瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

全国歴史散歩シリーズ13『東京都の歴史散歩』(5)

②新書判(3)
 昨日の続きで頁付のない附録に当たる部分及び奥付等について見て置こう。1版1刷の上中下3冊揃と、『上』1版10刷『中』1版8刷『下』1版7刷の比較。
 附録部分は4頁(頁付なし)、1~3頁めは日本史の教科書の附録みたいな参考図で1版1刷の3冊と『下』1版7刷は同じ。そして『上』1版10刷『中』1版8刷が一致する*1。すなわち『中』1版8刷よりも新しい『下』1版7刷が改訂されないままになっている。ここでは仮に『上』1版1刷1版10刷とを代表させて比較してみよう。
 仕切りは「|」で示した。「▼」となっているのは横組みで上に入っている見出し、「▲」は縦組みで左に入っている見出し。
 1頁め、1版1刷「▼縄文土器の変遷 (縄文時代)/▼石器のいろいろ (縄文時代)|▼弥生土器 (弥生時代)/▼青銅器いろいろ (弥生時代)|▼古墳の形式 (古墳時代)」1版10刷「▼縄文土器のいろいろ|▼石器のいろいろ|▼弥生土器/▼青銅器いろいろ|▼古墳の形式
 縄文土器1版1刷は最上段に4点、左から「草創期早 期前 期中 期」2段め左に「後 期晩 期」の2点。1版10刷は最上段のみ仕切って「草創期前 期中 期晩 期」の4点、同じ写真を並べる。
 石器は1版1刷縄文土器の5・6点めの下にあって2段に並べる。上段左から「石槍打製石斧磨製石斧」下段左から「石匙石鏃」。1版10刷は中央左に縄文土器とは仕切って、まづ「旧石器時代」として3種、キャプションなしで棒に縛り付けた状態のイラスト2点を添えて、石槍2点と石斧1点の合計3点を示し、続いて「縄文時代」として1版1刷と同じ5点、但し「石槍」はキャプションのみで写真がなくなっている。『上』1版10刷『中』1版8刷の1年後の刊行だが修正されていない。1版1刷は土器と同じ縄文時代の石器に限っていたので仕切っていなかったが、1版10刷旧石器時代も入れたので仕切ったのである。
 中央右に仕切りなしでで上に弥生土器3点でキャプションがないのは同じ。下に青銅器が4点、1版1刷は上左に「銅鐸」上右にその下に「銅剣銅鉾」を並べるが、1版10刷は「銅鏡銅鐸」の順で左右が入れ替わっている。同じ弥生時代ということで仕切りなしなのだが1版10刷は見出しに(時代)を添えていないのでその含意がやや分かりにくい。
 下部の古墳は同じ。
 2頁め、1版1刷「▼建物細部の部分名称/▲塔の部分名称(法隆寺五重塔)|▲鳥居の部分名称/▲狛 犬|▲石 塔1版10刷「▼建物細部の部分名称(合成図)/▼四脚門/▼瓦のいろいろ|▲石 塔|▼神社本殿(流造)/▼鳥居の部分名称/▲狛 犬
 上部の建物細部の部分名称、右下から左下に移った石塔、1版1刷では石塔の上にあったが1版10刷では右下になっている狛犬、その上の鳥居は同じ。東京都には江戸時代初期の五重塔池上本門寺と上野(旧)寛永寺にあるくらいだから、それよりも役に立ちそうな3図に差し替えたものか。
 3頁め、1版1刷「▼仏像のいろいろ|▼蓮華座の部分名称」は、1版10刷では「▼仏像のいろいろ」のみになっている。1版1刷は上左「如來像薬師寺金堂薬師如来像)」上右「菩薩像薬師寺東院堂聖観音像)」中左「天 部浄瑠璃寺毘沙門天像)」中「明王(東寺御影堂不動明王像)」中右「羅漢部興福寺富楼那像)」下左「垂迹関係(熊野十二所権現懸仏)」下右が蓮華座。最下部左寄りに小さく「(小社『図解文化財の見方』,その他による)」とある。1版10刷は上左「如来」上右と中右「明王天 部」そして下左と下右「菩薩部」の3つに仕切る。如来は(平等院鳳凰堂阿弥陀如来像)に差し替え、明王部と天部、そして菩薩部の下左は1版1刷に同じ。下右(嶺南寺宝珠錫杖地蔵菩薩像)が新たに加えられている。すなわち羅漢部と垂迹関係、そして参考にした文献が省かれている。
 4頁め「元号索引『上』『中』1版1刷は「昭和 1926―」だったのが『下』1版1刷は「昭和 1926―1989」となり「平成 1989―」が挿入される。『上』1版10刷『中』1版8刷『下』1版7刷も同じ。(以下続稿)

*1:6月10日追記】『中』1版6刷・1版7刷も同じ。