2011-02-01から1ヶ月間の記事一覧
そもそもが専門家でもないと開き直って書いているのだから、もっといい加減に書いて良いのだと思うのだが、いざ始めて見ると、素人ながら、あれもこれもと見ていない文献・見るべき文献が思い浮かんでくる。そうすると、もう少し待って、確認してからにしよ…
講談社版の装幀について見ておく。 『帽子男は眠れない』のカバーは黒地で、表紙、右上に横書き・金色で「モーニングKCデラックス」その下に縦書き・橙色で「上野顕太郎」、左側に大きく、中央が黄色で左右両脇に行くに従い橙色にグラデーションのついた「…
それでは、収録位置を対照して示すとともに、2月23日付(2)に約束して置きながら忘れていた、エンターブレイン版に取られていない箇所を指摘しておく。 ●『帽子男』 ・『帽子男は眠れない』第一部(7〜64頁)→『帽子男』9〜66頁(CHAPTER 1) ・『帽子男は…
今回は、この『人身御供論』の編者山田野理夫による解説「高木敏雄と人身御供論」について、見ていきたい。 2月19日付(2)にも触れたように、昭和48年版では本文とは別に頁付(1〜21頁)があるが、平成2年版では本文に連続させている(247〜267頁)。仮に…
各話の題の文字が全て明朝体からゴシック体に差し替えられていると2月22日付(1)に指摘したが、見れば見るほど違和感を覚える。しかし、エンターブレイン版の編成とサイズとには合致しているような気もする。 吹き出しの植字は講談社版と変わっていないよ…
さて、講談社版では、まず巻頭に4頁カラーページがあり、ついで中扉がある(裏は白紙)。ここまでの6頁には頁付はなく、「7」頁から算用数字の頁付があるが、時代劇では漢数字になっているし、画面が紙いっぱいに描かれて頁付を入れられなかったりして、目…
私が東京に出て来て驚いたのは、区立図書館がいくつもあることで、それまでバスで、電車で、歩いて1時間掛けて(歩くのが好きだったのだ)、市区に1館しかない図書館に通っていたのが、そこいら中に図書館がある。しかも、カセットテープやCD・漫画などま…
昨日、カバーのことを書いた。 しかし、私がカバーのことを書くのは、実際全く適任でない。昨日、新潮文庫『オリンポスの果実』を借りた後で、所用で外出したのだが、乗換えでJRと私鉄の駅を繋ぐ商店街を歩いていて、ふと立ち寄った古本屋で、つくづくその…
2月18日付(01)に、新潮文庫のカバーのことを書いた。 その後、図書館に行ったついでに新潮文庫の『オリンポスの果実』を出してもらった。モデルについて書いた本を読んだのは3年前の3月、新潮文庫で読んだのは昨年の3月である。そのときは開架の文庫棚に並…
既に2月10日付でも触れたように、後に四六判上製本で再刊されている。カバーは『日本伝説集』の四六判並製本に類するもので、表紙中央やや下に紫で江戸時代後期の版本挿絵「桃太郎」が印刷され、その上に横書き「人身御供論/高木敏雄」下に「宝文館出版」、…
以前、田中英光「オリンポスの果実」について調べたことがある。若い頃は、読もうとは思わなかった。まず題がどうも気障に思えるし、鴎外「雁」のところに書いたように、有名な作品は別に読まなくても良いかとひねくれた考えだったこともある。それが、別の…
もう一人は関敬吾(1899〜1990)である。 講談社学術文庫158(昭和52年6月10日第1刷発行・昭和63年7月8日第3刷発行・定価540円)。第1刷と第3刷を見た。 カバー表紙は緑地に大きく朱色(輪郭は淡灰色)の鬼の面の版画、右下にトキのマーク、左上に黄色と橙色…
1月12日付(1)に「読売新聞」に写真が載っていることを紹介したが、実は昭和女子大学の紀要「学苑」第八百四十三号(平成二十三年一月一日発行)に掲載の吉田昌志「泉鏡花「年譜」補訂(六)」に、既に指摘されていた。詳しくはCiniiの該当ページで閲覧出…
もうしばらく高木敏雄の著書を見ていきたい。 この『童話の研究』には初版本(未見)の他に、影印複製と、新たに組み直しての復刊が2種、合計3種出ている。 まずは復刊2種について確認しておこう。 この2種は同じ年にひと月違いで出ている。同時期に2人が『…
高木氏の生前にこのような本が出ていたのではなく、山田野理夫が『日本伝説集』復刻に続いて編集した「エッセイ」集である。版元も同じく宝文館出版で、昭和48年(1973)版と平成2年(1990)版があるところも同じである。 まずは昭和48年版から見ておこう。…
初めに、コメント欄は書き込めるが、アップしない、と書いたことを忘れて、うっかりアップしてしまった。それというのも、1ヶ月以上、コメント皆無の状態が続き、本人でもどういう方針だったか、すっかり忘れていたのである。 確かに、リンクを貼らせてもら…
・下宿屋マチュランのゆうれい(83〜104頁) まず最初の節(83〜85頁)の「パリの学生町」という題があって、次のように語り出されています(83頁)。 さて、こんどは、すこし話の毛色をかえて、わたしが、外国で見たゆうれいの話を一つお聞かせしましょう。…
ちくま学芸文庫版(二〇一〇年八月十日第一刷発行・定価1200円・筑摩書房・318頁)について、これは宝文館版に代わって今後『日本伝説集』を参照する際の標準となるであろうものだから、触れておきたい。日本伝説集 (ちくま学芸文庫)作者: 高木敏雄出版社/メ…
宝文館版は当初、菊判の上製本で、赤のOKミューズコットンの表紙が付いていたが、後に四六判の並製本が出た。 カバーは白地で、表紙の中央やや下に江戸時代後期の版本の挿絵「狸」が茶色で印刷され、絵の上に横書き・黒で「日本伝説集/高木敏雄」絵の下に…
第40刷の本体について記述するのを忘れていた。 表紙・裏表紙ともに茶色の長方形の子持ち枠があり、表紙には横書きで、上部に「現代教養文庫/666」中央やや上に「日本怪談集/―幽霊篇―/今野圓輔編著」下部に「社会思想社」。裏表紙は中央に茶色のダビデ像…
現代教養文庫の「●今野圓輔シリーズ」が中公文庫から復刊されているのは悦ばしい限りであるが、『日本怪談集幽霊篇』『日本怪談集妖怪篇』を上下2分冊にしたり、その挿絵をカットしたり差し替えたりしているのが、かなしい。現代教養文庫版の図版は初版の段…
文春文庫とその元版を借りてきたので書いておく。 「現代日本文学館」というシリーズの1冊で、書名は『舞姫 雁 阿部一族 山椒大夫 外八篇』である。1998年5月10日第1刷・定価600円・492頁。 この文春文庫版「現代日本文学館」の森鴎外はAmazonにない。参考ま…
私の持っている宝文館版『日本伝説集』は「昭和五十年六月二十五日 第二刷(修正版)」である。そこで「昭和四十八年六月十日 第一刷/定価千二百円」の初刷を探してみた。 表紙カバーは同じ柄だが、裏表紙の右下に小さく横書きで [(分)0−0−39(製)001…
実は私はこの「蛸焼きの話」を子供の頃に聞いた記憶がない。ネット上にはいくつか出ているが、小異がある。それらを綜合して史的展開を跡づけることは目下の目的ではないので、そんなことはしないが、ついでだから、今日、直接取材することが出来た話を紹介…
「蛸焼きの話」というのを聞いたのは、平成4年(1992)の5月頃であったかと思う。大学で、たぶん1歳下の北九州出身の女子学生から聞いた。 この話は常光徹『学校の怪談(講談社KK文庫)』にも載っているらしい。最近、講談社KK文庫の「数々の“こわい話”…
大田才次郎編『日本全国児童遊戯法』も、報告者に注目している人があって以前から注意していたのだが、先日図書館で平凡社東洋文庫版の『日本児童遊戯集(東洋文庫122)』を手にして、ふと奥付を見ると、 1986年12月16日 初版第1刷発行 1987年 1月20日 初版…
この話も、事実に基づいているように見えて、ここまでに確認してきた、モデル一家との齟齬もそうですが、話の内容も、やはりどこかおかしいのです。 まず「ピアノをひく一家」(64〜67頁)として、村松氏の見た、昭和6年(1931)当時の「ほんとうの幸福」の…
さて、村松氏の「私と山梨の近代作家」の第2回「中村星湖」の書き出しは次のようになっています(『言葉の影像』216頁)。 筆者*1が中村星湖(本名・将為)の名を知ったのは、東京市立一中の三年生頃のことだった*2。一中の国語教師の河野先生は星湖の弟で、母…