2025-02-01から1ヶ月間の記事一覧
・高橋幸雄「灰色のノート」(9) 一昨日昨日と、高橋氏の遺稿集、随筆集『栴檀の花』の郡山澄雄 編「年譜」から、本作に関わる箇所に注意しながら高橋氏の学歴・職歴を摘記して置いた。 本当は国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧可能になった、当時…
・高橋幸雄「灰色のノート」(8) 昨日の続きで、高橋氏の遺稿集、随筆集『栴檀の花』の郡山澄雄 編「年譜」から、戦後の経歴を見て置こう。 高橋氏は戦中は作家活動を行っていなかったが、戦後、郷里にて教授職を得ると同時に盛んに執筆活動を開始している…
・高橋幸雄「灰色のノート」(7) 昨日はもっと簡単に切り上げるつもりだったのだが、これから高橋氏の経歴を確認する上で、関連しそうなところを抜いているうちに長くなってしまった。 さて、本作については一昨年1月に本作を収録する短篇集『銀跡記』を借…
・高橋幸雄「灰色のノート」(6) 一昨日からの「Ⅱ 黄昏」の設定の確認の続き。①53頁上段23行め~下段10行め②84頁13行め~85頁6行め、ここで石井事務官は一旦退場する。なお、引用に当たって、言い止すような場合に②単行本は三点リーダを使っているが①単行…
・高橋幸雄「灰色のノート」(5) 昨日からの「Ⅱ 黄昏」の設定の確認を続けよう。 この相撲協会の陳情の場面は、安田属官の指で頭髪をいじる癖などを描写しながら②単行本『銀跡記』で勘定するに4頁余り続く。そして最後に安田属官の席に挨拶に来たS取締と…
・高橋幸雄「灰色のノート」(4) それでは、後半の「Ⅱ 黄昏」の設定を確認して置こう。 こちらは「Ⅰ 噴煙」と違って、文中に時期を推測させる記述がある。 以下、登場人物や場所、それから時期を示す記述を抜き出して、一通り検討を加えて見よう。引用は①…
・高橋幸雄「灰色のノート」(3) さて、「灰色のノート」と云うと Roger Martin du Gard(1881.3.23~1958.8.22)の長篇小説『チボー家の人々(Les Thibault)』の第一巻『灰色のノート(Le Cahier gris)』が、丁度本作の舞台となっている時代に重なって…
・高橋幸雄「灰色のノート」(2) さて、一昨年本作を収録する短篇集『銀跡記』を借りたとき、経歴についての記載を探して見たのだけれども、奥付の上に明朝体横組みで小さく、 高橋幸雄(たかはし さちお) 〈著 書〉創作集「幼年」(皆美社)1978年 〈現住…
早い時期に赤マント流言を、より具体的に取り上げた小説としては高橋幸雄(1912.8.2~1983.12.6)の「灰色のノート」がある。 これは一昨年の1月に気付いて、次の単行本に収録されていることが判ったので、早速借りて読み終えていた。銀跡記―短編集 (1981年)…
赤マント流言は、当ブログでも初期に取り上げた小沢信男「わたしの赤マント」を始めとして、当時、児童生徒・学生だった世代の作家により、しばしば小説にも取り上げられている。しかし「わたしの赤マント」の初出がそうであったように(『東京百景』収録に…
・日立製作所中央研究所の設立(3) 従来ならここまでで切り上げてしまうところで、実際のところ、これ以上調べても仕方がない(!)のですが、国立国会図書館デジタルコレクションの拡充、送信サービス、そして全文検索によって、我々は判り過ぎてしまうと…
・日立製作所中央研究所の設立(2) 昨日の続きで『中央線がなかったら』の記述と、その根拠について確認して置きましょう。 カラー口絵、①10頁②8頁め「国分寺~府中」には、野川の流域とその周辺に水色の水滴を象ったマークの「湧水地」が19箇所示されてお…
・日立製作所中央研究所の設立(1) 1月26日付(01)に孫引きした矢野勝巳『文学する中央線沿線―小説に描かれたまちを歩く』に「国分寺駅に近い恋ヶ窪の水源は日立製作所中央研究所の敷地内にある。一九四二年より日立の所有であり、‥‥」とありました。 野…
・田口道子『東京青山1940 陽が落ちても朝はくる』 本書については2020年1月21日付「田口道子『東京青山1940』(01)」から2020年2月26日付「田口道子『東京青山1940』(24)」まで1ヶ月程、細目や著者の居住地や学歴などについて考証しました*1…
・岡田京子の上京年(2) 松谷みよ子・曽根喜一・水谷章三・久保進 編『戦後人形劇史の証言――太郎座の記録――』に翻刻されている東京都葛飾区金町の人形劇団太郎座の機関紙「太郎座」第一号(1957・4・15)及び「太郎座」第二号(1958年4月1日発…
・岡田京子の上京年(1) 2024年8月23日付「日本の民話『紀伊の民話』(26)」の後半に引いた、伊藤英治 編『松谷みよ子の本 別巻 松谷みよ子研究資料』の松谷みよ子「松谷みよ子年譜」の「一九五七(昭和32)年 三十一歳」条に『信濃の民話』刊行に続いて瀬…
斎藤氏の伝記については、『斎藤隆介全集11』203~207頁「年譜」は(203~204頁は扉なので実質2頁半)簡略に過ぎる上に、間違っていたり数年分纏めていたり、どうも不明瞭なことが多く、そこで『全集』に、頁合せのためか複数の巻に分載されているエッセイな…
私は当初、軽い気持ちでHN「higonosuke」のブログ「黌門客」の最新記事、1月13日付「北村薫「大岡昇平の真相告白」のこと」を読んで疑問に思った、矢野勝巳『文学する中央線沿線―小説に描かれたまちを歩く』の地理に関する記述の確認を始めてしまって、思わ…