瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

赤いマント(361)

 一昨日からの続き。
・關寛之『日本児童宗教の研究』(3)
 この研究の目的、経過、調査方法、調査対象、期間等は三~九九頁「序説」に説明されている。
 当初、この「序説」の内容についても細かく確認する必要があると思って、それが私をして本書を取り上げるのを後回しにさせていたのであったが、昨日触れたように西脇氏の研究が遠からずこの辺りを隈なくフォローしてくれるはずなので、私としてはごく簡単に、当面関係しそうな箇所だけを見て置くことにする。
 四〇頁5行め~九九頁「C 研究の方法」八七頁15行め~九二頁12行め「3 研 究 の 範 圍」に細目を2字下げで列挙した中に、

迷信の傳播―實證的研究―幼稚園兒及び國民學校生徒の各群團に就き。民族的研究―その穩和傳播型―畠山六郞之墓の治病迷信、錢洗辨財天の貨殖迷信、眼無達磨の招福迷信の傳播。民族的研究―その急激傳播型―大正八年の和歌山縣西牟婁郡田邊町地方の豆奉納の流行、昭和七年の洛南の豆献げ、明治二十三四年の全國に亘るインフルエンザの呪符貼附の流行、維新當時のお札降り事件、昭和十一二年の東京都附近の赤マント事件等。高等宗教及び傳承の傳播の文献的研究―我が國に於ける切支丹の傳播、Der Schwank vom alten Hildebrand 中の詩篇の傳播。

とある*1
 これについて述べた本文を眺めて置こう。
 二七三~三八九頁「Ⅱ 兒童宗教の發達と迷信との關係」三一一~三四三頁5行め「E 迷 信 の 傳 播」三一一頁2行め~三一四頁11行め「1 迷信の傳播の實驗的研究」は、2020年5月13日付「同盟通信社調査部 編『國際宣傳戦』(10)」に見た『國際宣傳戰』の「五 日本と宣傳」の章の、「3 國内宣傳の實際」の節の、「G デマの傳播」の、実験例として挙がる「犬と辨當」と「遠足と子供」を先にして、「走行説」についてより詳細に述べた概説部分を後にしたような按配になっている。
 続く三一四頁12行め~三三三頁「2 迷信の傳播の民族的研究」の三一四頁13行め~三一八頁11行め「a 畠山六郞之墓の治病迷信」は『國際宣傳戰』に採られていないが、三一八頁12行め~三二二頁12行め「b 錢洗辨財天の貨殖迷信」と三二二頁13行め~三三三頁「c 眼無達磨の招福迷信の傳播」は2020年5月15日付「同盟通信社調査部 編『國際宣傳戦』(11)」に見たように、『國際宣傳戰』の「G デマの傳播」には、2020年5月14日付(244)に見た「赤マント事件」に続いて「目なし達磨」「錢洗辨財天」の順に、その要旨が紹介されている。
 ここまでは「序説」にあった「研究の範圍」に示された「民族的研究―その穩和傳播型―」の実例を順を追って、相当詳細に述べたものとなっているので、続く「民族的研究―その急激傳播型―」にも同様に詳細な記述がなされているものと期待したいところなのだけれども、残念ながらそうなっていない。その辺りは、次回眺めることとしよう。(以下続稿)

*1:ここは2020年に見たときには気付いていなかった。