瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

八王子事典の会 編『八王子事典』(3)

昨日の続きで①初版と②改訂版の比較。 ・前付 頁付なしで①は4頁、②は6頁。なお本書は背表紙を除いて全て横組みである。 ①1~2頁は「はしがき」で、1頁にはまづ3行取り中央揃えでやや大きく「は し が き」とあり、以下1頁26行、1行27字でゆったりと組んでいる…

八王子事典の会 編『八王子事典』(2)

・装幀 昨日の続きで①初版と②改訂版を比較して見よう。 ①②ともに新書判並製本、 ①のカバーは実際の麻布を被せたかのような布目模様のビニールのカバーである。屋外で使えるよう、手に馴染み、かつ耐久性のあるものを目指したのであろう。 ②のカバーは緑色の…

八王子事典の会 編『八王子事典』(1)

当ブログで度々述べているけれども、私は高校時代山岳部だったけれどもそれで泊り掛けの登山には懲りてしまって、東京に出て来てからは父のお供で両神山の清滝小屋と、雲取山の雲取山荘に泊まったくらいである。テントで寝たことは一度もない。しかし学部生…

關敬吾『日本昔話集成』(3)

・『日本昔話集成二ノ三』昭和三十年六月二十日 初版印刷・昭和三十年六月三十日 初版發行・定 價八百五拾圓・角川書店・1035~一三八四頁+索引56頁・A5判上製本日本昔話集成〈第2部 第3〉本格昔話 (1955年)作者:関 敬吾角川書店Amazon 要領は一昨日に同じ…

關敬吾『日本昔話集成』(2)

・『日本昔話集成二ノ二』昭和二十八年七月十日 初版印刷・昭和二十八年八月一日 初版發行・定 價 七〇〇圓・地方賣價七一〇圓・角川書店・485~一〇三四頁・A5判上製本日本昔話集成〈第2部 第2〉本格昔話 (1953年)Amazon 記述の要領は昨日に同じ。書名は奥…

關敬吾『日本昔話集成』(1)

本書には当ブログで既に何度か触れたことがあるが、――私は小学6年生のときに、俄に昔話に興味を持って、当時既に『日本昔話大成』も出ていたのだが、老松町の図書館には所蔵されていなかったのか、受付前の広間のようなところにずらりと並んでいたカード式目…

白馬岳の雪女(099)

昨日の続き。 ・三浦秀夫『妖怪変化譚』(4) さて、白馬岳の雪女は、遠田勝『〈転生〉する物語』にて、東京朝日新聞の記者であった青木純二が昭和5年(1930)に、その著書『山の傳説 日本アルプス篇』に高濱長江訳『怪談』を下敷きにして捏造したものであ…

白馬岳の雪女(098)

昨日の続き。 ・三浦秀夫『妖怪変化譚』(3) さて、本書の「雪おんなの子別れ」は、非常に扱いづらい。 まづ「昭和三年刊の宮坂幸造他編『信越の土俗』」と云うのが分からない。 昭和3年(1928)と云えば、昭和5年(1930)7月刊『山の傳説 日本アルプス篇…

白馬岳の雪女(097)

・三浦秀夫『妖怪変化譚』(2) 本書の内容を確認したのは2年半ほど前(2019年8月)だが、当時は、いづれ白馬岳の雪女も取り上げるつもりだったけれどもまだ資料を借りては眺めている段階であった。昨年7月に漸く取り掛かったものの、本書に触れる機会がな…

白馬岳の雪女(096)

・三浦秀夫『妖怪変化譚 日本の異界へ』2003年 9月30日初版第1刷印刷・2003年10月10日初版第1刷発行・定価1500円・鳥影社・165頁・四六判並製本妖怪変化譚―日本の異界へ作者:三浦 秀夫鳥影社Amazon カバー表紙折返し、右下にゴシック体縦組みで小さく「装丁 …

湯口康雄『黒部奥山史談』(1)

・湯口康雄『黒部奥山史談』一九九二年十一月二十日発行・定価三、〇〇〇円・桂書房・257頁・A4判上製本 著者の湯口康雄(1936~2013.11)については、奥付の上にある「著者略歴」に、 湯口康雄*1 昭和十一年 富山県に生まれる 昭和三十二年 富山大学教育学部…

成瀬昌示 編『風の盆おわら案内記』(9)

・新版と定本の比較⑤ 昨日の続きで、②新版と③定本の最後の頁、【風の盆案内】と奥付の異同を見て置こう。 ②は2段めの最後、1行分空けて、3段め1~3行めに7項め「●八尾名物土産」があって5点列挙される。③では8項め(3段め4~7行め)で7点、4点めと5点め「時…

成瀬昌示 編『風の盆おわら案内記』(8)

・新版と定本の比較④ 1月15日付(4)に【風の盆案内】の組み方と、3段め最後の②新版は謝辞、③定本は改訂についての断り書きを抜いて置いたが、もう少し細かく見て置こう。 1段め、まづやや大きく【風の盆案内】とあるが、②は3行取り2字下げであったのが③は2…

成瀬昌示 編『風の盆おわら案内記』(7)

前回、第四章「風の盆のこころ」にある、編者の成瀬氏が何十年(!)も風の盆を見ておらず、住居も富山市に構えていたとの記述を引用した。 しかし、その後、八尾の実家に戻ったらしい。昨日の引用に続く最後の部分、②新版108頁③定本116頁下段、前を1行分空…

成瀬昌示 編『風の盆おわら案内記』(6)

残る大きな異同は最後の頁の【風の盆案内】と奥付だが、これは後回しにして、一通り内容を見て置こう。 カバー表紙には標題の下に横組みで、明朝体太字にゴシック体を小さく添えて2行「成瀬昌示 編/里見文明 写真」とあり、その下少し空けてやや小さく「執…

成瀬昌示 編『風の盆おわら案内記』(5)

題に(1)まで遡って「 編」を補った。 ・新版と定本の比較③ 本書は新潮社の「とんぼの本」や、河出書房新社の「ふくろうの本」や「らんぷの本」と同じ作りのビジュアル概説書である。 前回引いた版元HPの紹介文にあったようにオールカラーではない。カラー…

成瀬昌示 編『風の盆おわら案内記』(4)

・新版と定本の比較② 風の盆についての記憶や知識を辿って行くうちに余計な話で長くなったが、ようやっと1月12日付(1)の続き。 ③定本は②新版よりも8頁増えているが、120頁【風の盆案内】の最後、3段め25行めの次、1行分使って縦線(4.0cm)で仕切って、26…

成瀬昌示 編『風の盆おわら案内記』(3)

今回も余談に終始する。 * * * * * * * * * * 八尾の人と知り合いになって、風の盆に招待されるようなことがあれば、つまり八尾旧町の民家の二階から眺めていられるのなら行って見たいと思うけれども、観光客の一人として人混みに参加しようとまで…

成瀬昌示 編『風の盆おわら案内記』(2)

私は八尾には行ったことがない。越中の友人の家には3度厄介になって、1度くらい飛驒を越えて高山線で乗り込みたいと思ったのだが、飛越国境を越える列車の本数が少ないので断念した。風の盆を知ったのはもちろん石川さゆりの演歌で、母が演歌好きなので夕食…

成瀬昌示 編『風の盆おわら案内記』(1)

・新版と定本の比較① 本書には以下の3つの版がある。版元は言叢社(東京)、A5判並製本。 ①初版(1991年8月・112頁) ②新版(一九九五年八月五日発行・定価1942円・112頁) ③定本(二〇〇四年七月二五日発行・定価2000円・120頁)定本 風の盆おわら案内記言…

長沢武「北アルプスの怪異伝説」(1)

・シリーズ 山と民俗6『山の怪奇・百物語』(1) 記事の題にしたのはこの本に、当ブログで『北アルプス夜話』や『北アルプス白馬連峰』を取り上げた長沢武が寄稿した文章である。この山村民俗の会 編『山の怪奇・百物語』の書影は2018年3月23日付「田中康…

中島正文 著/廣瀬誠 編『北アルプスの史的研究』(14)

・「山の蒐書入門」と「回想の岳人」 2021年12月29日付(05)に年末年始のせいか閲覧出来なくなっていると述べた、第七章「山岳雑記」の初出である日本山学会の会報が、閲覧出来るようになっていたので、早速「日本山岳会」HPの「会報「山」バックナンバー」…

長沢武『北アルプス白馬連峰』(2)

昨日の続き。 1頁(頁付なし)は「―発刊によせて―/ 白馬連峰への熱い思い」、執筆しているのは3行め下寄せ「白馬村長 横 沢 裕 」で、第3代村長(1974~1990)。村長の序文をもらっているのは、奥付の左上に横組みで著者紹介「長 沢 武*1」1行分空けて、 昭…

長沢武『北アルプス白馬連峰』(1)

・長沢武『北アルプス白馬連峰――その歴史と民俗』昭和六十一年八月一日初版発行・定価 二、八〇〇円・郷土出版社・口絵+290頁・A5判上製本 やや黄ばんだ鼠色の、皺の入った紙を被せた表紙、印刷は緑で、表紙中央にやや横長の明朝体太字で標題、「ス」の左脇…

新聞解約の辯(3)

秋、楽観論が世界にも日本にも広がっていて、職場でも窓は一昨年の寒くなり始めた頃だって閉まっていたが、昨年の同じ時期には部屋の入口のドアも気が付くと閉まっていた。そして私も、そこに隙間を作ろうと思ったとしても、実行を躊躇するようになっていた…

中島正文 著/廣瀬誠 編『北アルプスの史的研究』(13)

・「黒部の古文書二、三」 前回の最後に述べたように、この文章の末尾には「(『山小屋』昭和二年一〇月号)」とあるから、1月3日付(10)に引いた「烏水翁のこと その二」の冒頭に「私は昭和の初め頃から黒部奥山の登山史料と取組んでいて、‥‥」とある、「黒…

中島正文 著/廣瀬誠 編『北アルプスの史的研究』(12)

・越信新道と宮永家系譜の論文構想 さて、本書所収の文章のうち、最も新しいのは第五章「立山史談」の「立山詣日記――ある放送から抜粋――」で、昭和40年(1965)8月に、中島氏が主宰していた俳誌「辛夷」に発表している。これ以降の執筆がないことについては…

中島正文 著/廣瀬誠 編『北アルプスの史的研究』(11)

・古俳書『加賀染』附『鵜坂集』 私はまだ『中島文庫目録』を見ないけれども、富山県立図書館の「中島文庫」には『杏文庫山岳古史料蔵目』に載る山岳関係史料だけでなく、相当量の古俳書が収蔵されていて、富山県立図書館HPの古絵図・貴重書ギャラリーにて閲…

中島正文 著/廣瀬誠 編『北アルプスの史的研究』(10)

・昭和17年(1942)上京の時期 昨日見た「烏水翁のこと その一」に続く「その二」は、「上高地は神河内が正しき説」に続いて小島烏水が「山岳」第三十五年第一号(昭和十五年五月)に発表した「神河内地名考」を受けて中島氏が「山岳」第三十六年第一号に発…

中島正文 著/廣瀬誠 編『北アルプスの史的研究』(9)

・小島烏水蔵『立嶽登臨図記』 昭和21年(1946)3月の津沢大火と、そのときに焼失したもの、免れたものについては、「烏水翁のこと その一」にも記述がある。これは小島烏水(1873.12.29~1948.12.13)の回想である*1。書き出しを見て置こう。510頁9~17行め…