瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

武蔵野文化協会 編『武蔵野事典』(1)

・武蔵野文化協会 編『武蔵野事典』2020年9月10日 初版発行・定価12,000円・雄山閣+690頁・A5判上製本

 書影は帯が掛かったものらしく、私の手許にあるカバーでは紫地の箇所には、最下部中央に行書体白抜きで「雄 山 閣」とあるばかりである。
 見返し(遊紙)は淡い黄緑色。
 次いでアート紙のカラー口絵が16頁(頁付なし)、そして僅かに金を散らした扉がある。本書の由来については、ⅰ頁、武蔵野文化協会 会長/坂詰秀一「刊行の辞」とⅱ頁中~下段【凡 例】に記述がある。
 すなわち「刊行の辞」冒頭、4~8行め、

 鳥居龍蔵博士を主宰に「武蔵野の自然並に人文の発達を研究し且つ其の趣味を普及するを目的」として、一九一六/(大正五)年七月一八日に創立された武蔵野会は、武蔵野を好み愛でる井下清氏を筆頭に、文化人・学者・趣味かなど/あらゆる人びとを網羅し、「一視同人」を規範として発展してきました。
 機関誌『武蔵野』は、一九一八(大正七)年七月七日に創刊号を刊行し、一九四八(昭和二三)年七月六日に発展的に/改組した武蔵野文化協会に引継がれ、百年を超えて三六〇号を重ねてきました。‥‥

とあるが、この辺りのことは2021年11月6日付「白石實三『武藏野から大東京へ』(1)」にて少し触れたことがあった。それはともかく、13~15行め、

 この度、『武蔵野』創刊百周年事業として、『武蔵野事典』を刊行いたしました。会関係者を中心に多くの人びとの/ご協力を得て、自然・環境・考古・歴史(古代・中世・近世・近現代)・民俗・文学・地誌・文化財の項目と年表、加/えて「武蔵野文化人名録」を収録することが出来ました。‥‥

と、21行め「二〇二〇(令和二)年 六月」付だから100周年からは2年ほど遅れているが、本書の企画された理由が説明されている。
 しかしながらⅱ頁中~下段【凡 例】を見るに(上段は【執 筆 者 一 覧】)11項のうち1項めに、

一、本書は、武蔵野文化協会(前身/ 武蔵野会)の機関誌『武蔵野』創刊/
 一〇〇周年の記念号である。

とあるのである。「刊行の辞」に「『武蔵野』創刊百周年事業」とはあったけれども「記念号」などと云ってはいなかったし、奥付にも別に「『武蔵野』別冊」など雑誌との関連を断ったりしていない、普通の書籍の奥付になっている。カバーにも何の断りもない、見た目も厚みのある丸背の上製本である。
 すなわち【凡 例】以外に「記念号」に関する記述がない(らしい)ので、地元の市立図書館で借りてこれらの記述を眺めたとき、何とも奇妙な感じがしながら、何となくそのままにしていたのだが、その後、隣の市の図書館に出掛けた際、郷土資料の棚を眺めていて、ふと、紫色の分厚い表紙に白抜きで「武蔵野」とした、雑誌らしきものがあることに気付いたのである。よく見ると毛筆の題字の下にゴシック体白抜きで小さく「第九十五巻 第 一・二 号/(通巻三五九・三六〇号)」とあり、その下にやはりゴシック体白抜きで「特集武蔵野創刊一〇〇周年記念号/    「武蔵野事典」」とある。厚みからしても先に地元で見た上製本の方は、この「記念号」をほぼそのまま書籍に仕立てたものらしいと思って借りて帰り、そしてその後地元の図書館で上製本の方を借りて、比べてみたのである。(以下続稿)