瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(133)

・青木純二の経歴(2) 先行研究で、青木氏の経歴について最も充実した調査結果を示しているのは、10月15日付(132)に触れた、牧野陽子(1953生)の論文によって批判された、遠田勝(1955生)の次の本である。 ・遠田勝『〈転生〉する物語――小泉八雲「怪談…

須川池(5)

私が編纂物としての伝説集を好ましく思えない理由は、異説をさらに積み重ねるだけでしかないからである。典拠が示してあれば、何に拠って書いたか、と云うストレス(?)は低減されるが、それならわざわざ書き替える必要はなかったのではないか、と思ってし…

須川池(4)

・杉村顕『信州の口碑と傳説』 この興味深い伝説は、もちろん杉村顕も取り上げている。8月26日付「杉村顯『信州の口碑と傳説』(5)」に取り上げた「北信地方」に、これまでの要領に従えば、 ・小縣郡【7】須 川 の 池(163頁3行め~164頁) と云う示し方に…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(132)

・青木純二の経歴(1) これは2ヶ月前の8月16日に、8月17日付「「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(104)」として書き掛けていた草稿を基にしている。ネット検索のみでもある程度明らかに出来るようなので、取り敢えずその分だけでも纏めてしまおうと…

須川池(3)

・藤澤衞彦編著、日本傳説叢書『信濃の卷』 大正6年(1917)7月に刊行された本書については、9月1日付「「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(106)」に紹介した。昨日取り上げた高木敏雄『日本傳説集』の4年後で、当然参照しているのだろうと思うのだが…

須川池(2)

・高木敏雄『日本傳説集』大正二年八月廿七日印刷・大正二年八月三十日發行・實價金一圓・郷土研究社・三〇七頁 一〇五~一一九頁「沈鐘傳説第十」一〇五頁2行め~一一四頁4行め「(甲)純粹沈鐘傳説」一一〇頁1行め「(へ)須川池」初版は5字下げ、括弧は左右。…

須川池(1)

『怪奇傳説 信州百物語』改め『信州百物語 信濃怪奇傳説集』と『山の傳説』の関係から、以前抱いていた伝説への関心が少々復活して来た。私は父が所謂転勤族で、高校までは長いところで4年半、短いと3年で転居を繰り返して来たから、根っからの(?)根無草…

「足要りますか?」(6)

・永山一郎「配達人No.7に関する日記」(6) 台風が来るとて、帰りの電車がいつもより若干混んでいた。近所のスーパーの棚からパンが、食パンも菓子パンも消えていた。魚や肉も殆どなくなっていた。明日は休業とのこと。家人は先週満104歳になった祖母を見…

「足要りますか?」(5)

・永山一郎「配達人No.7に関する日記」(5) 一昨日からの続きで小説の筋をやや詳しく見ている。所謂ネタバレと云う奴だが当ブログは面白そうな小説を紹介することを目的としていない。書いてある内容の確認と、どう読解すべきかに興味があるので、わざと…

「足要りますか?」(4)

・永山一郎「配達人No.7に関する日記」(4) 昨日の続きで10日め(96頁下段5行め~97頁上段5行め)、冒頭部を抜いて置こう。96頁下段6~10行め、 十枚のカード。配達人No.7が三日前呟いたように文面/が変わっている。( )内の文字が “大腿部モ含メルモ…

「足要りますか?」(3)

・永山一郎「配達人No.7に関する日記」(3) 一昨日からの続き。 例によって前置きが長くなったが、話の生まれた環境を重視したい私としては、当時永山氏が勤務していた沓喰分校について、やや詳しく確認して置きたいところなのだけれども、それはやはり後…

「足要りますか?」(2)

・永山一郎「配達人No.7に関する日記」(2) 昨日の続き。 北原氏が手にした遺稿集(マンジュウ本)はなかなか手に取る機会がなさそうなので、先々週、某区立図書館の返却期限に合わせて『永山一郎全集』の取り寄せを依頼して、先週、借りて来たのだった。…

「足要りますか?」(1)

・永山一郎「配達人No.7に関する日記」(1) 敬体ではなく常体で「足要るか」のこともあるらしいが、昭和62年(1987)高校1年生のとき、兵庫県立高校で級友から初めて聞かされたときの台詞に従って置く。 私がこの話を思い出したのは、9月9日付「「木曾の…

田中貢太郎『新怪談集(実話篇)』(04)

・丸山政也・一銀海生『長野の怖い話 亡霊たちは善光寺に現る』(3) 昨日の続きで、典拠である河出書房新社版『日本怪談実話〈全〉』と比較しつつ、丸山氏のリライト振りを確認して置く。記事の題は『日本怪談実話〈全〉』の原題である『新怪談集(実話篇…

田中貢太郎『新怪談集(実話篇)』(03)

話を検討する場合、私は原典に遡って考察しようと思う。なるべく話の発生時期に近いものを探して、妙な賢しらが加えられていないものを見たいと思う。それが出来ない場合、複数の話を並べて原型を追究しようと思う。だから、どうしても再話・リライトを好き…

田中貢太郎『新怪談集(実話篇)』(02)

・丸山政也・一銀海生『長野の怖い話 亡霊たちは善光寺に現る』(1) それでは、9月28日付(01)に続きで、私が本書を思い出す切っ掛けとなった、丸山政也・一銀海生『長野の怖い話 亡霊たちは善光寺に現る』123~125頁「三十一 山で撮影した写真 (大町市…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(131)

・杉村顕道の家系(4) 杉村顕道の父・正謙の回想が『懐旧録』もしくは『杉村正謙懐旧録』の題で、昭和48年(1973)1月に杉村顕道によって刊行されている。国立国会図書館に所蔵されているので見に行こうと思っているが、なかなか国立国会図書館に行く暇が…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(130)

・杉村顕道の家系(3) さて、杉村氏の父について、明治期に官界・実業界で成功を収めた人物として、まづ国立国会図書館デジタルコレクションにて『人事興信録』に当たってみることにした。 ・『人事興信録』明治三十六年四月十五日印刷・同 三十六年四月十…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(129)

・杉村顕道の家系(2) 杉村顕(1904.5.26~1999.6.11)と杉村惇(1907.9.7~2001.8.13)は生歿年月日も判明している。 いや、叢書東北の声11『杉村顕道怪談全集 彩雨亭鬼談』435~455頁、杉村顕道の次女・杉村翠の談話「父・顕道を語る」には、歿年月日は4…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(128)

・杉村顕道の家系(1) 一昨日、9月27日付「青木純二『山の傳説』(03)」に示した、丸山政也・一銀海生『長野の怖い話 亡霊たちは善光寺に現る』の典拠を拾う作業として、昨日の記事の末尾に述べたように、田中貢太郎『日本怪談実話〈全〉』(河出書房新社…

田中貢太郎『新怪談集(実話篇)』(01)

・『日本怪談実話〈全〉』 日本怪談実話―全 (1971年)作者: 田中貢太郎出版社/メーカー: 桃源社発売日: 1971メディア: ?この商品を含むブログを見る日本怪談実話〈全〉作者: 田中貢太郎出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2017/10/25メディア: 単行本この…

青木純二『山の傳説』(03)

・丸山政也・一銀海生『長野の怖い話 亡霊たちは善光寺に現る』(2) 昨日の続きで、文献に拠った「民話」に相当すると思われるものについて纏めて置こう。 巻末「参考文献・出典・初出・引用」に載る文献のうち、参照出来たものは以下の通り(初刊順)。青…

青木純二『山の傳説』(02)

本書は忘れられ掛けた書物なのだけれども、22年前には覆刻版が刊行され、さらに11年前には新字現代仮名遣いで復刊された。しかしながら、幾つかの話が、出処に疑念がある旨で(!)問題にされている他は、余り知られているとは言いがたい。しかも復刊の版元…

青木純二『山の傳説』(01)

本書の諸版については、8月11日付(098)に挙げて置いた。 今回、初版(丁未出版社)と覆刻版(大空社)を並べることが出来たのでメモして置く。 ともに上製本、但し私の見た初版は図書館で新しい表紙にて製本し直されている。覆刻版は『柳田國男の本棚』シ…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(127)

・『長野の怖い話 亡霊たちは善光寺に現る』(3) 昨日の続きで「二十二 招かれざる客 (北安曇郡)」の、丸山政也のコメントの残りを見て置こう。99頁10行め~100頁(5行め)、 もっともこの時代は、こういった怪談話は口伝え、いわば口承文芸的に広まった…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(126)

・『長野の怖い話 亡霊たちは善光寺に現る』(2) 昨日の続き。 巻末の「参考文献・出典・初出・引用」10~15点め、 『信州の民話伝説集成 北信編』高橋忠治著 一草舎 『信州の民話伝説集成 中信編』はまみつを著 一草舎 『信州の民話伝説集成 東信編』和田…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(125)

この春、ブログでコツコツやっているだけでは、なかなか認知してもらえないらしいことを思い知ったので、4月から告知用に Twitter を始めたのだが、Twitter の仕組みや Tweet 閲覧者の行動が分かって来るに連れて、やはり殆ど効果がないことを実感している。…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(124)

・杉村顯『信州百物語』の評価(5) 繰り返しになるが、本書は編纂物であって、オリジナルな内容は殆ど含んでいない。 このような「伝説集」は、大正期にも多く編纂され、現代にもその流れは続いている。「伝説」には著者がいない(はずである)。だから自…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(123)

昨日の続き。 ・杉村顯『信州百物語』の評価(4) 但し『信州の口碑と伝説』や『信州百物語』の「小説仕立て」の話は、「近刊豫告」にあったように杉村氏の「流麗伸達の行筆」が生み出したものではなく、青木純二『山の傳説』や、藤澤衞彦編著、日本傳説叢…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(122)

・杉村顯『信州百物語』の評価(3) 9月15日付(118)の続き。 前回(昨日)も問題にしたが、② 著者が判明したことも、本書が復活を遂げる(?)に与って大いに力があったと思われる。 作者も成立事情も分からぬまま本書を読んだ場合、「怪奇」でないただの…