瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

小説の設定

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(167)

・青木純二原作映画『地獄の唄』(2) 念のため、「日活」HPでも確認して見た。 ・「地獄の唄 前篇」 地獄の唄 前篇 (じごくのうた1) 都新聞懸賞連載小説を映画化したもので、新入社の根岸東一郎、辻峯子を主役とし、「大地は微笑む」の合同監督の後に…

阿知波五郎「墓」(27)

さて、当ブログは、飽くまでも確認作業ノートで、普通なら公開しないところまで示して置こうと云う意図でやっておりますので、非常に読みづらく、脇道にも逸れますし(しかしその場で書いて置かないと忘れてしまう)過去記事に書いたことを忘れて繰り返すよ…

阿知波五郎「墓」(26)

・「七月二十五日。」条と結末 438頁12行め~440頁2行め、7日め「七月二十五日。」条、これが最後の日付である。前半、438頁13行めから439頁6行めまでを抜いて置こう。 いよいよ七日目だ。却ってもう飢を感じない。手も足も水ぶくれになって腫れ上ってくる。…

阿知波五郎「墓」(25)

・「七月二十四日。」条(2)呪いから痩せ我慢へ 434頁17行め~436頁1行めまで、20行に及ぶ遺書の一節は、 『渋谷さん、今日も一日中あなたのことを思いつめて居るのよ。どんなにおなかが空いて居ても、あ【434】なたのことを思えば不思議にその苦しみがな…

阿知波五郎「墓」(24)

・「七月二十四日。」条(1)遺書の意図 遺書を書き始めるまでの確認が随分長くなってしまったが、ここまで、主人公はまづ、2日めと3日めには里子に出した園児と、その園児を園に戻したことで起こった火災を回想し、それから、空腹は3日めから、4日めには1…

阿知波五郎「墓」(23)

・「七月二十三日。」条(4)遺書執筆開始 昨日は、5日め「七月二十三日。」条の3段落めの中盤を確認するだけで終わってしまった。当ブログは結論を述べると云うより確認作業ノートみたいなものだから、往々にして全く進まなくなり、そのうちに飽きるか本の…

阿知波五郎「墓」(22)

・「七月二十三日。」条(3)密室の時間と照明 昨日の続きで、5日め「七月二十三日。」条の3段落めの中盤。430頁1~3行め、 (略)。折角覚えて居た/日も記憶の中で戸迷い、腕時計が停まって居るが、そのねじを巻く元気もない。うつら、うつら……そ/してそ…

阿知波五郎「墓」(21)

職場の玄関では、体温をセンサーで測っている。私はこのところ36.0℃くらいで安定しているので、もちろん引っ掛からない。しかし無症状や発症前、つまり発熱していない人が広めてしまうらしいのに、せっせと検温ばかりしていることに、どれだけ意味があるのか…

阿知波五郎「墓」(20)

昨日の続き。 ・「七月二十三日。」条(1)鼠の正しさと学者の愚 前日は雨で涼しかったせいか、キャラメルの存在を思い出した以外は無気力に過ごしていた主人公だったが、5日めのこの日は、初めから感情を爆発させている。――日付も含めて23行だった前日に対…

阿知波五郎「墓」(19)

大学が再開になったのか、それとも入構規制が解かれて登校出来るようになったからなのか、大学生が連れ立って歩くようになった。あんなに「密です」とか云って脅して自粛させたのに、掌を返したように野放しである。 昨日が都内の図書館の返却期限であったが…

阿知波五郎「墓」(18)

昨日の続き。 何だか1日ずつ確認するような按配になってしまった。 どうも、この小説、細かく見て行くとおかしなところが次々と出て来るようである。 6月14日付(16)の最後に指摘した、「今日も今日」のような瑣事もあるけれども、もう少しややこしいものも…

阿知波五郎「墓」(17)

昨日の続き。 次いで6月12日付(14)に引いた3日め「七月二十一日。」条の冒頭の「渇にたえられぬまま」水を飲む場面があり、そして初めて、何でこんなことを計画したのかが、説明される。続きを抜いて置こう。425頁2~11行め、 野球のボールが書庫の壁に当…

阿知波五郎「墓」(16)

昨日、twitter を始めた切っ掛けを、意図せざる「閉じ込められた女子学生」記事閲覧数の激増にあるように書いてしまったのですけれども、これは理由の1つではありますが、主たるものではありませんでした。その、主たるものは昨年4月に縷々書いたので繰り返…

阿知波五郎「墓」(14)

6月9日付(13)に引いた、ちくま文庫『絶望図書館――立ち直れそうもないとき、心に寄り添ってくれる12の物語』の、編者・頭木弘樹「入れられなかった幻の絶望短編」に記憶に基づいて書いた、阿知波五郎「墓」の粗筋について、今回はその続き、後半(345頁14行…

阿知波五郎「墓」(13)

昨日、ちくま文庫『絶望図書館――立ち直れそうもないとき、心に寄り添ってくれる12の物語』の「入れられなかった幻の絶望短編」についての情報募集告知の、前置きに当たるところを引いて置いた。 頭木氏が「トラウマのように、心に焼きついてしまった」と云う…

阿知波五郎「墓」(11)

昨日の続き。 6月2日付「睡眠不足(5)」に、図書館が再開しても、緊急事態宣言前に借りた本が未だ積み上がっているので行く気にならない、みたいなことを書いたのだけれども、地元の図書館が予約受付を再開したので早速、ちくま文庫『絶望図書館――立ち直れ…

阿知波五郎「墓」(10)

当ブログのことを多少なりとも宣伝しようと思って、瑣末亭のアカウントで twitter を始めたのだが、大した宣伝になっていないようである。#で言及した人が retweet するとインプレッションは増えるが、それは別に私の tweet 及びそこに紹介している当ブログ…

「足要りますか?」(6)

・永山一郎「配達人No.7に関する日記」(6) 台風が来るとて、帰りの電車がいつもより若干混んでいた。近所のスーパーの棚からパンが、食パンも菓子パンも消えていた。魚や肉も殆どなくなっていた。明日は休業とのこと。家人は先週満104歳になった祖母を見…

「足要りますか?」(5)

・永山一郎「配達人No.7に関する日記」(5) 一昨日からの続きで小説の筋をやや詳しく見ている。所謂ネタバレと云う奴だが当ブログは面白そうな小説を紹介することを目的としていない。書いてある内容の確認と、どう読解すべきかに興味があるので、わざと…

「足要りますか?」(4)

・永山一郎「配達人No.7に関する日記」(4) 昨日の続きで10日め(96頁下段5行め~97頁上段5行め)、冒頭部を抜いて置こう。96頁下段6~10行め、 十枚のカード。配達人No.7が三日前呟いたように文面/が変わっている。( )内の文字が “大腿部モ含メルモ…

「足要りますか?」(3)

・永山一郎「配達人No.7に関する日記」(3) 一昨日からの続き。 例によって前置きが長くなったが、話の生まれた環境を重視したい私としては、当時永山氏が勤務していた沓喰分校について、やや詳しく確認して置きたいところなのだけれども、それはやはり後…

赤いマント(193)

・田辺聖子『私の大阪八景』(12) 前回引用した数え歌だが、何か元歌があってその節で歌ったのだろうか。「三ぴん」は漢字だと「三一」。 それでは、赤マント小説の一件の最後*1。『全集』第一巻33頁4~12行め(長篇全集219頁上段11行め~下段2行め・岩波現…

赤いマント(192)

・田辺聖子『私の大阪八景』(11) 昨日、主人公トキコが授業中に小説を書いていることをタヌキ先生に見つかって、教壇で級友たちに見せるように言われて笑われるところを見たが、今日はその続きで読み上げさせられるところを抜いて置こう*1。『全集』第一巻…

赤いマント(191)

・田辺聖子『私の大阪八景』(10) タヌキ先生の確認で長くなったが、6月30日付(188)の続き、少し飛ばして、『全集』第一巻31頁5~19行め(長篇全集218頁上段3行め~下段1行め・岩波現代文庫34頁4行め~35頁5行め・角川文庫(改版)37頁8行め~38頁7行め)…

赤いマント(188)

・田辺聖子『私の大阪八景』(7)タヌキ先生② それでは、赤マントに関する箇所の初めの方を引いて置こう*1。『全集』第一巻30頁18~20行め(長篇全集217頁下段15~19行め・岩波現代文庫33頁11~14行め・角川文庫(改版)36頁15行め~37頁1行め)、傍点「ヽ…

赤いマント(187)

・田辺聖子『私の大阪八景』(6) 時期~タヌキ先生① それでは、ようやっと小説の本文を検討することにするが、今年刊行したいと思っていた拙著『昭和十四年の「赤マント」』*1には、小沢信男「わたしの赤マント」と合わせて「わたしたちの赤マント」と題す…

赤いマント(184)

・田辺聖子『私の大阪八景』(3) 昨日に続いて、主人公「トキコ」の設定と、作者の田辺氏の経歴とを比較して、と云うことを一応考えていたのだが、これを始めるとまた相当長くなってしまう上に、既に田辺氏を研究している人によって済まされているであろう…

川端康成『朝雲』(5)

・「文學ト云フ事」(1) 25年前の深夜に見たときの記憶はさすがにない。10年前に某巨大動画サイトで予告編部分のみを見た頃までは、少々覚えていたように思うのだが、今となってはもう、動画サイトに上がっているものと、yen-rakuウェブサイト「interzone…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(34)

・白銀冴太郎「深夜の客」(10) 8月8日付(27)の最後に引用した、東雅夫のtweetは、灰月弥彦と云う人のtweetに応じてのものであった。 灰月弥彦の2018年1月24日21:19のtweetは、まさに「『日本現代怪異事典』の「おんぶ幽霊」の件」に触発されて呟かれたも…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(33)

・白銀冴太郎「深夜の客」(9) ここ数日、8月8日付(27)に引いた、東雅夫がtwitterで示した①白銀冴太郎②杉村顕道同一人説、及び8月11日付(30)に引いた、岡本綺堂「木曾の旅人」との関係についての東雅夫の示唆に導かれて、①「深夜の客」及び②「蓮華温泉…