瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

小説の背景

佐木隆三『復讐するは我にあり』(2)

昨日の続き。 ・福樹荘の神吉梅松弁護士(2) さて、前回参照した大正15年(1926)5月1日現在『東京電話番号簿』に神吉氏の名は見当たらないようであるが、中央区立図書館地域資料室アーカイヴス「電話帳簿」を見て行くと、神吉氏の名前も拾うことが出来る…

赤いマント(323)

さて、昨日の続きで朝倉喬司『毒婦伝』に赤マント流言が取り上げられていることと、そこでの扱いが他の朝倉氏の著書と食い違っていることについて確認しようと思っていたのだけども、他のことにかまけているうちに、ちくま文庫『犯罪百話 昭和篇』と能美金之…

奥野健男『北杜夫の文学世界』(5)

昨日は「あとがき」に見える本書編集の切っ掛け、著者の奥野氏、対象である北氏、そして編集者の宮脇氏の3人の関係について見て終わってしまったが、今回は「あとがき」の後半から、具体的な内容に関する記述を見て置こう。①169頁②201頁8行め~①170頁②202頁6…

奥野健男『北杜夫の文学世界』(4)

私は資料として使おうと思った書物について、異版がある場合、一応、諸本を確認してその本の由来や改訂箇所など、版ごとの特色なりを確認して置くことにしていて、当ブログはその備忘録みたいなものである。もちろん異版と云うなら、初出まで確認して置きた…

奥野健男『北杜夫の文学世界』(2)

昨日の続きで①単行本と②文庫版の比較。 ①の見返し(遊紙)は緑色、同じ厚みのベージュ色の扉、上部にカバー表紙と同じ明朝体横組みの標題と著者名が、縮小されてやや下に入っている。最下部中央の版元名は同じ大きさ・位置。やはりカバー表紙と同じ柄が黄土…

和田芳恵の小説モデル研究(3)

当時のメモには2020年12月30日付(1)に示した『名作のできるまで』の疑問点メモと、2020年12月31日付(2)に示した『おもかげの人々』の初出情報に加えて、一覧表がある。 しかしここでは、一覧表の後にある註記を先に引いて置こう。 モデル考察本 ●『近…

和田芳恵の小説モデル研究(2)

続いて昨日触れた次の本のメモを、書影を補い若干の修訂を加えて上げて置く。当時のメモなので現在とは書き方が違っている。2008年2月24日に読み始めて、3月12日読了。 * * * * * * * * * *和田芳恵『おもかげの人々 名作のモデルを訪ねて』昭和51…

和田芳恵の小説モデル研究(1)

その後、貴重書扱いされて貸出禁止となってしまったが、以前の千代田図書館では戦前の東京市立駿河台図書館以来の本でも貸してくれた。そんな思い出もいづれ書いて見たいと思っているが、次の本は2008年2月23日に借りて3月8日に一旦返却し、改めて借り直して…

赤いマント(310)

・宮田登の赤マント(7)阿部定と赤マント③ 昨日は「奇しくも」だけで終わってしまいましたが、他の内容についても見て置きましょう。 やはり気になるのは赤マント流言を「「赤マントの女」事件」と呼んでいることです。当ブログではこれまで紹介されて来な…

赤いマント(299)

・田辺聖子の赤マント(1) 田辺聖子『私の大阪八景』に、赤マント流言が取り上げられていることは、2019年7月3日付(191)及び2019年7月4日付(192)に当該箇所を引用して、その前後に『田辺写真館が見た ”昭和” 』なども参照しつつ、モデルとなった田辺氏…

赤いマント(294)

・北杜夫の赤マント(9) また赤マント流言の話に戻れなくなってしまいました(笑)が、乗り掛かった船ですので昨日予告した件について確認して置きます。――まぁ、こんな寄り道ばかりしているから検索サイトからも見放されてしまうのでしょう。或いは「釣り…

赤いマント(286)

・北杜夫の赤マント(1) 北杜夫『楡家の人びと』に取り上げられている赤マント流言を論考に活用したのは、本田和子(ますこ。1931.1.15生)が最初ではないかと思うのだけれども、本田氏がどのように取り扱っているか、当ブログでは2013年11月20日付(30)…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(167)

・青木純二原作映画『地獄の唄』(2) 念のため、「日活」HPでも確認して見た。 ・「地獄の唄 前篇」 地獄の唄 前篇 (じごくのうた1) 都新聞懸賞連載小説を映画化したもので、新入社の根岸東一郎、辻峯子を主役とし、「大地は微笑む」の合同監督の後に…

阿知波五郎「墓」(17)

昨日の続き。 次いで6月12日付(14)に引いた3日め「七月二十一日。」条の冒頭の「渇にたえられぬまま」水を飲む場面があり、そして初めて、何でこんなことを計画したのかが、説明される。続きを抜いて置こう。425頁2~11行め、 野球のボールが書庫の壁に当…

阿知波五郎「墓」(12)

昨日の続きで、ちくま文庫『絶望図書館――立ち直れそうもないとき、心に寄り添ってくれる12の物語』344~346頁「[閉鎖書庫 番外編]/入れられなかった幻の絶望短編」の、かなり詳細に及ぶ情報募集告知について、検討して見よう。 まづ冒頭、344頁4~13行め、 …

芥川龍之介旧居跡(15)

・群像 日本の作家 11『芥川龍之介』(2) 昨日の続きで、槌田満文「文学紀行/芥川の東京・湘南を歩く」について、ゴシック体の見出しを列挙して置こう。見出しのある行の前は1行空け。 190頁上段1行め「龍之介ゆかりの地」、190頁下段3行め「田端の旧居跡…

芥川龍之介旧居跡(14)

・群像 日本の作家 11『芥川龍之介』一九九一年四月十日 初版第一刷発行・定価1748円・小学館・351頁・四六判上製本芥川龍之介 (群像 日本の作家)作者:後藤 明生出版社/メーカー: 小学館発売日: 1991/03メディア: 単行本 奥付の前(351頁の裏)の目録による…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(122)

・杉村顯『信州百物語』の評価(3) 9月15日付(118)の続き。 前回(昨日)も問題にしたが、② 著者が判明したことも、本書が復活を遂げる(?)に与って大いに力があったと思われる。 作者も成立事情も分からぬまま本書を読んだ場合、「怪奇」でないただの…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(118)

・杉村顯『信州百物語』の評価(2) 繰り返しになるが、――結論を言うと、本書は編集に時間を掛けていない、やや安易に編纂された伝説集であった。 それが最近、やや名が知られるようになったのには、次の4つの要因が考えられる。 ① 岡本綺堂「木曾の旅人」…

赤いマント(197)

・田辺聖子『私の大阪八景』(16) タヌキ先生⑧ 昨日の続きで、河合隼雄対談集『あなたが子どもだったころ』の四六判並製本(光村図書出版)と四六判上製本(楡出版)の、田辺氏との対談から、3節め「小学四年生という時代」を全文抜いて置こう。48頁下段7行…

赤いマント(195)

・田辺聖子『私の大阪八景』(14) タヌキ先生⑥ 昨日書影を示した河合隼雄対談集『あなたが子どもだったころ』の四六判並製本(光村図書出版)と四六判上製本(楡出版)の関係だが、頁数が一致するところから察せられるように、装幀が違うだけで本体はほぼ同…

赤いマント(194)

・田辺聖子『私の大阪八景』(13) タヌキ先生⑤ 昨日で『私の大阪八景』については一区切りにして、今日から新たに、大阪でやはり小学生時代にこの流言に接した人物の回想を取り上げる予定だったのだが、念のため「答案の回覧」について述べている本をもう1…

赤いマント(184)

・田辺聖子『私の大阪八景』(3) 昨日に続いて、主人公「トキコ」の設定と、作者の田辺氏の経歴とを比較して、と云うことを一応考えていたのだが、これを始めるとまた相当長くなってしまう上に、既に田辺氏を研究している人によって済まされているであろう…

赤いマント(177)

・延吉実『司馬遼太郎とその時代』(2) 本書は6月1日付(176)に示したように、全2巻であるが、1冊めの『戦中篇』311~313頁「おわりに」の末尾近く、312頁17行め~313頁1行めに、 『司馬遼太郎とその時代』は、戦前・戦中・戦後の三部構成(全三巻)で構…

川端康成『朝雲』(9)

続いて「文學ト云フ事」の予告編について検討するつもりだったのだけれども、動画を再生させながら原作と色々な場面を対照させる余裕がなかったのでしばらく後に回す。 さて、私は当時、緒川たまきや井出薫を見て、憧れのような気分にはなったけれども、それ…

川端康成『朝雲』(3)

昨日の続き。 当ブログの初期に参照してリンクを貼付したサイトの中には、リンク切れになっているページも少なくなく、その中には移転して存続しているページもあるけれども、跡形もなく消えてしまったページもある。そんな中で最初期の2011年1月1日付「森鴎…

川端康成『朝雲』(2)

昨日上げた下書きには、1行空けて以下の追加があります。これが2017年11月に加筆した分かも知れません。 戦前の高等女学校の教師で、戦中に若くして死んだ文学者に、渡辺直己・新美南吉・中島敦がいる。 祖母が日本橋出身と云う生徒に、私立女子高に孫が通っ…

川端康成『朝雲』(1)

以下は2016年8月22日に書いた下書き*1。朝雲作者: 川端康成出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1946/04/12メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る 前置きとして未見だけれども昭和21年(1946)版の書影を貼付して置く。初版は昭和20年(19…

森類『鴎外の子供たち』(5)

・山﨑國紀『鴎外の三男坊 森 類の生涯』(4) 昨日、〈第九章〉の123頁3行め~125頁(5行め)「4 絵画から小説執筆へ――その苦闘」の節、123頁6~8行めに「‥‥。類が、於菟に「小倉日記」/の写しを預け、岩波書店に行ってもらい、その結果を聞きに行った翌…

森類『鴎外の子供たち』(4)

昨日の続き。 ・山﨑國紀『鴎外の三男坊 森 類の生涯』(3) 本当なら頭から順にメモを取りながら読むところなのだけれども、なかなかその余裕がない。だから、風呂上りの湯冷ましなどに読んで、粗方読み終えてしまった。細かいところでいろいろ気になった…