瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

武井一郎夫妻殺し(1)

 一昨日まで検討した『ふるさと板木』は、存在は知っていたものの何となく見ることなく過ごしていたのであったが、国立国会図書館デジタルコレクションが「個人向けデジタル化資料送信サービス」を始めて、従来[国立国会図書館/図書館送信参加館内公開]であったものが[国立国会図書館/図書館・個人送信限定]として個人の端末でも閲覧出来ることを知って、5月19日のサービス開始日の前に登録を済ませるほど私は段取りが宜しくないのだけれども、その頃から手続きを始めて、母校の卒業証明書の申請のときに顔写真入り身分証明書を提示するよう言われて、運転免許証を持っていないし今から免許を取ろうとも思っていないのでしぶしぶ取得したマイナンバーカードが役に立ったことだった*1。しかし、マイナポイントは申請しない。得かも知れぬが、税金の無駄である。同様に、ふるさと納税も利用しない。使えば得かも知れぬが、訳の分からぬ制度に与したくないのである。
 それで、5月末から国立国会図書館デジタルコレクションの「個人向けデジタル化資料送信サービス」を利用して、道了堂の記述があると見当を付けていた文献の内容を確認することが出来、さらに未知の文献にも幾つか逢着した。しかしなかなか『ふるさと板木』を取り上げるような段取りに持って行く(と云うほど構成に注力している訳ではないが)ことが出来ないまま、ようやく、道了堂の妙見菩薩に触れた山田桂子「「絹の道」をゆく/――東京・八王子市鑓水にて――」の関連で『ふるさと板木』に触れる必要(?)に迫られ、4ヶ月越し(!)の懸案を果たすことが出来たのである。
 その序でに、たまに当ブログ記事の閲覧がある、2020年5月28日付「伊藤正一『黒部の山賊』(5)」に触れた、昭和21年(1946)7月9日の濁小屋慈恵医大生殺傷事件について、警察関係の文献に当たってみようと云う気になったのである。
 そうすると、この事件については長野県警察本部警務部警務課『長野県警察史』犯罪編(昭和三十三年六月二十五日印刷・昭和三十三年七月 一 日発行・長野県警察本部・前付+398頁)41~398頁「第2章 県下発生犯罪*2」の137頁下段12行め~398頁「第二節 昭 和 時 代」185頁下段~398頁「終  戦  後」の2例め、188頁上段22行め~193頁上段3行め「慈恵医大生殺し銀めし事件」に、東京高裁の判決文の抄録を長々と引用する形で取り上げてあることが分かった。『黒部の山賊』の記述とは印象が異なるように感じたが、今『黒部の山賊』が手許にないので、詳しくは機会を改めて検討することとして、事の序でに、この本の内容を眺めて置こうと思ったのである。しかしながら、ここから後を見るのは頁数が多くて骨が折れそうなので、差当り、遡って見ることにした。137頁下段13行め~185頁上段「終  戦  前」を眺め、それから43~137頁下段11行め「第一節 明 治、大 正 時 代」では、43頁上段2行め~66頁「明 治 時 代」の、肝取勝太郎の事件について、赤マント流言に生肝取りが絡まないでもないので、今後取り上げるかも知れないと思ったのである。67~137頁下段11行め「大 正 時 代」で有名なところと云えば109頁下段2行め~112頁下段10行め「吹上佐太郎少女絞殺事件」になるだろうか。これは2014年5月23日付「松本清張『死の枝』(3)」に取り上げた中公文庫『犯罪の通路』に「少女殺人魔吹上佐太郎」と題する回想があったが、この中野並助の著書も初版本の『犯罪の縮圖』がやはり「個人向けデジタル化資料送信サービス」で居ながらにして閲覧出来るようになっている。松本清張が『死の枝』の1篇「家紋」に取り上げた「赤毛布を着た殺人魔」等とともに読み直そうかと云う気になったのであるが、しかし、これら、近年の犯罪を扱った書物や記事などにも取り上げられることのある、元より私も既に知っていた有名な事件よりも私の注意を惹いたのは、吹上佐太郎の次、112頁下段11行め~124頁上段17行めに載る「武居夫妻殺人事件」なのであった。
 この被害者は、国立国会図書館の「著作者情報 公開調査」に出ているのである。

著者情報
著者名 武井一
生年
没年
関連情報1 長野県属 調製委員長
関連情報2
著者別名


 そして、リンクとともに以下の断り書きが挟まる。

情報をご提供くださる方はこちらへ
 
・情報をご提供くださった方には、当館からご連絡を差し上げることがあります。恐れ入りますがご協力をお願いいたします。
・ご提供くださった情報の一部は、著作権関連の手続き以外に、当館のウェブサービスで公開させていただく場合があります。(著作者の読み仮名、生没年、肩書及び情報源等。ただし、書誌データに採録されない著作者の情報、(著作者以外の)著作権者や情報提供者の情報は除く。)
著作権の確認は著作物ごとに行っており、著作者の情報が不明でも、著作物の著作権について問題ないと判断した場合は、インターネット公開している場合があります([公開状況]の表示は「インターネット公開(保護期間満了)」)。


 そして「著者関連資料」として、国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている武井一郎編『長野県現行学事諸則』(長野・長野活版社・1884)武井一郎 凡例『信濃國全圖』(長野・嶋津得二・1899)武井一郎 著『天竜道人事迹考』(長野・武井一郎・1916)の3点のリンクが示されていた。
 現在、この「著作者情報 公開調査」の武井氏のページはなくなっている。それは私が以下の情報提供をしたからである(はず)。

提供情報入力確認
対象著者情報
著者名 武井一
著者の情報 大正12年(1923)10月4日死去(殺害)
情報源 『長野県警察史』犯罪編112頁 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3001557 「武居」ともあるが郡長(小県郡長)や日赤長野支部主事の経歴から「武井」が正しいものと思われます。
ご連絡先(あなた様)
(※) 氏名 ‥‥
(※) 連絡先 ‥‥


提供情報送信完了
提供情報の送信が完了しました。
受付番号は DD-0000001477 です。


 もちろんこれは怱卒の間にざっと調べて出した結論を送信したもので、知り得た情報の何分の1かに過ぎず、かつ、その後もぼちぼち追加している。そこで、しばらく、この埋もれてしまった人物と事件について、知り得たことを述べてみたいと思うのである。(以下続稿)

*1:もちろんマイナンバーカードもすぐに取得出来る訳ではないので、卒業証明書は今回は特別に、みたいな按配で発行してもらった。今度はないと発行しないみたいなことを言われたので、作ったのである。

*2:但し「長 野 県 警 察 史 目 次/―― 犯  罪  史  編 ――」の1頁め8行めには「第二章 県下に発生した重要特異犯罪」とある。