瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

2015-12-01から1ヶ月間の記事一覧

山岸凉子『妖精王』(14)

白泉社文庫のカバー裏表紙にごく縮小されて入っているカラーイラスト(4.1×2.9cm)について、『妖精王の帰還』より「●初出一覧・コメント」を見て置く。 ・第1巻 『妖精王の帰還』102頁29〜31行めに、 16. 秋草の妖精 p.20-21 「花とゆめ」1978年7号(4月5…

吉田秋生『櫻の園』(6)

・白泉社文庫(1) カバー表紙・表紙折返しは同じ。但し第二十五刷は第九刷・第十二刷に比して緑色が薄く見える。第十二刷は背景のグラデーションの桃色が特に濃く見える。 カバー背表紙、最上部0.3cmは白地、その下は臙脂色地で、背表紙の幅(1.2cm)より…

吉田秋生『櫻の園』(5)

単行本(第17刷)と文庫版と完全版(第1刷)を比較して見る*1。書影は8月9日付(1)に示した。単行本と完全版の青にあまり違いがないように見えるが、私の手許にある単行本は群青色、完全版は青紫色ではっきり違っている。 桜の花は単行本と文庫版で白と桃…

講談社別館の幽霊(3)

一昨日からの続き。 講談社別館の幽霊について、丸山氏は手塚氏による捏造だとしていました。ところが、これについて実際に見たという反論が出るのです。 単行本『まんがのカンヅメ』と文庫版『トキワ荘実録』の大きな違いの1つに、丸山氏の関係した漫画家が…

講談社別館の幽霊(2)

昨日の続き。 講談社別館の幽霊については、漫画家の松本零士(1938.1.25生)が平成24年(2012)に行われたインタビューで語っています。「ねりまん!スペシャル/ねり星独占インタビュー/松本零士先生/超絶ねりま愛ロングインタビュー」(撮影:雷蔵 イン…

講談社別館の幽霊(1)

8月13日付「丸山昭『まんがのカンヅメ』(1)」に、小学館文庫版『トキワ荘実録――手塚治虫と漫画家たちの青春――』の初版第一刷・第二刷を見て、単行本は未見だと書きました。所蔵する図書館に寄る機会はあったのですが書庫請求するのが面倒で、そのままにし…

連続テレビ小説「あさが来た」(2)

第11週「九転び十起き」の12月11日(金曜日)放映の第65回を見るに、冒頭に前回の最後に描かれていた坑内にいた親方(山崎銀之丞)が巻き込まれる爆発が、今度は坑口近くの事務所(?)にいる亀助が爆音と振動に驚くという風に描写される。 事故の知らせは早…

Géza von Bolváry “Abschiedswalzer”(2)

12月22日付(1)の続き。 この映画(フランス語版“La chanson de l'adieu”)の公開時の反響については「幸太のコラムlivedoor/日本ピアノ文化史 Piano Cultural History in JAPAN」の「17, 映画「別れの曲」1935・昭和10年/17-1、映画「別れの曲」1935(…

赤いマント(145)

・毎日新聞社 学生新聞本部 編『毎日小学生新聞にみる子ども世相史』1997年1月4日第1刷発行・定価4,369円・NTTメディアスコープ・カラー口絵15頁+447頁・B5判上製本毎日小学生新聞にみる子ども世相史作者: 毎日新聞社学生新聞本部出版社/メーカー: NTTメ…

Géza von Bolváry “Abschiedswalzer”(1)

ゲツァ・フォン・ボルヴァリー監督『別れの曲』 昭和10年(1935)に日本で公開されて大ヒットしたのはフランス語版だけれども、現在はドイツ語版が発売されている。ちなみにショパン生誕200年記念の全世界初DVD化である。別れの曲 [DVD]出版社/メーカー: IVC…

連続テレビ小説「あさが来た」(1)

あまり現在進行中のことを話題として取り上げないようにしていた。判断の材料が出揃う前に慌てて賢しらを云っても、結局は大層恥ずかしい思いをすることになるだけなのだ。なかなか洞察力やら先見性やらを誇るという結果にはならない。そこで、取り上げても…

松本清張『点と線』(07)

・光文社創業60周年記念出版【ミステリーの原点 名著初版完全復刻】(3) 本体はほぼそのまま初版を再現しているらしく、最後に新たに2頁追加しているのみのようだ。すなわち、表には横組みの復刻版の奥付、裏は下部中央に明朝体縦組みで小さく「本書は、昭…

松本清張『点と線』(06)

・光文社創業60周年記念出版【ミステリーの原点 名著初版完全復刻】(2) 初版再現カバーと復刻版カバーの、表紙と背表紙は下部の赤い帯状の部分を除いて同じであるが、色合いが前者が深いのに対し後者は青い。画像検索するといくつかヒットするが、いつま…

松本清張『点と線』(5)

・光文社創業60周年記念出版【ミステリーの原点 名著初版完全復刻】(1) 点と線作者: 松本清張出版社/メーカー: 光文社発売日: 2005/12/02メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る・2005年12月10日初版第1刷発行・定価1800円・光…

Agatha Christie “Death on the Nile”(2)

先日、NHKで放映されていた『トミーとタペンス―2人で探偵を―』の「MかNか」全3回を見た*1。もちろんアガサ・クリスティーの原作は読んでいない。かつてNHKで放映されていた『シャーロック・ホームズの冒険』は完全版DVDで全て見たし、今は『名探…

山本禾太郎「第四の椅子」(24)

・讀賣新聞社「本社五十五周年記念懸賞大衆文藝」(24) 昨日の続きで、昭和3年(1928)12月11日付「讀賣新聞」の(二)面、発表記事に載る関田氏の受賞コメントについて見て置きましょう。11月25日付(09)の最後に引用した見出しに続いて、7〜10段め、 二…

山本禾太郎「第四の椅子」(23)

・讀賣新聞社「本社五十五周年記念懸賞大衆文藝」(23) 前回までで記事の紹介をほぼ終えたので、後は経歴の判明する人について調べて報告しようと思っておったのですが、なかなか調べに出る余裕を作れないのです。 昭和3年(1928)12月11日付「讀賣新聞」の…

松本清張『点と線』(4)

・新潮文庫1968(4) 2013年9月24日付(1)の【2014年3月22日追記】に指摘した②昭和六十二年二月二十日五十四刷改版であるが、現在までに次の3つを見ている。 ・平成三年三月五日六十五刷 定価350円 ・平成五年十一月十五日七十七刷 ・平成十二年五月三十…

山本禾太郎「東太郎の日記」(35)

昨日の続き。 日記の10日め、作者をモデルとする主人公「山木東太郎」が女主人公「おふくさん」と再会したのが大正7年(1918)秋か冬頃のこととして、10月30日付(22)で見た日記の11日めは「おふくさんと伏見の停留所で別れてからすでに二年になる。」との…

山本禾太郎「東太郎の日記」(34)

12月8日付「山本禾太郎「第四の椅子」(21)」に予告した関田一喜の経歴についての記事を準備しようと思っているのですが、なかなか調べに出られません。記事の難読箇所や振仮名の確認も出来ていないままです。 そこで久し振りに「東太郎の日記」に戻って、…

芥川龍之介『侏儒の言葉』の文庫本(2)

・新潮文庫1810『侏儒の言葉・西方の人』(2) 8月25日付(1)の続きで②について、主として五十二刷と六十刷とを比較しつつ記述して見る。 カバー表紙は一致。 カバー表紙折返し、右下に縦組みで「カバー 高松次郎」とあるのは同じ、上部に上下を横線(4.4…

久米田康治『さよなら絶望先生』(1)

その昔女子高に勤めていたとき、放課後の講師室に生徒が来て、私に「絶望した!! と言って下さい」と言うのである。教えていた生徒なのか、教えていた生徒から私の評判を聞いてやって来た生徒だったのか、全く覚えていないが、私が「合理的な理由があるなら言…

山本禾太郎「第四の椅子」(22)

・讀賣新聞社「本社五十五周年記念懸賞大衆文藝」(22) いよいよ最後に山本氏が米島清の筆名で応募した「第四の椅子」の選評を眺めて置きましょう。 白井喬二の選評(50点・5位) ―米島清氏の「第四/の椅子」は、一種の靈感奇話/とでもいふのであらうが…

山本禾太郎「第四の椅子」(21)

・讀賣新聞社「本社五十五周年記念懸賞大衆文藝」(21) それでは二等当選の作品について見て置きましょう。 ・關田一喜「河豚クラブ」 白井喬二の選評(80点・1位) ―關田一喜氏の「河/豚クラブ」は令孃の家出事件/を中心とした、私立探偵家の活躍/であ…

山本禾太郎「第四の椅子」(20)

・讀賣新聞社「本社五十五周年記念懸賞大衆文藝」(20) 勝見かく路というのも筆名でしょうけれども、この人についても東三條氏と同様、家に座してネット検索している分には、何の手懸りも得られませんでした。 ・勝見かく路「めぐる仲仙道」 白井喬二の選評…

山本禾太郎「第四の椅子」(19)

・讀賣新聞社「本社五十五周年記念懸賞大衆文藝」(19) 東三條利公というのは11月23日付(07)に引いた、昭和3年10月20日付の「大衆文藝/ 豫選結果」に示されている住所「京都市下京區三條大橋東六丁目分木町六四徳田方」による筆名でしょう。これ以外に懸…

山本禾太郎「第四の椅子」(18)

・讀賣新聞社「本社五十五周年記念懸賞大衆文藝」(18) 長濱勉については「直木賞のすべて」の川口則弘(1972生)のサブサイト「文学賞の世界」に拠ると、「サンデー毎日」大衆文藝の第4回の、甲種(100枚)選外佳作5作のうちに「痴人の剣」が入り(当選は2…

山本禾太郎「第四の椅子」(17)

昨日の記事12月3日付(16)に関連して、12月2日付(15)に岡戸武平『全力投球』に讀賣新聞の懸賞の記述があるとのコメントを頂きました。しかしながら、それをこの目で確かめるのはなかなかに困難らしいので、……いつのことになりましょうか。出来れば岡戸氏…

山本禾太郎「第四の椅子」(16)

・讀賣新聞社「本社五十五周年記念懸賞大衆文藝」(16) 次に、時代小説としては2番めに高い評価を得たものの惜しくも次点に終わった岡戸武市「不戰時代」の選評を見て置きましょう。 既に11月27日付(11)の12月1日付追記に述べたように、昭和3年10月20日付…

山本禾太郎「第四の椅子」(15)

・讀賣新聞社「本社五十五周年記念懸賞大衆文藝」(15) それでは作品毎に選評を紹介して行きたいのですが、点数順に評価の高いものから挙げるか、低いものから挙げるか、或いはジャンル別に――時代小説が6作品と、探偵小説が2作品ということになるようです――…