瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

成瀬昌示 編『風の盆おわら案内記』(8)

・新版と定本の比較④
 1月15日付(4)に【風の盆案内】の組み方と、3段め最後の②新版は謝辞、③定本は改訂についての断り書きを抜いて置いたが、もう少し細かく見て置こう。
 1段め、まづやや大きく【風の盆案内】とあるが、②は3行取り2字下げであったのが③は2行取り字下げなしになっている。
 1項めは1段め2~13行め、②の8行めの途中まで抜いて置こう。

●祭り日
 毎年九月一・二・三日の三日間行/われる。曜日によって異なるが、近/年は一日~三日とも観光客で混雑す/るから、見学時間を考えて、宿泊先/など早めに予定を組むと良い。
 前夜祭として、‥‥


 2段落めは②と③で同文、組み方が若干異なる。③の見出しと1段落めは次のように変わっている。

●祭りの日
 毎年九月一・二・三日の三日間。一/日・二日は午後三時から一一時ま/で、三日は午後七時から一一時まで/催される。雨が降ると、野外の演舞/流しは中止となる。


 2項め「●祭り場」は1段め14行めから②は2段め3行め、③は2行めまで。1段落めは②は1段め15~20行め、③15~23行め。②の17行めの途中までを抜いて見よう。

 本番の三日間、一一町の大通りを/中心に午後から深夜まで練り踊りや/輪踊り、流しが行われるが、‥‥


 同じところが③では20行めまで、

 本番の三日間、一一町の通りを中/心に午後一一時まで輪踊りや流しが/行われる。時刻がくると各町会所に/町衆がつどい、輪踊りがはじまり、/町内流しから、やがて旧町の大通り/をまわる遠出の流しへと移ってゆく。/‥‥


 段落の残りは一致。
 ②の2段落めは観光客向けの踊りや催しについて述べるが、③はこれを2つの段落に分けている。
 3項め「●交通規制」は②は2段め4~8行め、③は3~7行め。②は3日とも5~6行め「午後三時か/ら翌朝午前一時まで」で③は終了時間は同じだが4行め「一日・二日の午後三時から」5行め「三日は午後六時から」と開始時間が異なっている。なお②は8行め「/(詳しくは駅等でチラシ案内を参照)」とあったが③にはない。当時はまだ駅に伝言板があったような時代だから、富山駅などに案内のチラシがあったのであろう。しかし、自家用車で来るような人が駅に寄るとも思えないから、このように断る意味は余りないような気がする。③がこれを削ったのは、別の理由もあるかも知れないが。
 4項め「●夜の流しでの心得」は2段め②9~13行め③8~12行め、同文で異同は最後が②「‥‥を謹みたい。」となっていたのが③「‥‥を慎みたい。」と訂正されていること。
 5項め「●交通」は2段め②14~20行め③13~20行め、富山駅からの[JR高山線]、富山駅前からの[富山地鉄バス]、そして②19~20行め、

[航空]富山空港よりタクシーで15/分。(当日は通常の倍の所要時間)

とあったのが、③18~20行めは、

[空路のばあい]富山飛行場よりタクシ/ーで15分。(ただし、風の盆当日は通常/の二倍ほどの所要時間となる)

となっているが「富山空港」が飛行場になっているのが変だし括弧内の加筆も必要だと思われない。
 6項め、②2段め21~29行め「●宿泊施設」は③21~29行め「●宿泊」となっている。②は旅館やホテルを7つ列挙して電場番号を示しているばかりであったが、③は旧町の中心にある2つの名と、新たに出来た町立の「ゆめの森ゆうゆう館」を挙げ、24~29行め、

‥‥、祭り当日の宿泊予約は/早くから満員、祭りを味わうには旧町で/の宿泊が望ましいが、それには前年から/宿泊先を探しておく工夫が必要となる。/バス旅行では、滞在時間その他、前もっ/て現地事情をよく知っておくとよい。

と断っている。②が出た頃にはまだ泊まれなくもなかったのが、③のときには電話番号を載せる意味もなくなっていたのであろうか。しかし、最後のバス旅行云々は日帰りツアーを指しているのでもなさそうで、少々意図を取りづらい。
 7項め「●ウェブサイト」は③2段め30行め~3段め3行めに新たに追加されている。宿泊施設の電話番号を載せなくなったのも、駅等でチラシを配布していることに触れていないのも、やはりインターネットの普及が理由として考えられるであろう。(以下続稿)