・杉村顕道の家系(5)
2019年10月2日付(131)まで4回ほど、杉村顕道の生歿年月日や父兄の伝記資料など、断片的な蒐集に止まるけれどもメモして置いた。
しかしながら、杉村氏については注目している人も少なくないので、長野県関係の著述の評価を適正なものにしたいと云う以上の希望のない私は、その後、余り読み返すことも調べることもして来なかった。――「白馬岳の雪女」について、杉村顯(道)『信州の口碑と傳説』の「雪女郎」を、青木純二『山の傳説 日本アルプス篇』と、村澤武夫『信濃の傳説』『信濃傳説集』と比較する用意は、先月来出来ている。のだけれども、他のことにかまけて着手しないまま年を越しそうである。
それはともかく、目下、長野県と富山県で刊行された書籍に「白馬岳の雪女」が載っていないか、探しているのだけれども、先月、たまたま借りた野田悠『信濃奇談夜話』と云う本が、12月6日付(177)に見たように『信州の口碑と傳説』の続篇である『信州百物語』の、剽窃本と云っても良いことに気付いた。問題としている「雪女郎」はもちろん「蓮華温泉の怪話」も収録されていないのだけれども、伝説集と云うものが大抵は先行する書物をそのまま引き写し、或いは「再話」しながら、表向きは古老から「採集」したかのように振る舞っている、その好例(?)と思われたのでメモを取って置くことにして、久し振りに『信州百物語』を再録している叢書東北の声11『杉村顕道怪談全集 彩雨亭鬼談』を借りに行った。その折、杉村氏の著書は都下の公立図書館には何点も所蔵されていないので「杉村顕道」で検索したところ、今夏、次の本が刊行されていたことを初めて知ったのである。
・叢書東北の声44『杉村顕道作品集 伊達政宗の手紙』2021年7月15日 第1刷発行・定価3000円・荒蝦夷・492頁・四六判並製本
余計な話で長くなった。――『伊達政宗の手紙』は私の通っている図書館には所蔵されていないようなので、恐らく当ブログのことなど何ともしていないだろうから、いづれ機会があれば目を通すつもりで、先日、仕事の帰りに本の返却のために図書館に立ち寄ったら、新着本の棚に『伊達政宗の手紙』があったのである。そこで早速貸出を受けて、電車の来る間と車中で「解説」に目を通したのだが*2、案の定、当ブログには触れていなかった。当ブログが修正した事項についても、従来の理解のまま、書かれている。しかしながら、無視されたのではない。十分な理由のあることなのである。
そして、何となれば肝腎な点は、私が自分で書きますから、と云う気分になっているのである。(以下続稿)