2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧
・中村希明『怪談の心理学』(13) 中村氏は、鳥越信が松谷みよ子に語り、松谷氏が『現代民話考』に「学校の怪談」を取り上げる原点になった、旧制姫路高等学校の寮に伝えられていた怪談「あかずの便所」から、「赤マントの怪談」へと筋を引こうとしているの…
・中村希明『怪談の心理学』(12) 昨日の続き、と云うか2014年1月8日付(078)の続きで、中村氏の描いた赤マント流言の流れを、30頁12行め「暗い情動」の節から順を追って見て行きましょう。 中村氏はまづ、30頁13行め「 この「赤マント」のルーツを『現代…
・中村希明『怪談の心理学』(11) 昨日の続き。 中村氏の赤マント流言の検討は、2014年1月5日付(075)に見たように、第一章「トイレの怪談の系譜――デマの心理学」にて、松谷みよ子『現代民話考[第二期]Ⅱ 学校』に載る話を主たる資料として、なされています…
・中村希明『怪談の心理学』(10) 昨2019年6月に、井上雅彦「宵の外套」に赤マント流言が取り上げられていることを知って、借りて読んだとき、赤マントが大阪から東京に伝播した、と云う説を読んで、どこからこんな説が提示されたのだろう、と思ったもので…
・森田たま『もめん隨筆』(1) 義理の祖母は生い立ちから戦後のことまで、6月11日付(01)に述べた御機嫌伺いのときなどに、折に触れて様々な回顧談を聞かせてくれたのだが、ある日、馴染みの料理屋で御相伴に与っているときに「森田たまさんの『もめん随…
湯浅初枝については、その後、目星を付けて置いた新聞や雑誌の記事に当たって見るつもりだったのだが、コロナウィルスのために思うに任せない。 しかし、今月から鼻中隔彎曲症のために通院している大病院で、具合の悪そうな老人がうようよしているのを目にす…
・日本民話の会 学校の怪談編集委員会『学校の怪談大事典』 昨日までで、ともに吉沢和夫の手に成る、本書の「峠の一軒家」と、怪談レストラン❸『殺人レストラン』の「とうげの一けん家」との本文の比較を終えた。 最後に、例話の前後に丸ゴシック体で添えて…
・怪談レストラン❸『殺人レストラン』(7) 日本民話の会 学校の怪談編集委員会『学校の怪談大事典』の「峠の一軒家」と、本書の「とうげの一けん家」の比較の続き。要領は8月20日付(160)に同じ。【E】結末・孫の説明『学校の怪談大事典』36頁下段13~18…
・怪談レストラン❸『殺人レストラン』(6) 日本民話の会 学校の怪談編集委員会『学校の怪談大事典』の「峠の一軒家」と、本書の「とうげの一けん家」の比較の続き。要領は8月20日付(160)に同じ。【D】巡査の来訪『学校の怪談大事典』36頁下段7~12行め …
・怪談レストラン❸『殺人レストラン』(5) 日本民話の会 学校の怪談編集委員会『学校の怪談大事典』の「峠の一軒家」と、本書の「とうげの一けん家」の比較の続き。要領は一昨日に同じ。【C】孫の号泣~来訪者の退去『学校の怪談大事典』36頁下段2~6行め…
・怪談レストラン❸『殺人レストラン』(4) 日本民話の会 学校の怪談編集委員会『学校の怪談大事典』の「峠の一軒家」と、本書の「とうげの一けん家」の比較の続き。要領は昨日に同じ。【B】深夜の来訪者~犬の異変『学校の怪談大事典』35頁下段13行め~36…
・怪談レストラン❸『殺人レストラン』(3) 「とうげの一けん家」は、日本民話の会 学校の怪談編集委員会『学校の怪談大事典』にも立項されている。2014年1月13日付「赤いマント(083)」に見た、11~44頁「1.こわい話」の11項め、35頁下段8行め「とうげの…
・怪談レストラン❸『殺人レストラン』(2) 私は『怪談レストラン』シリーズについて、余り知識がない。 当ブログでは、本巻と並んで怪談レストラン㊷『紫ババアレストラン』について、だらだらと長期にわたって、記事にする準備をしている、みたいなことを…
・怪談レストラン❸『殺人レストラン』(1) 本書に、「蓮華温泉の怪話」系統の話が収録されていることは、以前から気付いていて、はてなダイアリー時代に「(仮)殺人レストラン」と題する下書きを2011年10月24日に作成して、2018年7月23日まで加筆していた…
本当は2019年7月20日付(3)の続きで、北杜夫の著書の記述を確認して置くつもりだったのだけれども、2019年8月20日付「北杜夫『どくとるマンボウ医局記』(1)」及び2019年8月21日付「北杜夫『どくとるマンボウ医局記』(2)」に諸本の確認をしているうち…
・青木純二の経歴(21)『日本新聞年鑑』昭和27年 青木純二はアイヌの伝説捏造の方面で注目されているらしい。最近久し振りに Twitter で検索して見たのですが、その中に、明らかに当ブログもしくは当ブログ告知 tweet(瑣末亭*1)に依拠していながら、その…
・井上雅彦「宵の外套」(12) 赤マントに関連しそうなところはここまでであるが、序でに以後の展開を眺めて置こう。 友人に大切な何かを汚されてしまったように感じた「私」は「深草」に赴き、自転車を引いた黒い外套の「老人」に逢う。 続いて、四条大橋の…
・井上雅彦「宵の外套」(11) 昨日の続きで①初出『京都宵』②再録『四角い魔術師』③再々録『夜会』の異同を確認しつつ内容を見て置こう。要領は8月8日付(250)に同じ。 昨日引いた、地の文になっている友人の説明の最後までと「私」の感想。【G】カイナデ…
・井上雅彦「宵の外套」(10) 昨日の続きで①初出『京都宵』②再録『四角い魔術師』③再々録『夜会』の異同を確認しつつ内容を見て置こう。要領は8月8日付(250)に同じ。 昨日引いた、地の文になっている友人の説明の続き。【F】赤マントとの関連(二)(①47…
・井上雅彦「宵の外套」(9) 昨日の続きで①初出『京都宵』②再録『四角い魔術師』③再々録『夜会』の異同を確認しつつ内容を見て置こう。要領は8月8日付(250)に同じ。 昨日引いた会話の続き。【E】赤マントとの関連(一)(①474頁3行め~475頁2行め②247頁…
・井上雅彦「宵の外套」(8) 一昨日の続きで①初出『京都宵』②再録『四角い魔術師』③再々録『夜会』の異同を確認しつつ内容を見て置こう。要領は8月8日付(250)に同じ。 「黒い外套の男」の候補として、「私」は2人の人物(?)を上げている。1人は冥界と…
2019年6月16日に作成して置いたのだが、投稿しないままになっていた。昨日触れた「コトリ」について突っ込んだ記述があるので、少々整わない草稿だけれども、ここに上げて置くこととする。 * * * * * * * * * *・平凡社新書165『謎とき 名作童謡の…
・井上雅彦「宵の外套」(7) 昨日の続きで①初出『京都宵』②再録『四角い魔術師』③再々録『夜会』の異同を確認しつつ内容を見て置こう。要領は昨日に同じ。 語り手の「私」は、6月28日付(246)に引いた「自作解題」の類に「母から聞いた想い出話」等と述べ…
・井上雅彦「宵の外套」(6) 8月1日付(249)までで①初出『京都宵』②再録『四角い魔術師』③再々録『夜会』の本文比較を終えたところで、小説の内容について見て置くこととしよう。 まづ6月28日付(246)に引いた、これら3冊に添えられた作者・井上雅彦(19…
・「戸臺部落」と「人骨をかぢる狐の話」(3) 昨日の続き。要領は一昨日に示した。 【C】人骨をかじる狐~事件 村人の体験談の後段。 ①『山の傳説』278頁5~10行め 暫く行くと、ガリ、ガリと異樣な音をきいた、思はず立すくむと、雪の中に一匹のきつねが…
・「戸臺部落」と「人骨をかぢる狐の話」(2) 昨日の続き。要領は昨日に同じ。 【B】冬の野天の火葬場~事件前段 ①『山の傳説』278頁7行め~279頁4行め ある年の冬、村人が用事をすまして歸路についたのは夜も深んで居た、雪はぴつたりとやんで/居た、空…
・「戸臺部落」と「人骨をかぢる狐の話」(1) 前回、8月4日付「「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(156)」の冒頭に触れた丸山政也は、2019年9月22日付(125)に見たように、その著書『長野の怖い話』の「参考文献・出典・初出・引用」に、2019年9月…
・志村有弘 編訳『山峡奇談』(3) 志村氏が杉村顕道『信州百物語(信濃怪奇伝説集)』から採録している2話は、2019年9月22日付(125)に取り上げた、丸山政也・一銀海生『長野の怖い話 亡霊たちは善光寺に現る』にも採用されている。すなわち、「蓮華温泉…
・志村有弘 編訳『山峡奇談』(2) 本書が典拠を「杉村顕道『信濃怪奇伝説集』」とするのは、昨日引用した「あとがき」に「二作品」とあったように、「◆近代」の5話め、197頁5行め~199頁3行め「人骨をかじる狐の話」と、9話め、214頁8行め~22…
何事もなければ今頃、1月31日付(152)までに目録やネット検索にて洗い出した青木純二の著述活動について、所蔵機関に出向いて出来るだけ現物に基づいて確認を済ませているつもりだったのだが、緊急事態宣言の以前から休館し始めた図書館は、現在ほぼ再開し…