瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

石角春之助 編輯「江戸と東京」(12)

・濱本浩「塔の眺め」(8) ここで一旦、添田知道「十二階の記憶」から離れて「塔の眺め」に戻ろう。32頁下段11行め~33頁上段9行め、 ‥‥。ところで、最近になつ/て、田山花袋氏の著書の中に思ひがけなく「十二階の眺め」な/る一項があつた。早速讀んでみる…

石角春之助 編輯「江戸と東京」(11)

・濱本浩「塔の眺め」(7) 一昨日からの添田知道「十二階の記憶」の検討の続き。39頁中段22行め~下段13行め、 だからこれは「だまかした」といふ/のとは些か違ふ。濱本氏にも此の通り/【39中】話したのであつたが、それが「十階目/の飴屋をだまかした…

石角春之助 編輯「江戸と東京」(10)

・濱本浩「塔の眺め」(6) 昨日の最後に引いた添田知道「十二階の記憶」の続きを見て置こう。38頁上段14行め~中段7行め、 結局作品の中には使はないでもすん/でしまつた「十二階から信濃の山が見/えるか」といふことに就いて、あれだ/けの苦勞をしてゐ…

石角春之助 編輯「江戸と東京」(09)

・濱本浩「塔の眺め」(5) 昨日取り上げた「十二階の斜塔」問題には、実はもう少々資料があるのだけれども、濱本氏の文章の関連では『淺草』1冊で十分なので、後回しにして先に進もう。 続く段落に添田知道(さつき)が登場する。32頁上段17行め~下段11行…

石角春之助 編輯「江戸と東京」(8)

・濱本浩「塔の眺め」(4) 昨日の続き。31頁下段19行め~32頁上段16行め、 ところが、ある日、某大學の出版部から出た、ある著名な/淺草研究家の著書を見て居ると、十二階のことを斜塔と書き/【31下】この斜塔の上の紅い燈は千住の大橋から、隅田川の船…

石角春之助 編輯「江戸と東京」(7)

・濱本浩「塔の眺め」(3) 一昨日からの続きで、31頁上段12行め~下段6行め、 ところが、では何の邊まで見へましたでせう? ときくと/僕も見たことがないから知らぬがね、との返答であつた。貴/君のやうな淺草通が塔の眺めを知らぬのはをかしいではない…

石角春之助 編輯「江戸と東京」(6)

・濱本浩「塔の眺め」(2) さて、「塔の眺め」に戻ろう。以下しばらく、凌雲閣十二階から何処まで見渡せたのか、32頁下段8行めまで、濱本氏の調査が綴られている。今回は31頁上段11行めまで抜いて置こう。 そこで登つたことのありさうな知人に就て確めやう…

石角春之助 編輯「江戸と東京」(5)

・濱本浩「塔の眺め」(1) 昨日の続き。――佐藤健二の纏めた「喜多川周之「十二階凌雲閣」問わず語り」に拠ると、喜多川周之(1911.6.9~1986.11.13)は昭和35年(1960)頃に、添田知道(1902.6.14~1980.3.18)から濱本浩(1891.4.20~1959.3.12)が自分の…

佐藤健二『浅草公園 凌雲閣十二階』(5)

第三章「「十二階凌雲閣」問わず語り」については、細目を示して置きたいようにも思うのだが、どうもこのところ先月に比べれば随分涼しくはなったけれども、湿度は高いままで、どうにも草臥れたままである。よって直ちに本題に入ろうと思う。 この第三章の大…

佐藤健二『浅草公園 凌雲閣十二階』(4)

本書の主人公とも云うべき喜多川周之との関わりについては、9月17日付(1)に述べたるように、第三章「「十二階凌雲閣」問わず語り」の前置きに纏めてある。 前置きの1項め、175頁12行め~178頁14行め「都市の故老」に拠れば、佐藤氏が喜多川氏に初めて会っ…

佐藤健二『浅草公園 凌雲閣十二階』(3)

一昨日の続き。 9月17日付(1)に引いた「あとがき」に、佐藤氏本人が述べているように「いささか風変わり」で「すこし破格」な本書は、すんなり計画が進んで刊行された訳ではないらしい。410頁8~11行め、 この本はすでに暗示しているように、いくつかの出…

祖母の蔵書(152)モーム

・創元推理文庫 111『秘密諜報部員』サマセット・モーム 龍口直太郎訳 1959年5月20日初版・1963年8月2日12版・定価160円・東京 創元新社・379頁秘密諜報部員 (1959年) (創元推理文庫)作者:サマセット・モームAmazon この本は客間のクローゼット左側1段め…

佐藤健二『浅草公園 凌雲閣十二階』(2)

昨日の続き。 本書は、Amazon レビューにあったように、凌雲閣についての概要を手っ取り早く知りたいと云う人には不向きかも知れない。その点は「細馬宏通『浅草十二階』青土社、二〇〇一」として度々言及されている細馬宏通の著書を参照した方が良いかも知…

佐藤健二『浅草公園 凌雲閣十二階』(1)

石角春之助 編輯「江戸と東京」は近隣の市の図書館にある復刻版を初め、第一冊と第四冊を昨年の9月下旬に借り*1、10月上旬に第二冊と第三冊を借りて2週間ほど全4冊揃えて眺め、それから10月20日に第一冊と第四冊を返却したのだが、序でに書架にて関連しそう…

石角春之助 編輯「江戸と東京」(4)

・小木新造 監修/槌田満文・大串夏身・佐藤健二・吉見俊哉 編集・解説『復刻『江戸と東京』』第四冊(2) 佐藤健二「解説3◉『江戸と東京』瞥見――巻頭言と広告を読みながら――」の最後の段落(373頁12~14行め)に、 全体としてどんな意味がありうるか、予…

石角春之助 編輯「江戸と東京」(3)

前回の補足。 佐藤氏が「追悼号の斎藤の回想(㉗)」と云っているのは、第六卷第一號16~17頁中段9行め(復刻第四冊278~279頁)に収録される斎藤昌三「風の如き春之助君」であるが、この文章は次の本に再録されている。 ・少雨叟第六随筆集『書齋隨歩』昭和…

石角春之助 編輯「江戸と東京」(2)

・小木新造 監修/槌田満文・大串夏身・佐藤健二・吉見俊哉 編集・解説『復刻『江戸と東京』』第四冊 国立国会図書館にはこの復刻版しか所蔵されていない。この復刻版も9月12日付(1)に示した卷號を見るに不定期刊行で番号が飛んでいる。しかし、これで全…

祖母の蔵書(151)森村誠一

寝間の隅の小簞笥の下の段ボールに3冊あった。 ・角川文庫10688/も 3-42 『棟居刑事の推理』平成十年五月二十五日 初版発行・定価476円・角川書店・268頁棟居刑事の推理 (角川文庫)作者:森村 誠一角川書店Amazon・朝日文庫 も 6-5『虹の刺客 小説・伊達騒動…

石角春之助 編輯「江戸と東京」(1)

・小木新造 監修/槌田満文・大串夏身・佐藤健二・吉見俊哉 編集・解説『復刻『江戸と東京』全四冊』一九九一年四月二五日 初版第一刷・明石書店・A5判上製本 以下の書影は全て函の背だが、私は公立図書館蔵書を見たので函は見ていない。 ・第一冊(522頁)…

祖母の遺品(11)

・若山家の関東大震災(10)佐藤歯科医院③明治 9月9日付(09)の続き。 当ブログは翌日の記事を投稿するくらいまで、特に断らずに加筆修正している。投稿後に眺めると編集画面では気付かなかったアラが目に付く。かつ、ここまで書いて置こうと思っても入力し…

祖母の遺品(10)

・若山家の関東大震災(9) 一昨日昨日と、今は存在しない福島県伊達郡桑折町の佐藤歯科医院について考証して、随分長くなってしまった。昭和59年(1984)以降、佐藤歯科医院がどうなったのか、明らかに出来なかったことも多々あるが、今は祖母の母方の叔父…

祖母の遺品(09)

・若山家の関東大震災(8)佐藤歯科医院②昭和 昨日の記事に追加しようかと思ったのだが、かなり長くなりそうなので別に投稿することにする。9月6日付(06)に紹介した、祖母の母方の叔父・竹内久雄が当時勤務していた「福島県桑折町/佐藤歯科」の考証だが…

祖母の遺品(08)

・若山家の関東大震災(7)佐藤歯科医院①大正後期 昨日の続きで一昨日紹介した竹内久雄書簡に見えた、竹内久雄の勤務先「福島縣桑折町/佐藤歯科」について、当時の状況を少々考証して見よう。 ・齋 熊椎 編『現代の福嶋』大正七年五月二十九日印刷・大正七…

祖母の遺品(07)

・若山家の関東大震災(6)竹内久雄と奈良家 登場人物が少々増えてきたところで、少し考証を試みて置こう。――以前であれば、Google での各種検索、公立図書館や大学図書館で下調べを重ねて、国立国会図書館に行って見当を付けて出納してもらっては少しずつ…

祖母の遺品(06)

・若山家の関東大震災(5) 9月1日付(02)に示した「若山津子宛大正十二年九月十九日付若山次郎書簡」に見える「桑折」の「御叔父さん」すなわち津子の弟の手紙である。 ・若山善太郎津子宛九月廿三日付竹内久雄書簡 封筒の表「朝鮮羅南本町陸軍官舎/若山…

道了堂(120)

この記事はまだ祖母宅の整理を本格化させる前の6月に借りた雑誌と書籍について、返却期限が迫ったため7月13日にメモだけは取って置こうと作成したものの、御覧の通りこれと云った情報もないので「投稿すべきものがないときに投稿」として放って置いたのだが…

祖母の遺品(05)

・若山家の関東大震災(4) 1日に始めたときには、読み易そうなものを選んで紹介して行くつもりだったが、読めようが読めまいが上げてしまわないと先に進めないので、箱の端から順番に取り上げて、翻刻は追って時間を見て正確なものを追加もしくは別記事と…

祖母の遺品(04)

・若山家の関東大震災(3) 昨日紹介した、大正12年(1923)8月末の次兄からの葉書に混ざって、次の2通があった。 ・若山善太郎宛「12.9.3」消印若山一同葉書 表に「朝鮮羅南本町/第五九號官舍/若山善太郎様」額面に消印、読みづらいが日付は「12.9.3…

祖母の遺品(03)

・若山家の関東大震災(2) 昨日紹介したものに隣合うように、震災直前の若山次郎の葉書3通が保存してあった。 ・若山津子宛(大正12年8月)二十九日付若山次郎葉書 青黒インクで表に「朝鮮羅南本町第五九/號官舍/若山津子様/至急」とあり、額面の下、左…

祖母の遺品(02)

・若山家の関東大震災(1) 祖母宅の仏間の硝子棚の上に、何やら書類が載せてあるのを見付けて下ろして見たのか何時のことだったろうか。 ――祖母宅には、祖母が救急搬送されて入院、次いで施設に入って、その看護・介護のために上京して来た長男夫婦がしば…