瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

小説の背景

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(188)

・叢書東北の声44『杉村顕道作品集 伊達政宗の手紙』(11)「車夫の行方」 本作には執筆時期推定の手懸かりが全くない(と思う)。 84頁上段14行めに2行取りで「松尾芭蕉の手紙」と同じ「※」を打って、前後に分けてある。 物語は慶応四年(1868)五月十日、…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(187)

・叢書東北の声44『杉村顕道作品集 伊達政宗の手紙』(10)「松尾芭蕉の手紙」② 昨日の続き。 50頁上段1~13行めは前置きで、以下、章分けは番号ではなく2行取りで中央にやや大きく「※」を打っている。以下、仮に【番号】を振りながらその位置を示し、それぞ…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(186)

・叢書東北の声44『杉村顕道作品集 伊達政宗の手紙』(9)「松尾芭蕉の手紙」① 12月12日付(181)に引用した、杉村氏の次女・杉村翠の談話「父・顕道を語る」には、敗戦直後に刊行した小説本について「けれども、やはり筆で生活する夢はあったようです。」と…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(185)

・叢書東北の声44『杉村顕道作品集 伊達政宗の手紙』(8)「伊達政宗の手紙」 さて、借り出した当日、駅や帰りの車中で土方正志「解説」や「底本一覧」を見ても各作品の執筆時期が説明されていなかったことから、その興味でまづ表題作を読み始めた。そして…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(182)

・叢書東北の声44『杉村顕道作品集 伊達政宗の手紙』(5)樺太から仙台へ 昨日の続きで土方正志「◎解説◎杉村顕道の足跡」の気になったところをメモして置く。 ・476頁下段7行め「見い出され」は「見出され」。 ・484頁上段16行め「三遊亭可楽」は「三笑亭可…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(181)

・叢書東北の声44『杉村顕道作品集 伊達政宗の手紙』(4)未収録作品について 12月9日付(178)から本書を取り上げているので(4)とした。 この他に、土方正志「解説 杉村顕道の足跡」の気になったところとしては、昨日の引用の続き、480頁下段9行め~482…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(180)

・杉村顕道の家系(7) 叢書東北の声44『杉村顕道作品集 伊達政宗の手紙』488頁下段~492頁「付「金田一京助 杉村顕道未刊行和訳唐詩選序文」について」は、12月9日付(178)に引いたように「カメイ記念展示館」での杉村惇回顧展に際して設けられた「顕道コ…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(179)

・杉村顕道の家系(6) 昨日の続き。 私の杉村氏の著書『信州の口碑と傳説』及び『信州百物語』、そして「蓮華温泉の怪話」の検討結果は、一昨年の8月から10月に掛けて、Twitter に53回(!)にわたって「杉村顕道「蓮華温泉の怪話」の素性」と題して連投し…

白馬岳の雪女(078)

・遠田勝『〈転生〉する物語』(37)「五」1節め③ 一昨日の続きで101頁7~9行め、『日本伝説傑作選』へのコメントを見て置こう。 6の「白馬の雪女」(『日本伝説傑作選』)は、松谷みよ子と同じく、村沢武夫の「雪女郎の正体」/を原拠とする、職業作家の手に…

白馬岳の雪女(076)

・遠田勝『〈転生〉する物語』(35)「五」1節め① 「第一部 旅するモチーフ」=「小泉八雲と日本の民話――「雪女」を中心に」の最後の章は、100頁4行め~129頁「五 遠野への道」と題されている。その最後は1行分空けて129頁8行め、 こうして「雪女」は、遠野…

中島悦次『傳説の誕生』(4)

さて、本書9章め「傳説雪女」については、「あとがき」三二九頁3行めに「 同 「傳説雪女」 昭和 八・ 二・ 八(水) 後六・二五―六・五五」とあって、昭和8年(1933)2月8日水曜日の18時25分から55分に日本放送協会東京放送局(JOAK)の第一放送「趣味講座「傳説…

白馬岳の雪女(61)

一昨日からの続き。 ・橘正典『雪女の悲しみ』(3) 昨日は、目録・データベース類の誤りと、本書執筆の背景を見ただけで終わってしまった。 さて、表題作となっている「雪女の悲しみ/ ――ラフカディオ・ハーン『怪談』考――」だけれども、昨日示した『富山…

白馬岳の雪女(56)

白馬岳から随分離れ、丸山氏の文章からも遠ざかっているが、仕方がない(?)ので昨日の続き*1。 ・丸山隆司「【研究ノート】民話・伝説のポストコロニアリスム」(5) ところが平成6年(1994)の「和人のアイヌ文化理解について――事例その1 青木純二『アイ…

白馬岳の雪女(50)

昨日の続き。 ・遠田勝『〈転生〉する物語』(25)「一」8節め④ 遠田氏は、この丸山氏の文章には気付いていないようだ。ここで同じ箇所――「はしがき」6段落めを抜いての、遠田氏のコメントを、事の序でに見て置こう。37頁2~13行め、「一 白馬岳の雪女伝説」…

白馬岳の雪女(49)

8月27日付(31)に青木純二のアイヌ伝説捏造(疑惑)について、遠田勝『〈転生〉する物語――小泉八雲「怪談」の世界』検討の序でに、近年の Twitter の諸氏の指摘を中心におさらいして見た。 しかしながら、久し振りに振り返ったものだからうっかりして、一昨…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(174)

記事のタイトルは「白馬岳の雪女(37)」或いは「上田満男『わたしの北海道』(4)」でも良かったのだが、私の青木純二調査のそもそものきっかけは「木曾の旅人」の改作者としての興味からだったのでこの題にして置こう。 ・上田満男『わたしの北海道』更科…

白馬岳の雪女(31)

昨日の続き。 ・遠田勝『〈転生〉する物語』(11)「一」8節め① 続く34頁12行め~38頁9行め、8節め「「雪女」と偽アイヌ伝説」にて、遠田氏は青木氏が既に『アイヌの傳説と其情話』にて2話も、ハーンの「雪女」の翻案を行っていた、と指摘する。 青木氏のアイ…

白馬岳の雪女(29)

昨日の続き。 ・遠田勝『〈転生〉する物語』(09)「一」6節め 30頁13行め~32頁10行め、6節め「バレット文庫の「雪女」草稿」の前半を抜いて置こう。30頁14行め~31頁8行め、 白馬岳の「雪女」伝説が、ハーンの「雪女」に由来するもうひとつ有力な証拠をあ…

白馬岳の雪女(20)

昨日の続き。 ・和田登『民話の森・童話の王国 信州ゆかりの作家と作品』(2) 白馬岳の「雪女」には第2部に登場する松谷みよ子が大きく関わっているのだけれども、本書では、第1部にのみ取り上げられている。 すなわち「第1部 民話編」の「3 妖怪伝説…

白馬岳の雪女(17)

・遠田勝『〈転生〉する物語』(01)はじめに① それでは、差当り「十六人谷」についての確認が終わったところで、今度こそ7月31日付(04)の続きで、8月1日付(05)に保留にした遠田勝『〈転生〉する物語――小泉八雲「怪談」の世界』の内容を検討して行こう。…

白馬岳の雪女(14)

・辺見じゅん「十六人谷」(6)自筆草稿 今日から遠田勝及び牧野陽子の著書に取り掛かるつもりだったが、辺見じゅん「十六人谷」に関して若干、メモ程度の追加をして置きたい。 ・「高志の国文学館 年報」平成25年度(平成26年11月25日発行・高志の国文学館…

白馬岳の雪女(04)

7月22日付(03)の続き。 私は、所謂「蓮華温泉の怪話」は青木純二が岡本綺堂「木曾の旅人」に想を得て捏造したものと考えているが、そのついでに、所謂検算みたいな按配で、類例である白馬岳の雪女についても検討して見ようと思ったのである*1。そこで「蓮…

小谷野敦の新書(1)

私は小谷野敦(1962.12.21生)の著書はブログや Twitter の延長のような感じで大体面白く読んでいる。ミステリーファンから酷評されていた『このミステリーがひどい!』も、どうも探偵小説を手にする気になれない(2時間ドラマなど映像化されたものは見てい…

芥川龍之介「尾生の信」(11)

一昨日からの続き。 ・『荘子』雜篇盗跖第二十九(3) 「盗跖篇」には「一」孔子と盗跖の問答の他に2話「二」子張と満苟得の問答(115~123頁)、「三」无足と知和の問答(124~133頁)が収録されている。その「二」にも、似たような文脈で尾生が持ち出され…

芥川龍之介「尾生の信」(10)

昨日の続き。 ・『荘子』雜篇盗跖第二十九(2) 友人の柳下季の弟・盗跖を正道に戻そうと、柳下季の止めるのも聞かずに顔回と子貢を供に連れて盗跖の許に出向いた孔子が、しょうもないおべんちゃらを言って盗跖を怒らせ、十倍返しくらいの反論を喰らって逃…

芥川龍之介「尾生の信」(09)

・『荘子』雜篇盗跖第二十九(1) 「孔子倒れ」の語源となった(?)盗跖と孔子の問答に、尾生が登場する。『荘子』は学部生時代に金谷治訳注の岩波文庫で揃えた*1。 ・岩波文庫33-206-4『荘子 第四冊(雑篇)』1983年2月16日 第1刷発行・1993年10月15日 …

芥川龍之介「尾生の信」(08)

さて、これまで日本で「尾生(の信)」について説明のある書物、寛永六年(1629)刊『春鑑抄』、明治39年(1906)刊『支那奇談集 第二編』、大正元年(1912)刊『〈故事/俚諺〉教訓物語』を見て来た。もちろん、まだまだあるであろう。 7月9日付(06)に見…

芥川龍之介「尾生の信」(5)

さて、7月6日付(3)に見た近事畫報社の『支那奇談集 第二編』の「尾生の信」で上げ汐で溺れ死んだことになっていることが、私にはどうにも腑に落ちない。 原文は、これから色々見るつもりだけれども、いづれも馮夢龍『情史』程度の短いものである。だから…

芥川龍之介「尾生の信」(2)

・岩波文庫31-070-15(2) 昨日「違和感」があるので「手にしていない」と書いた岩波文庫だが、勤めの帰りに図書館に立ち寄ったら棚にあったので借りて来た。刊年月日・定価・頁数は昨日の記事に追加して置いた。 カバー表紙の紹介文は以下の通り。 隅田川…

池内紀『昭和の青春 播磨を想う』(3)

昨日の続き。 「昭和の青春」の諸篇を眺めていると、最後がやや尻すぼみになっているような印象が拭えない。しかしながら最後、【14】篇めが「終わりと始まり」と題しているところからして、急に打ち切りになったのではないだろう。 しかしながら、【12】「ち…