瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

怪異談

赤いマント(364)

昨日の続き。 ・關寛之『日本児童宗教の研究』(6) 赤マント流言の時期は、長らく明確にされていなかった。年表類にも載せていないものが多い。 当ブログで拾い集めて来たように、少なからぬ数の体験者が回想を残している。正しい時期(?)に回想している…

赤いマント(363)

昨日の続き。 ・關寛之『日本児童宗教の研究』(5) 本書の中に赤マント流言のことはもう1箇所、この「E 迷 信 の 傳 播」の章の結論を述べた、三四〇頁2行め~三四三頁5行め「5 迷信の傳播に關する學説の批判」の節の最後に、持ち出されている。この節は…

赤いマント(359)

昨日見た「大日」第二百三十四號掲載の水島爾保布「巢鴨より」の続きは、別の流言の紹介になる。赤マント流言そのものには特に戦時色は指摘出来ないが、続いて紹介される2種類の流言は戦時色を色濃く湛えている。思い当たる資料及び先行研究の全てに目を通す…

赤いマント(358)

昨日の続き。 ・「大日」第二百三十四號(昭和十五年 十 月廿八日 印刷納本・昭和十五年十一月 一 日 發 行・定 價 金 參 拾 錢・八二頁) 七五~七六頁*1、水島爾保布「巢鴨より」は全体が流言を扱ったものとなっている。冒頭から中段13行めまで抜いて置こ…

道了堂(118)

・広坂朋信『東京怪談ディテクション――都市伝説の現場検証』 この本は2016年8月30日付「広坂朋信『東京怪談ディテクション』(1)」に述べたように、典拠を明示した怪談検証本として前々から本格的に取り上げるつもりだったが、その典拠が明示してある=典…

赤いマント(342)

・山口瞳『男性自身』(2) 昨日の続きで「男性自身シリーズ」で赤マント流言に触れた箇所を見て置こう。2つ見付けているが両方とも男性自身シリーズ2『ポケットの穴』に収録されている。 29~33頁、この本の5篇め、連載の回数では61回(1965年2月1日号)…

赤いマント(340)

・先崎昭雄『昭和初期情念史』(2) 本書では220~244頁「第19章 子どもと戦争責任」で、赤マント流言を取り上げているのだけれども、流言ではなく近所の少年のホラ話と云う扱いになっている。少々長くなるがこの少年の紹介から抜いて置こう。1行分空白があ…

『稲川淳二の恐怖がたり』(4)

・竹書房文庫『ライブ全集①'93〜'95 稲川淳二の恐怖がたり〜祟り〜』(4) 本書に載る話のうち、既に検討を始めている首なし地蔵と淡谷のり子の体験談については、別記事にて検討する予定である。今、他の話について細かく検討する余裕はない。ここでは差当…

『稲川淳二の恐怖がたり』(3)

・竹書房文庫『ライブ全集①'93〜'95 稲川淳二の恐怖がたり〜祟り〜』(3) さて、本書に関しては2022年12月28日付「『稲川淳二のすご~く恐い話』(6)」に触れたように、刊行当時本書を見た中山市朗が、自分の話が使われ、かつ話の提供者と云う扱いになっ…

『稲川淳二の恐怖がたり』(2)

・竹書房文庫『ライブ全集①'93〜'95 稲川淳二の恐怖がたり〜祟り〜』(2) 昨日の続きで、1冊めの細目を確認して置こう。 まづ番号が打たれているカバー折返しの題を示し( )に頁を添えた。次いで改行して本文の2行の見出し(上詰め)を「 」に改行位置を…

『稲川淳二の恐怖がたり』(1)

本シリーズは、某区立中央図書館の児童室に全5冊が所蔵されていて、2016年8月16日付「淡谷のり子「私の幽霊ブルース」考証(1)」に1冊めを取り上げ、2016年11月20日付「鉄道人身事故の怪異(11)」に残りの4冊の書影も示して置いた。 なお、中断したままに…

道了堂(116)

昨日の続き。 ・『稲川怪談 昭和・平成・令和 長編集』第三章「怖い場所」の4話め、154~170頁「八王子の首なし地蔵」は、154頁2行め~161頁「お地蔵さんの祟り」に続いて、162~170頁「八王子怨霊地帯」と題する、道了堂跡の首なし地蔵の話になる。冒頭を抜…

八王子市の首なし地蔵(08)

2022年12月2日付(01)の冒頭に、稲川淳二が有名にした(と云って良いと思う)道了堂の首なし地蔵に関連して「‥‥。その上、稲川氏は近著に収録した「八王子の首なし地蔵」で余計な(!)改変を加えたため、今後、新たな混乱の発生が懸念されるのである。」な…

赤いマント(335)

・竹中労の赤マント体験(2) さて、竹中労が赤マント流言に接した時期と場所だが、①昭和3年(1928)3月生説の場合、2019年6月25日付(183)に見た田辺聖子と3日違いの生れで昭和9年(1934)4月小学校入学、昭和15年(1940)3月卒業、昭和14年(1939)2月の…

赤いマント(329)

私は4年前に「赤マント流言」に関する本を出したいと当ブログに書いたのだが、実はその後、消極的になっている。 構想としては『昭和十四年の「赤マント」』と題して、新聞・雑誌・日記等から拾った当時の記事を順を追って辿りながら、赤マント流言の発生・…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(189)

これも今日投稿しないと2022年は投稿なしになってしまうので急遽準備して投稿することにした。 2021年12月19日付(188)に続いて、叢書東北の声44『杉村顕道作品集 伊達政宗の手紙』に収録される小説の設定を検討したものを(189)と(190)として準備してい…

稲川淳二『稲川怪談』(8)

念のために断って置くと、私は『新耳袋』は殆ど読んでいない。何冊か借りて見たのだが、昨日の最後の方に述べたように、私はどうしても背景、すなわち、時代や場所、人間関係などの説明に具体性がなくて、体験そのものだけが書かれたものにはリアリティを感…

『稲川淳二のすご~く恐い話』(6)

昨日の最後に取り上げた、「中山市朗ブログ」の2009年04月15日「マスコミについて」に、稲川氏が『新耳袋』と共通の話をライブで語り、書籍にも載せていることについて「‥‥。で、あの人はライブで話したことを本にする(ゴーストライターが、ですけど)んで…

稲川淳二『稲川怪談』(7)

細かいところを見て行くと際限がなくなる上に、私はそもそも稲川淳二のことをそんなに知らぬので、このまま続けても勘違いをしては後でそのことに気付いて訂正また訂正と云うことになりそうだ。そんな訳で、この辺りで本題である稲川氏が取り上げて有名にな…

稲川淳二『稲川怪談』(6)

こんな記事を上げているものだから(但し殆ど閲覧されていないから気にする必要はないかも知れぬのだが)再々断っているように、私は怪異の体験談とか実話怪談とか云うものが苦手である。体験したと云う主張を否定するつもりはない。当人が見たと云う以上、…

稲川淳二『稲川怪談』(5)

昨日取り上げた②『昭和・平成・令和 長編集』第二章【4-2】「ピンクの女」は、昨日も注意したように【4-1】「闇夜の赤ん坊」と抱き合わせて【4】「ナオ・バーズ・バー」として纏められている。 そのため、初出『稲川淳二のすご~く恐い話(PARTⅠ)』第34話「…

稲川淳二『稲川怪談』(4)

一昨日、12月22日付(3)に見た、②『昭和・平成・令和 長編集』の「出典・初出一覧」に『稲川淳二のすご~く恐い話』の『ベストセレクション』が入っていることに注意し、昨日、そのリイド文庫『稲川淳二のすご~く恐い話 ベストセレクション』について、12…

『稲川淳二のすご~く恐い話』(5)

昨日述べたような理由で、実物未見ながら次の本を取り上げる。 ・リイド文庫『稲川淳二のすご~く恐い話 ベストセレクション』平成13年8月2日 第1刷発行・平成17年7月11日 第2刷発行・定価457円稲川淳二のすごーく恐い話ベストセレクション (…

稲川淳二『稲川怪談』(3)

昨日の続きで今年刊行された②『昭和・平成・令和 長編集』の細目と「出典・初出一覧」を眺めて置こう。要領は昨日に同じ。 ・7頁(頁付なし)扉「第一章 怖い記憶」全面に写真、カバー裏表紙「6」に同じ。 【1】真っ赤な男(8~13頁) ユニJオフィース 【2…

稲川淳二『稲川怪談』(2)

昨日の続きで①『昭和・平成傑作選』と②『昭和・平成・令和 長編集』の細目と222~223頁「出典・初出一覧」を合わせて確認して置こう。 ①②とも222頁1行めには「本書に掲載した作品は、リイド社より刊行された、次の書籍に掲載されたものを改訂・改題したもの…

稲川淳二『稲川怪談』(1)

稲川淳二は同じ話を繰り返し語っています。語り藝ですから、当然揺れがあります*1。単に稲川氏の怪談を愉しみたいと云うのであれば、前に聞いた、或いは読んだのと違うところが、少し引っ掛かって、SNSなどに書いて、それ以上別に何ともしない訳ですが、私は…

『稲川淳二のすご~く恐い話』(4)

・リイド文庫『稲川淳二のすご~く怖い話』(4)PARTⅢの細目 昨日の続きで③PARTⅢの細目を見て置こう。①と同じ要領で写真が挿入されているが、メモする余裕がなかった。再見の機会があれば補いたい。 「もくじ」の題は古印体、本文では行書体、人魂の枠は灰…

『稲川淳二のすご~く恐い話』(3)

・リイド文庫『稲川淳二のすご~く怖い話』(3)PARTⅡの細目 昨日の続きで②PARTⅡの細目を見て置こう。①と同じ要領で写真が挿入されているが、メモする余裕がなかった。再見の機会があれば補いたい。 「もくじ」と本文とも題は行書体。 第1話『犬泣きトンネ…

『稲川淳二のすご~く恐い話』(2)

・リイド文庫『稲川淳二のすご~く怖い話』(2)PARTⅠの細目 昨日の記事で、このシリーズの最初に出た3冊を並べて(仮に①②③として)装幀や構成を比較して見たのだが、②PARTⅡと③PARTⅢは先に返却してしまったので、細目と、気になった話若干についてメモが取…

『稲川淳二のすご~く恐い話』(1)

私は体験談に余り興味がない。それなのに取り上げる理由は、場所や時代、それから登場人物に対する興味からである。 稲川氏の話の場合、後で引用するが、どうも話を盛っているところが目に付いて、そのまま考証に使えない。しかも稲川氏は同じ話を繰り返し語…