瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

長沢武『北アルプス夜話』(2)

・復刻版「あとがき」 昨日の続き。――久し振りに改版の確認をしたので、初版と改版を①②と仮に番号を附して整理していたことなど、要領を色々と忘れていた。そこで昨日の記事に番号を補って置いた。改めて示すと、 ①初版 昭和52年(1977)刊・信濃路(長野市…

長沢武『北アルプス夜話』(1)

①長沢武『北アルプス夜話』昭和52年9月25日 初版発行・900円・信濃路・268頁・B5判並製本 ②長沢武『【復刻】北アルプス夜話』2008年1月20日 初版第1刷発行・定価1900円・長崎出版・口絵4頁+286頁・四六判並製本北アルプス夜話作者:長沢 武長崎出版Amazon ②…

山岳部小史(2)

今だったら、連絡手段はSNSを活用するところであろう。T高校山岳部OB会も数年前から Facebook を開設して連絡を取り合っている。興三もたまに見ているが、興三を知らない世代のOBにまで公開されるというので書き込みはしていない。知っている面々とメー…

池内紀『記憶の海辺』(7)

・池内紀の居住歴(7)東京 一昨日昨日と前置きが長くなりましたが、どうも、池内氏の書いていることには一貫性と云うか、整合性がないのです。 いえ、政治的立場や思想的な一貫性と云うことではなくてほんの瑣事です。しかしながら、細かいところが食い違…

池内紀『記憶の海辺』(6)

池内氏の話ではないですが、最近「炎上」している書籍に、次の本があります。これは版元が絶版回収を決定したそうです。ウルトラマンの「正義」とは何か作者:花岡 敬太郎青弓社Amazon これも私は見ておりません。しかし佐村河内守(1963.9.21生)の『交響曲…

池内紀『記憶の海辺』(5)

6月17日付(4)の続き。 さて、池内氏の読者でなかった私は、この晩年の自伝的回想『記憶の海辺』を、その後、参照した歿後刊行の『昭和の青春 播磨を想う』と照合して、もう少し事情を明らかに出来れば、等と呑気に考えておったのですが、池内氏は同じこと…

山岳部小史(1)

昭和63年の秋、県立K農業高校の国語科教諭、輿水興三は見知らぬ差出人からの分厚い封書を受け取った。 差出人に見覚えはないが、その住所であるT市には所縁がある。というのも20代の後半、興三はT市に新設された県立高校にやはり国語科の教諭として勤め、…

長沖一『上方笑芸見聞録』(13)

昨日の続きで、劇場や文学作品、演目、映画その他を列挙して行く。 こちらの方は未定稿で大体の分類はしてあるが、敢えて50音順にしなかった。 【劇場・演芸場】 ナンバ・グランド 25 南の花月 9~11・75~76・87・100・103・118・139・147・154・181 ナンバ…

長沖一『上方笑芸見聞録』(12)

それでは6月1日付(01)に予告した、2000年12月21日までに私が作成した本書の「索引」に、6月2日付(02)に断ったような若干の修訂を加えて、示して置こう。 もとの「索引」では、まづ長沖氏の著作が1字下げで並べてある。 「はだか道中記」横山エンタツの巻…

奥野健男『文学における原風景』(2)

5月31日付(1)の続き。 ・『増補文学における原風景』一九七二年 四 月二五日 初 版第一刷発行・一九八九年 二 月一〇日 増補版第一刷発行・定価2,200円・集英社・302頁・四六判上製本 本書の書影も既に3月15日付「奥野健男『北杜夫の文学世界』(5)」に…

池内紀『昭和の青春 播磨を想う』(3)

昨日の続き。 「昭和の青春」の諸篇を眺めていると、最後がやや尻すぼみになっているような印象が拭えない。しかしながら最後、【14】篇めが「終わりと始まり」と題しているところからして、急に打ち切りになったのではないだろう。 しかしながら、【12】「ち…

池内紀『昭和の青春 播磨を想う』(2)

それでは本書の主体を成す短篇連作「昭和の青春」の細目を、仮に【番号】を附し、題、(頁)、掲載号、主人公と主要人物、舞台となっている場所、さらに序でとして取り上げられている昭和の事物をメモして置こう。 【1】モクモク号走る(6~15頁)1997年春号…

池内紀『昭和の青春 播磨を想う』(1)

昨日取り上げた歿後刊行の1冊を見て置こう。先日、コロナとは関係なく昨年来休館していた隣の市の図書館が再開していたので久し振りに出掛けて、たまたま書棚に見掛けて借りて帰って来た。 本書の由来は192~194頁「あとがき」に説明されている。筆者の中元…

池内紀『記憶の海辺』(4)

・池内紀の居住歴(6)出身地② 池内氏の生れ育った集落が姫路市新在家、現在の新在家本町であったことは前回確認した記述と地図からして間違いないでしょう。 そのことは、本書の中では明示されないままなのですが、歿後刊行された次の本に収録された、本書…

池内紀『記憶の海辺』(3)

・池内紀の居住歴(5)出身地① 池内氏が上京するまで過ごしていた集落については【2】「38度線」に詳しく述べてあります(以下、各章の副題は略します)が、集落名が何処にも書いてないのです。しかしながら、本文冒頭、21頁1~3行めに、 里の山を八丈岩山*1…

池内紀『記憶の海辺』(2)

昨日の続き。 ・初出と細目 本書の成立については、354~355頁「あとがき」に次のように述べてあります。354頁10行め~355頁4行め、 はじまりは月刊誌『ユリイカ』の連載だった。二〇一五年五月号から一八回つづけた。それか/【354】ら二年ちかく眠らせてい…

池内紀『記憶の海辺』(1)

・池内紀の居住歴(4) 池内氏が雑司ヶ谷に住んでいた時分に、西口彰の老弁護士殺しがあったらしい、と気付いたから、と云う訳でもないのだが、池内氏の雑司ヶ谷を始めとする東京での居住地を確かめて見るような按配になった。尤も、私は池内氏の読者ではな…

睡眠不足(6)

例年、この時期は庭の梅を朝晩拾って、洗って陰干しして、寝る前に数百粒、蔕を取り甚だしい傷がないか1粒1粒確かめながら硝子瓶に放り込んで、と云った作業で睡眠不足になる。今年は実の成る時期が少し早かったので、初めの頃の分は無駄にしてしまった。そ…

新聞解約の辯

・友Aに送る手紙 拝啓、まだ梅雨に入らぬままに暑い日が続いておりますが、感染などせずに無事にお過ごしでしょうか。 さて、昨秋祖母の訃音を伝えた葉書に、近いうちに連絡すると書いたのですがそのままになっておりました。実は『山の傳説』等の青木純二…

長沖一『上方笑芸見聞録』(11)

・花菱アチャコの藝名(5) 昨日の続き。 さて、本書には、相方の活動弁士の真似に合わせて、アチャコが髪を振り乱して踊る(?)という藝について、三人三様の証言が記録されている。これを登場順に番号を附し、掲載される章・節、~相方の名と真似た無声…

長沖一『上方笑芸見聞録』(10)

・花菱アチャコの藝名(4) 昨日の続きで『ジゴマ』についての長沖氏の回想を見て置こう。「横山エンタツ」の章の「三」節め、44頁13行め~45頁6行め、 『悪漢ジゴマ』という映画は私も見た記憶がある。たしか道頓堀の朝日座であったと思う。ま/だ小学校へ…

長沖一『上方笑芸見聞録』(9)

・花菱アチャコの藝名(3) 昨日の続きで、連載の最後に「拾遺といった形で」紹介されている、アチャコの由来説を見て置こう。185頁5~8行め、 二つ目は、別の座談会で、杉浦エノスケに久しぶりに会った。彼はアチャコより二つ歳上とい/うが元気だ。しかも…

長沖一『上方笑芸見聞録』(8)

・花菱アチャコの藝名(2) 昨日、Wikipedia「花菱アチャコ」項に、『昭和人物エピソード事典』を典拠として挙がるアチャコの由来説3種について、その全てが本書にも見えることを指摘した。尤も「アーチョン」説については「アチャコが決まって説明していた…

長沖一『上方笑芸見聞録』(7)

・花菱アチャコの藝名(1) 昨日まで、エンタツアチャコの横山エンタツの出生地について、本書の説を見て来た。まづ「放送朝日」昭和48年(1973)4月号掲載の第【4】回「横山エンタツ」の「二」節めで取り上げられ、ついで8月号掲載の第【8】回、相方であっ…

長沖一『上方笑芸見聞録』(6)

・横山エンタツの出生地(3) 連載の第【8】回、「花菱アチャコ」の「二」節めに引用される、藤沢桓夫の2通めの手紙を見て置こう。67頁10行め~68頁1行めに1字下げ、前後1行空けで引用されている。 ……留サン(吉田留三郎)が言うことには、阪本勝氏が何かに…

長沖一『上方笑芸見聞録』(5)

・横山エンタツの出生地(2) それでは連載の第【8】回、「花菱アチャコ」の「二」節めに戻って、藤沢桓夫が寄越した手紙を見て置こう。67頁2~8行めに1字下げ、前後1行空けで引用されている。 ……四月号の文中に出て来るエンタツ氏の後輩の将棋のH七段とい…

長沖一『上方笑芸見聞録』(4)

ここで6月2日付(2)に述べた、歿後刊行のため雑誌連載をそのまま収録している、と云った按配であることが明瞭に窺われる箇所を2つ、見て置きたい。 ・横山エンタツの出生地(1) 「花菱アチャコ」の「二」節めは、6月3日付(3)に示した細目にある通り、…

長沖一『上方笑芸見聞録』(3)

昨日見た長沖渉「あとがき」の冒頭に「『上方笑芸見聞録』は朝日放送のPR雑誌『放送朝日』に、昭和四十八年から四十九年まで二年間にわたり二十四回連載された」とある。 そこで、推定される号とその刊年月を、本書の章節と対照させてみよう。【 】に連載…

長沖一『上方笑芸見聞録』(2)

昨日は一昨日の続きを投稿するつもりで、帰宅後準備しようとしたら(1)が投稿されていた。 連休中に、連休明けに本書について投稿するつもりで準備していたのだが、当初(2)として次に上げるつもりだった2000年に作成した索引が、そのまま上げられるよう…

長沖一『上方笑芸見聞録』(1)

以下は2000年12月21日に保存したままになっていた長沖一(1904.1.30~1976.8.5)の遺著の、メモと索引である。書影は2020年1月2日付「在阪ラジオ局の思ひ出(1)」に貼付した。2000年当時私は「在阪ラジオ局の思ひ出(1)」に挙げたCDや書籍を読んで、昭和…