瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

小説の背景

赤いマント(197)

・田辺聖子『私の大阪八景』(16) タヌキ先生⑧ 昨日の続きで、河合隼雄対談集『あなたが子どもだったころ』の四六判並製本(光村図書出版)と四六判上製本(楡出版)の、田辺氏との対談から、3節め「小学四年生という時代」を全文抜いて置こう。48頁下段7行…

赤いマント(195)

・田辺聖子『私の大阪八景』(14) タヌキ先生⑥ 昨日書影を示した河合隼雄対談集『あなたが子どもだったころ』の四六判並製本(光村図書出版)と四六判上製本(楡出版)の関係だが、頁数が一致するところから察せられるように、装幀が違うだけで本体はほぼ同…

赤いマント(194)

・田辺聖子『私の大阪八景』(13) タヌキ先生⑤ 昨日で『私の大阪八景』については一区切りにして、今日から新たに、大阪でやはり小学生時代にこの流言に接した人物の回想を取り上げる予定だったのだが、念のため「答案の回覧」について述べている本をもう1…

赤いマント(184)

・田辺聖子『私の大阪八景』(3) 昨日に続いて、主人公「トキコ」の設定と、作者の田辺氏の経歴とを比較して、と云うことを一応考えていたのだが、これを始めるとまた相当長くなってしまう上に、既に田辺氏を研究している人によって済まされているであろう…

赤いマント(177)

・延吉実『司馬遼太郎とその時代』(2) 本書は6月1日付(176)に示したように、全2巻であるが、1冊めの『戦中篇』311~313頁「おわりに」の末尾近く、312頁17行め~313頁1行めに、 『司馬遼太郎とその時代』は、戦前・戦中・戦後の三部構成(全三巻)で構…

川端康成『朝雲』(9)

続いて「文學ト云フ事」の予告編について検討するつもりだったのだけれども、動画を再生させながら原作と色々な場面を対照させる余裕がなかったのでしばらく後に回す。 さて、私は当時、緒川たまきや井出薫を見て、憧れのような気分にはなったけれども、それ…

川端康成『朝雲』(3)

昨日の続き。 当ブログの初期に参照してリンクを貼付したサイトの中には、リンク切れになっているページも少なくなく、その中には移転して存続しているページもあるけれども、跡形もなく消えてしまったページもある。そんな中で最初期の2011年1月1日付「森鴎…

川端康成『朝雲』(2)

昨日上げた下書きには、1行空けて以下の追加があります。これが2017年11月に加筆した分かも知れません。 戦前の高等女学校の教師で、戦中に若くして死んだ文学者に、渡辺直己・新美南吉・中島敦がいる。 祖母が日本橋出身と云う生徒に、私立女子高に孫が通っ…

川端康成『朝雲』(1)

以下は2016年8月22日に書いた下書き*1。朝雲作者: 川端康成出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1946/04/12メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る 前置きとして未見だけれども昭和21年(1946)版の書影を貼付して置く。初版は昭和20年(19…

森類『鴎外の子供たち』(5)

・山﨑國紀『鴎外の三男坊 森 類の生涯』(4) 昨日、〈第九章〉の123頁3行め~125頁(5行め)「4 絵画から小説執筆へ――その苦闘」の節、123頁6~8行めに「‥‥。類が、於菟に「小倉日記」/の写しを預け、岩波書店に行ってもらい、その結果を聞きに行った翌…

森類『鴎外の子供たち』(4)

昨日の続き。 ・山﨑國紀『鴎外の三男坊 森 類の生涯』(3) 本当なら頭から順にメモを取りながら読むところなのだけれども、なかなかその余裕がない。だから、風呂上りの湯冷ましなどに読んで、粗方読み終えてしまった。細かいところでいろいろ気になった…

森類『鴎外の子供たち』(3)

昨日の続きで、参考として参照した著者の評伝について。 ・山﨑國紀『鴎外の三男坊 森 類の生涯』(2) 第1版の第1刷と第2刷・第4刷を比較して見た。 異同は奥付の発行日の2行めの追加と、カバー裏表紙の左上の2行、1行めが第1刷・第2刷は「ISBN4-380…

森類『鴎外の子供たち』(1)

小金井喜美子や森於菟の、鴎外についての回想の諸本を借りて来たついでに、森茉莉や小堀杏奴、それから森類『鴎外の子供たち』も借りて来て、メモを取ってみたのだが、ダイアリーからブログに移行するに際して、過去の記事を通覧していたら、2013年2月28日の…

別冊太陽「森鴎外」(2)

・別冊太陽 日本のこころ 193「森鴎外 近代文学界の傑人」(2) ・昨日見た1章め、山崎一穎「鴎外の生涯」には、研究者や作家の書いたコラムが5つ挿入されているが、その4つめ、36~39頁、岡井隆「詩歌人 鴎外の謎と魅力/日露戦争従軍の体験詩歌句集『うた…

別冊太陽「森鴎外」(1)

・別冊太陽 日本のこころ 193「森鴎外 近代文学界の傑人」 2012年2月17日 初版第1刷発行・平凡社・定価2300円・159頁・A4判並製本森鴎外―近代文学界の傑人 (別冊太陽 日本のこころ 193)作者: 山崎一穎出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2012/01/19メディア: …

小金井喜美子『鴎外の思ひ出』(1)

・単行本(八木書店・四六判上製本) ・昭和三十一年一月二十九日発行(四+四+二六五頁)定価 四百五十円 ・昭和三十一年一月二十九日初版発行・昭和三十一年四月 十 日再版発行・定価 四百五十円 装幀に初版と再版で異同はない。古書店のサイトに拠れば、…

小金井喜美子『森鴎外の系族』(1)

著者の小金井喜美子(1870.十一.二十九〜1956.1.26)は作家森鴎外(1862.正.十九〜1922.7.9)劇評家三木竹二(1867.九.五〜1908.1.10)の妹で近世学藝史家森潤三郎(1879.4.15〜1944.4.6)の姉。夫は東京帝国大学医学部教授小金井良精(1858.十二.十四〜1944…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(83)

・末広昌雄「雪の夜の伝説」(18) 昭和31年(1956)の「山と高原」二月号(第二三三号)掲載「雪の夜の伝説」の「狩山の鼠」は、前回引用したところまでで終わりですが、佐々木喜善『東奥異聞』の「嫁子ネズミの話」の「一」節めは、最後に12月12日付(78)…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(30)

・白銀冴太郎「深夜の客」(6) 一昨日からの続きで、①白銀冴太郎「深夜の客」と②杉村顕道「蓮華温泉の怪話」の比較を最後まで済ませるつもりだったのだけれども、前回、事実尊重と云う点を問題にしたので、今回はこの点をもう少々詰めて置こうと思う。 『…

高濱虚子「杏の落ちる音」(2)

昨日の続き。 ・岩波文庫31-028-4『風流懺法 他三篇』(2) カバー表紙には緑地に白の横線が21本、中央上部、横線の4本めから12本めまでに掛かる黒の正方形、その上部に明朝体横組みで「風流懺法/他三篇/高浜虚子作」とあって下部に緑で「岩波」の壺印。…

高濱虚子「杏の落ちる音」(1)

私は次の本を読んで、この小説を知った。 ・山口昌男『内田魯庵山脈 〈失われた日本人〉発掘』 晶文社・597頁+醱醱鄴頁内田魯庵山脈―「失われた日本人」発掘作者: 山口昌男出版社/メーカー: 晶文社発売日: 2001/01メディア: 単行本 クリック: 40回この商品…

松本清張『鬼畜』(12)

12月23日付「松本清張『黒い手帖』(3)」に目録を示した中公文庫『黒い手帖』には、「鬼畜」のもとになった話をメモした「創作ノート ㈠」が収録されている。以下、初版の改行位置を「/」改版のそれを「|」で示す。各項2行め以下は1字下げだが詰めた。初…

松本清張『ゼロの焦点』(6)

・関川夏央『昭和三十年代 演習』(3) 主人公の禎子は昭和33年(1958)12月の短期間に夫、独自に夫の行方を捜索していた義兄(夫の兄)、夫の後任で夫の捜索を献身的に行っていた本多良雄の3人が死ぬ、うち2人は毒殺と云う尋常でない状況下*1に置かれてい…

松本清張『ゼロの焦点』(5)

・関川夏央『昭和三十年代 演習』(2) 『昭和三十年代 演習』と云う本についての確認で少々飛んでしまいましたが、それでは5月24日付(5)の続きで、『昭和三十年代 演習』に見える本作に関するコメントを見て置きましょう。 「第二講/「謀略」の時代──…

松本清張『ゼロの焦点』(4)

・関川夏央『昭和三十年代 演習』2013年5月28日第1刷発行・定価1500円・岩波書店・醃+194+6頁・四六判上製本昭和三十年代 演習作者: 関川夏央出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2013/05/29メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る 関川氏の書…

関田一喜『坐禅の構造と実践』(1)

2015年12月12日付「山本禾太郎「東太郎の日記」(34)」に予告した、山本禾太郎が米島清の筆名で応募した「第四の椅子」が第一次予選通過作品となった、昭和3年(1928)の讀賣新聞社「本社五十五周年記念懸賞大衆文藝」で、二等当選となった「河豚クラブ」の…

『吉野賛十探偵小説選』(1)

・論創ミステリ叢書65『吉野賛十探偵小説選』2013年7月15日初版第1刷印刷・2013年7月30日初版第1刷発行・定価3600円・論創社・368頁・A5判上製本)吉野賛十探偵小説選 (論創ミステリ叢書)作者: 吉野賛十,横井司出版社/メーカー: 論創社発売日: 2013/07メ…

山本禾太郎「第四の椅子」(24)

・讀賣新聞社「本社五十五周年記念懸賞大衆文藝」(24) 昨日の続きで、昭和3年(1928)12月11日付「讀賣新聞」の(二)面、発表記事に載る関田氏の受賞コメントについて見て置きましょう。11月25日付(09)の最後に引用した見出しに続いて、7〜10段め、 二…

山本禾太郎「第四の椅子」(23)

・讀賣新聞社「本社五十五周年記念懸賞大衆文藝」(23) 前回までで記事の紹介をほぼ終えたので、後は経歴の判明する人について調べて報告しようと思っておったのですが、なかなか調べに出る余裕を作れないのです。 昭和3年(1928)12月11日付「讀賣新聞」の…

山本禾太郎「第四の椅子」(22)

・讀賣新聞社「本社五十五周年記念懸賞大衆文藝」(22) いよいよ最後に山本氏が米島清の筆名で応募した「第四の椅子」の選評を眺めて置きましょう。 白井喬二の選評(50点・5位) ―米島清氏の「第四/の椅子」は、一種の靈感奇話/とでもいふのであらうが…