瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(178)

・杉村顕道の家系(5)
 2019年10月2日付(131)まで4回ほど、杉村顕道の生歿年月日や父兄の伝記資料など、断片的な蒐集に止まるけれどもメモして置いた。
 しかしながら、杉村氏については注目している人も少なくないので、長野県関係の著述の評価を適正なものにしたいと云う以上の希望のない私は、その後、余り読み返すことも調べることもして来なかった。――「白馬岳の雪女」について、杉村顯(道)『信州の口碑と傳説』の「雪女郎」を、青木純二『山の傳説 日本アルプスと、村澤武夫『信濃の傳説』『信濃傳説集』と比較する用意は、先月来出来ている。のだけれども、他のことにかまけて着手しないまま年を越しそうである。
 それはともかく、目下、長野県と富山県で刊行された書籍に「白馬岳の雪女」が載っていないか、探しているのだけれども、先月、たまたま借りた野田悠『信濃奇談夜話』と云う本が、12月6日付(177)に見たように『信州の口碑と傳説』の続篇である『信州百物語』の、剽窃本と云っても良いことに気付いた。問題としている「雪女郎」はもちろん「蓮華温泉の怪話」も収録されていないのだけれども、伝説集と云うものが大抵は先行する書物をそのまま引き写し、或いは「再話」しながら、表向きは古老から「採集」したかのように振る舞っている、その好例(?)と思われたのでメモを取って置くことにして、久し振りに『信州百物語』を再録している叢書東北の声11『杉村顕道怪談全集 彩雨亭鬼談』を借りに行った。その折、杉村氏の著書は都下の公立図書館には何点も所蔵されていないので「杉村顕道」で検索したところ、今夏、次の本が刊行されていたことを初めて知ったのである。
・叢書東北の声44『杉村顕道作品集 伊達政宗の手紙』2021年7月15日 第1刷発行・定価3000円・荒蝦夷・492頁・四六判並製本

 私は Twitter もやっているけれども、出しゃばらず(!)、当ブログ記事告知を Tweet するばかりで、Follow も Retweet もしていない。記事の告知もある程度目星の付いたものしか、していない。杉村氏の『信州の口碑と傳説』と『信州百物語』の出典研究については、Tweet したけれども、どの程度認知されているものだか、分からない。当時「蓮華温泉の怪話」の原話の初出である「深夜の客」を発掘した東雅夫*1Retweet されて、他の Tweet の何十倍だかの Activity があったのだけれども、それは東氏の Account を Follow している人の Account に表示された、と云うだけの話であって、実際に東氏の当ブログに関する Tweet に目を通した人は、その何十分の一もいなかったであろう。もちろん、Link してある当ブログの記事まで Click して閲覧した人になると更にその何十分の一である。しかし、多く印象のみで語られていたところを実証的に詰めた訳だから、それなりの自負はある。ただ、余り盛り上げる方向での発言ではないから、顕彰したい人たちは触りづらいかも知れない。しかしながら、私は印象だけでは駄目で実証を伴わないと実態を把握したことにならないと、信じている。冷静な査定を経て、初めて善きにつけ悪しきにつけ、正当な価値が明らかになるであろう。
 余計な話で長くなった。――『伊達政宗の手紙』は私の通っている図書館には所蔵されていないようなので、恐らく当ブログのことなど何ともしていないだろうから、いづれ機会があれば目を通すつもりで、先日、仕事の帰りに本の返却のために図書館に立ち寄ったら、新着本の棚に『伊達政宗の手紙』があったのである。そこで早速貸出を受けて、電車の来る間と車中で「解説」に目を通したのだが*2、案の定、当ブログには触れていなかった。当ブログが修正した事項についても、従来の理解のまま、書かれている。しかしながら、無視されたのではない。十分な理由のあることなのである。
 そして、何となれば肝腎な点は、私が自分で書きますから、と云う気分になっているのである。(以下続稿)

*1:【2021年12月14日追記】当初「東雅夫氏」としていたが、当ブログではフルネームに「氏」は付けないことにしていたので削除した。

*2:今日確認して見たら予約が入っていた。幾つか気になる点を来週までに記事にしてしまうつもりである。