺見じゅん」奥付「松谷みよ子・瀬川拓男・辺見じゅん」と3名となっている。但し編者(或いは著者)とはしていない。3頁(頁付なし)「目 次」の扉の下部には「再 話/ 松谷みよ子/ 瀬川 拓男/ 辺見じゅん」とある。
 上製本は扉の裏、左下に横長の明朝体横組みで、「監修/宮本常一 野坂昭如/編集/瀬川拓男 松谷みよ子/再話/松谷みよ子 瀬川拓男 清水真弓/口絵 さし絵/丸木位里 丸木 俊/装幀/中林洋子」とあって、カラー口絵が2葉、続いて1頁(頁付なし)「目 次」の扉の下部には「再 話/ 松 谷 みよ子/ 瀬 川 拓 男/ 清 水 真 弓」とある。清水眞弓は辺見じゅんの本名。すなわち、文庫版では「編者」ではなく「再話」の方を引き継いだ訳である。
 本書については日本の民話1『信濃の民話』や『現代民話考』との関連を細かく述べたいところなのだが、その準備にかまける余裕がないので、いづれ前々からの懸案であった『現代民話考』について検討する際に材料を集めて果たすこととして、今回は①上製本237~254頁②文庫版271~289頁の五木寛之の文章の、赤マント流言に触れた箇所のみ、取り上げることとする。①上製本237頁(頁付なし)は扉で中央上寄りに「私の民話論 生きている民話」とあり、左下に「五 木 寛 之」とある。②文庫版271頁1行め、1字下げで大きく「私の民話論」2行め3字下げで「――生きている民話――」と添える。2行分空けて3行め、3字下げでやや大きく「語り手と聞き手のつくる民話」と1章めの題、1行分空けて本文。289頁の最後、1行分空けて11行めに下寄せで「五 木 寛 之  」とある。
 ①上製本は238頁の初めに3行取り1字下げでやや大きく「語り手と聞き手のつくる民話」とある。この章は①238頁2~3行め(改行位置「/」)②271頁4~5行め(改行位置「|」)、

 私自身の体験的なことからお話ししようと思います。子供の頃、小学校にあがる前の一/時期は|今の韓国の片田舎に住んでいました。

とあって、京城に移る前の田舎での体験が回想されている。さらに①243頁5行め②277頁1行め、2章め「民話のデフォルメとアクチュアリティ」と、①250頁14行め~254頁13行め②285頁3行め~289頁10行め、3章め「エンタテインメントとしての民話」の3つの章に分かれているが、赤マントに触れているのは2章めの終り近くである。(以下続稿)

*1:定価は折込みの「新刊案内1974/1に拠る。