瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

傳説

青木純二『山の傳説』(04)

・何故柳田國男は序文を書いたのか 昨日まで検討して来た青木氏の経歴については、まだ昭和30年(1955)までの続きがあり、かつ「神奈川新聞」に訃報くらいは出ているだろうと思うのだが、それは年内に閲覧・確認の機会を作ることにして、今回は昨日までの検…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(134)

・青木純二の経歴(3)阿部敏夫の調査① 昨日の続きで、遠田氏の「いたずら者の青木記者」の節に「一つしかな」いとする、青木純二の経歴に触れた先行研究は、注(16)を見るに、240頁15~16行め、 (16)阿部敏夫「和人のアイヌ文化理解について――事例その1…

須川池(5)

私が編纂物としての伝説集を好ましく思えない理由は、異説をさらに積み重ねるだけでしかないからである。典拠が示してあれば、何に拠って書いたか、と云うストレス(?)は低減されるが、それならわざわざ書き替える必要はなかったのではないか、と思ってし…

須川池(4)

・杉村顕『信州の口碑と傳説』 この興味深い伝説は、もちろん杉村顕も取り上げている。8月26日付「杉村顯『信州の口碑と傳説』(5)」に取り上げた「北信地方」に、これまでの要領に従えば、 ・小縣郡【7】須 川 の 池(163頁3行め~164頁) と云う示し方に…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(132)

・青木純二の経歴(1) これは2ヶ月前の8月16日に、8月17日付「「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(104)」として書き掛けていた草稿を基にしている。ネット検索のみでもある程度明らかに出来るようなので、取り敢えずその分だけでも纏めてしまおうと…

須川池(3)

・藤澤衞彦編著、日本傳説叢書『信濃の卷』 大正6年(1917)7月に刊行された本書については、9月1日付「「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(106)」に紹介した。昨日取り上げた高木敏雄『日本傳説集』の4年後で、当然参照しているのだろうと思うのだが…

須川池(2)

・高木敏雄『日本傳説集』大正二年八月廿七日印刷・大正二年八月三十日發行・實價金一圓・郷土研究社・三〇七頁 一〇五~一一九頁「沈鐘傳説第十」一〇五頁2行め~一一四頁4行め「(甲)純粹沈鐘傳説」一一〇頁1行め「(へ)須川池」初版は5字下げ、括弧は左右。…

須川池(1)

『怪奇傳説 信州百物語』改め『信州百物語 信濃怪奇傳説集』と『山の傳説』の関係から、以前抱いていた伝説への関心が少々復活して来た。私は父が所謂転勤族で、高校までは長いところで4年半、短いと3年で転居を繰り返して来たから、根っからの(?)根無草…

青木純二『山の傳説』(03)

・丸山政也・一銀海生『長野の怖い話 亡霊たちは善光寺に現る』(2) 昨日の続きで、文献に拠った「民話」に相当すると思われるものについて纏めて置こう。 巻末「参考文献・出典・初出・引用」に載る文献のうち、参照出来たものは以下の通り(初刊順)。青…

青木純二『山の傳説』(02)

本書は忘れられ掛けた書物なのだけれども、22年前には覆刻版が刊行され、さらに11年前には新字現代仮名遣いで復刊された。しかしながら、幾つかの話が、出処に疑念がある旨で(!)問題にされている他は、余り知られているとは言いがたい。しかも復刊の版元…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(126)

・『長野の怖い話 亡霊たちは善光寺に現る』(2) 昨日の続き。 巻末の「参考文献・出典・初出・引用」10~15点め、 『信州の民話伝説集成 北信編』高橋忠治著 一草舎 『信州の民話伝説集成 中信編』はまみつを著 一草舎 『信州の民話伝説集成 東信編』和田…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(124)

・杉村顯『信州百物語』の評価(5) 繰り返しになるが、本書は編纂物であって、オリジナルな内容は殆ど含んでいない。 このような「伝説集」は、大正期にも多く編纂され、現代にもその流れは続いている。「伝説」には著者がいない(はずである)。だから自…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(123)

昨日の続き。 ・杉村顯『信州百物語』の評価(4) 但し『信州の口碑と伝説』や『信州百物語』の「小説仕立て」の話は、「近刊豫告」にあったように杉村氏の「流麗伸達の行筆」が生み出したものではなく、青木純二『山の傳説』や、藤澤衞彦編著、日本傳説叢…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(121)

・堤邦彦「「幽霊」の古層」(6) 昨日の続きで、堤邦彦・橋本章彦 編『異界百夜語り』60~61頁、堤邦彦執筆の26話め「お二人さま?亡霊と旅する男」を見て置こう。冒頭、60頁2~6行め、 逃亡する殺人者の背にしがみ付く血だらけの女。そして他人の目に幻視…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(120)

・堤邦彦「「幽霊」の古層」(5) 昨日の続き。 さて、堤氏が「蓮華温泉の怪話」に注目したのは何時からなのか、或いは「「幽霊」の古層」以前の論及があったかも知れないと思せるのは、次のコラム集の存在である。 堤邦彦・橋本章彦 編『異界百夜語り』平…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(119)

・堤邦彦「「幽霊」の古層」(4) 江戸時代の仏教説話が専門で怪談に関する研究も多い堤邦彦(1953生)は、「蓮華温泉の怪話」が昭和9年(1934)の『怪奇伝説 信州百物語』に掲載されていることについて、2018年8月29日付(46)に引いたように「昭和初期の…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(118)

・杉村顯『信州百物語』の評価(2) 繰り返しになるが、――結論を言うと、本書は編集に時間を掛けていない、やや安易に編纂された伝説集であった。 それが最近、やや名が知られるようになったのには、次の4つの要因が考えられる。 ① 岡本綺堂「木曾の旅人」…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(117)

・杉村顯『信州百物語』の評価(1) 確認した典拠から容易に推測されるように、本書も8月24日付「杉村顯『信州の口碑と傳説』(3)」に述べたような編纂物である。前回述べたように、転居先の樺太廳豐原支廳豐原郡豐原町で、十分に資料を揃えられない状態…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(116)

・『信州百物語』の成立(4) 9月8日付(111)の続き。 9月6日付(109)に指摘したように、『信州の口碑と傳説』巻末「近刊豫告」の「内容紹介」と、本書の内容は相当な齟齬を見せる。 以下、推測になるが――『信州の口碑と傳説』刊行時には「内容紹介」にあ…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(110)

・『信州百物語』の成立(2) 昨日の続きで、杉村氏の次女・杉村翠の談話から、叢書東北の声11『杉村顕道怪談全集 彩雨亭鬼談』の「編集過程」での「エピソード」を見て置こう。441頁下段17行め~442頁上段10行め、 ‥‥。私/たち家族も、この本が今どのよう…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(109)

・『信州百物語』の成立(1) 9月2日付(107)の続き。当初「・『信州百物語』の典拠(3)」と題するつもりだったが、既に知られている本書の執筆出版過程に、今回私が明らかにした典拠の問題を絡めて説明した方が良さそうなので、標記の見出しに改めて説…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(107)

・『信州百物語』の典拠(2)日本傳説叢書『信濃の卷』と『松代町史』下卷 昨日の続き。『信州百物語』の各話の題と頁・行は、叢書東北の声11『杉村顕道怪談全集 彩雨亭鬼談』に拠っている。国立国会図書館デジタルコレクションの初版もしくは新版に拠るべ…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(106)

・『信州百物語』の典拠(1)日本傳説叢書『信濃の卷』 昨日まで眺めて来たように、杉村顕『信州百物語』及びその姉妹篇『信州の口碑と傳説』には、青木純二『山の傳説 日本アルプス篇』から、特に日本アルプスに関連する地域について、相当数の話を採って…

杉村顯『信州の口碑と傳説』(10)

・「南信地方」(5)下伊那郡 昨日の続きで、青木純二『山の傳説 日本アルプス篇』と共通する話を挙げ、典拠と認められそうなものを「←」、部分的に一致するものを「≒」で示した。 356頁8行め~376頁3行め「下伊那郡」6題、但し6番め、371頁4行め~376頁3行…

杉村顯『信州の口碑と傳説』(09)

・「南信地方」(4)上伊那郡 昨日の続きで、青木純二『山の傳説 日本アルプス篇』と共通する話を挙げ、典拠と認められそうなものを「←」、部分的に一致するものを「≒」で示した。 317~356頁7行め「上伊那郡」9題、但し9番め、345頁2行め~356頁7行め「駒…

杉村顯『信州の口碑と傳説』(08)

・「南信地方」(3)北安曇郡 昨日の続きで、青木純二『山の傳説 日本アルプス篇』と共通する話を挙げ、典拠と認められそうなものを「←」、主題は同じだが依拠していないものを「≠」で示した。 274頁9行め~316頁「北安曇郡」9題、但し9番め、294頁8行め~3…

杉村顯『信州の口碑と傳説』(07)

・「南信地方」(2)南安曇郡 昨日の続き。 214頁4行め~274頁8行め「南安曇郡」12題、但し10番め、254~269頁5行め「有明山」は6項に分かれており、合計で17話である。 青木純二『山の傳説 日本アルプス篇』とは15話が共通する。但し【1】と【9】は、同じ…

杉村顯『信州の口碑と傳説』(6)

・「南信地方」(1)東筑摩郡・西筑摩郡・諏訪郡 昨日取り上げた「北信地方」は、地理的に見ても青木純二『山の傳説 日本アルプス篇』とは無関係であるはずなのだが、何故か『山の傳説』に含まれていた北信地方の2話(更級郡・小県郡)が、採録されているの…

杉村顯『信州の口碑と傳説』(5)

・「北信地方」の構成と『山の傳説』に類似する2例 8月23日付(2)の続きで、本書の構成を見て置こう。「北信地方」は「長 野 市」14題に続いて、42~79頁1行め「上水内郡」14題、79頁2行め~85頁1行め「下水内郡」2題、85頁2行め~88頁「上高井郡」2題、89…

杉村顯『信州の口碑と傳説』(4)

今日は、当初「・伝説集に対する麗しき誤解」との見出しで昨日の続きを述べて行くつもりだったのだが、人によっては当り前のことだし、急にこんな展開になって十分に用意が出来ている訳でもない。かつ、続きを書かないと全国各地から歎声が漏れる程に、読者…