昨日の続きで、①『昔話・伝説小事典』3頁「凡 例」7項目(2~27行め)と③『昔話・伝説を知る事典』8頁「[凡例]」8項目(2~17行め)の比較の続き。
①の6項め(14~25行め)は参考文献について。③では7項め(12~15行め)に当たるが、12行め「一、参考文献は*表示の下に付した。なお、右の3人の全集・著作集は略記した。」として13~15行めに2字半下げで1行ずつ『折口信夫全集』『定本柳田國男集』『関敬吾著作集』について、巻数、年号で刊年、版元を列挙。「略記」とあるが略称はここに示されていない。それから縦組みなのに後の行を「右の」と云うのはおかしい。①では14~18行め、
6. 参考文献は主要なものに限り〔参〕の略号で/ 示した。単行本は『 』,論文は「」を付した。
なお,下記三人の全集・著作集に限り,正式/ 名を省略し略記した。
例記-柳田國男「赤子塚の話」(定本12),‥‥
として18行め以降は活字を小さくして、20行めまで折口信夫は(全集5)、関敬吾は(著作集2)と略記の例を、ともに論文名は「―――」として示し。21~24行めに『折口信夫全集』『定本柳田國男集』そして25行め、2字下げで「『関敬吾著作集』全9巻,昭和55~77,同朋舎出版」とあるが③15行めは「『関敬吾著作集』全九巻、昭和五十五~五十七年、同朋舎出版」と訂正されている。
①の7項め(26~27行め)は執筆者名の表示についてで、③では6項め(11行め)で少し書き換えてある。
これら、参考文献と執筆者の表示は前回「学校の世間話」項(米屋陽一)にて、それぞれの実例を確認してある。
③の5項め(10行め)と8項め(16~17行め)は①にはなかったもので、8項めは巻末の日本地圖「各地に伝わる昔話・伝説」の説明。5項めは次の通り。
一、本文中、( )内に地名の表示があるものは、二〇二一年時点の現在地表示を入れた。
とあって、例えば③31頁「産湯水」項(矢口裕康)は伝承地を13箇所挙げているが、4番め「岡山県真庭郡勝山町(現・真庭市)」8番め「奈良県磯城郡桜井町(現・桜井市)」10番め「千葉県安房郡天津小湊町(現・鴨川市)」11番め「奈良県君津郡小糸町(現・君津市)」とこの「現在地表示」が追加されているのだけれども、勝山町と天津小湊町は2005年まで存在していたから良いとして、桜井町は昭和31年(1956)に市制施行して桜井市になっている。小糸町は昭和45年(1970)に君津町に併合され、君津町は昭和46年(1971)に市制施行して君津市になっているのである。すなわち、①は昭和62年(1987)刊行なのだから*1、依拠した資料に古い地名で出ていたとしても、8番めは「奈良県桜井市」11番めは「千葉県君津市」とするべきであった。ちなみに天津小湊町と小糸町は昭和30年(1955)に合併により発足しているので、これら地方自治体が併存していた時期は昭和30年から昭和31年までのごく限られた時期である*2。(以下続稿)