瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

改版

白馬岳の雪女(099)

昨日の続き。 ・三浦秀夫『妖怪変化譚』(4) さて、白馬岳の雪女は、遠田勝『〈転生〉する物語』にて、東京朝日新聞の記者であった青木純二が昭和5年(1930)に、その著書『山の傳説 日本アルプス篇』に高濱長江訳『怪談』を下敷きにして捏造したものであ…

白馬岳の雪女(097)

・三浦秀夫『妖怪変化譚』(2) 本書の内容を確認したのは2年半ほど前(2019年8月)だが、当時は、いづれ白馬岳の雪女も取り上げるつもりだったけれどもまだ資料を借りては眺めている段階であった。昨年7月に漸く取り掛かったものの、本書に触れる機会がな…

成瀬昌示 編『風の盆おわら案内記』(9)

・新版と定本の比較⑤ 昨日の続きで、②新版と③定本の最後の頁、【風の盆案内】と奥付の異同を見て置こう。 ②は2段めの最後、1行分空けて、3段め1~3行めに7項め「●八尾名物土産」があって5点列挙される。③では8項め(3段め4~7行め)で7点、4点めと5点め「時…

成瀬昌示 編『風の盆おわら案内記』(8)

・新版と定本の比較④ 1月15日付(4)に【風の盆案内】の組み方と、3段め最後の②新版は謝辞、③定本は改訂についての断り書きを抜いて置いたが、もう少し細かく見て置こう。 1段め、まづやや大きく【風の盆案内】とあるが、②は3行取り2字下げであったのが③は2…

成瀬昌示 編『風の盆おわら案内記』(6)

残る大きな異同は最後の頁の【風の盆案内】と奥付だが、これは後回しにして、一通り内容を見て置こう。 カバー表紙には標題の下に横組みで、明朝体太字にゴシック体を小さく添えて2行「成瀬昌示 編/里見文明 写真」とあり、その下少し空けてやや小さく「執…

成瀬昌示 編『風の盆おわら案内記』(5)

題に(1)まで遡って「 編」を補った。 ・新版と定本の比較③ 本書は新潮社の「とんぼの本」や、河出書房新社の「ふくろうの本」や「らんぷの本」と同じ作りのビジュアル概説書である。 前回引いた版元HPの紹介文にあったようにオールカラーではない。カラー…

成瀬昌示 編『風の盆おわら案内記』(4)

・新版と定本の比較② 風の盆についての記憶や知識を辿って行くうちに余計な話で長くなったが、ようやっと1月12日付(1)の続き。 ③定本は②新版よりも8頁増えているが、120頁【風の盆案内】の最後、3段め25行めの次、1行分使って縦線(4.0cm)で仕切って、26…

成瀬昌示 編『風の盆おわら案内記』(1)

・新版と定本の比較① 本書には以下の3つの版がある。版元は言叢社(東京)、A5判並製本。 ①初版(1991年8月・112頁) ②新版(一九九五年八月五日発行・定価1942円・112頁) ③定本(二〇〇四年七月二五日発行・定価2000円・120頁)定本 風の盆おわら案内記言…

中島正文 著/廣瀬誠 編『北アルプスの史的研究』(14)

・「山の蒐書入門」と「回想の岳人」 2021年12月29日付(05)に年末年始のせいか閲覧出来なくなっていると述べた、第七章「山岳雑記」の初出である日本山学会の会報が、閲覧出来るようになっていたので、早速「日本山岳会」HPの「会報「山」バックナンバー」…

新聞解約の辯(3)

秋、楽観論が世界にも日本にも広がっていて、職場でも窓は一昨年の寒くなり始めた頃だって閉まっていたが、昨年の同じ時期には部屋の入口のドアも気が付くと閉まっていた。そして私も、そこに隙間を作ろうと思ったとしても、実行を躊躇するようになっていた…

中島正文 著/廣瀬誠 編『北アルプスの史的研究』(10)

・昭和17年(1942)上京の時期 昨日見た「烏水翁のこと その一」に続く「その二」は、「上高地は神河内が正しき説」に続いて小島烏水が「山岳」第三十五年第一号(昭和十五年五月)に発表した「神河内地名考」を受けて中島氏が「山岳」第三十六年第一号に発…

中島正文 著/廣瀬誠 編『北アルプスの史的研究』(9)

・小島烏水蔵『立嶽登臨図記』 昭和21年(1946)3月の津沢大火と、そのときに焼失したもの、免れたものについては、「烏水翁のこと その一」にも記述がある。これは小島烏水(1873.12.29~1948.12.13)の回想である*1。書き出しを見て置こう。510頁9~17行め…

中島正文 著/廣瀬誠 編『北アルプスの史的研究』(6)

・「辛夷」 昨日の続き。 「第八章 岳 辺 余 録」523頁扉(頁付なし)。 ・524~530頁2行め「山 の 話 七 つ」(『辛夷』五巻八号、昭和三年八月) ・530頁3行め~531頁9行め「山 を 愛 す」(『辛夷』昭和十年五月) ・531頁10行め「山 話 今 は 昔」(『辛夷』…

中島正文 著/廣瀬誠 編『北アルプスの史的研究』(5)

昨日の続き。 「第五章 立 山 史 談」445頁扉(頁付なし)。 ・446~450頁11行め「立 山 談 義」(『観光手帖』一号・昭和二十九年) ・450頁12行め~455頁18行め「立山室堂の話」(二三、一〇、一五 於 杏子文庫) 成稿の日付と場所のみで初出が示されていない。…

中島正文 著/廣瀬誠 編『北アルプスの史的研究』(4)

昨日は「第三章 白馬岳をめぐって」の「白馬岳志雜攷」を見ただけで力尽きてしまったが、この章には他に次の小文が収められている。 ・345頁12行め~348頁17行め「白馬雜談」(『山岳会報』八二号・昭和十四年) これは「日本山岳会」HPの「会報「山」バックナ…

中島正文 著/廣瀬誠 編『北アルプスの史的研究』(3)

・白馬岳志雜攷 昨日の続き。 「第一章 黒部奥山と奥山廻り役」にはこの他に2篇、これ以降は全て新たに活字を組んでいる。また、これ以降のものは末尾に下詰めで「凡 例」の最後、13行め「六、初出書誌名とその年月は各文末に記した。」とある通り、初出を示…

中島正文 著/廣瀬誠 編『北アルプスの史的研究』(2)

・黒部奥山と奥山廻り役 昨日の続き。 「第一章 黒部奥山と奥山廻り役」の扉まで頁付がない。1~2頁、小島烏水「序」は2頁15行め「昭和十四年秋季皇霊祭の佳日」すなわち昭和14年(1939)9月24日付、3頁、中島正文「小 序」は13行め「昭和十四年十月二十日」…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(184)

・叢書東北の声44『杉村顕道作品集 伊達政宗の手紙』(7)『彩雨の屑籠』正・続・新 2019年9月12日付(115)の後半に抜いた箇条からも察せられるように、叢書東北の声11『杉村顕道怪談全集 彩雨亭鬼談』にはかなり細かい、編集部「【解題】」があったが、本…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(183)

・叢書東北の声44『杉村顕道作品集 伊達政宗の手紙』(6) 昨日、481頁図版『新坊ちゃん傳』の識語を紹介して、樺太から仙台に移った時期が昭和12年(1937)8月であることを確認した。土方正志「◎解説◎杉村顕道の足跡」は、平成26年(2014)8月の「山形新聞…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(180)

・杉村顕道の家系(7) 叢書東北の声44『杉村顕道作品集 伊達政宗の手紙』488頁下段~492頁「付「金田一京助 杉村顕道未刊行和訳唐詩選序文」について」は、12月9日付(178)に引いたように「カメイ記念展示館」での杉村惇回顧展に際して設けられた「顕道コ…

今野圓輔 編著『日本怪談集―妖怪篇―』(2)

・現代教養文庫1055(2) 昨日の続きで「はじめに」の最後の方を見て置こう。6頁2~12行め、 編者の聞書、採集以外の資料については、本文に関係深い部分だけの再録にとどめた。原文は/できるだけ尊重したが、一部分の抜書で充分でない場合は、前後を要約…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(177)

・杉村顯『信州百物語』の剽窃本(3) 昨日の続きで、野田悠『信濃奇談夜話』の細目について、「←」で典拠である杉村顯『信州百物語』の話を、仮に附した番号と叢書東北の声11『杉村顕道怪談全集 彩雨亭鬼談』に収録される本文(281~380頁)の位置を添えて…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(175)

・杉村顯『信州百物語』の剽窃本(1) 民話や伝説の本は、先行する書籍から採っているものが多い。昔話や伝説は著作物ではない(はずだ)から問題にならない(はずである)。この素材に「再話」と称する書換えを行えば、それは著作物になる。いや「再話」だ…

白馬岳の雪女(090)

・大島廣志の「雪女」(2) 8月9日付(013)に、大島氏が昭和62年(1987)4月に世間話研究会の例会で「小泉八雲の『雪おんな』と雪女伝承」と題する発表をしていることに触れた。その内容は、その12年後に発表した論文「「雪おんな」伝承論」に反映されてい…

赤いマント(327)

・五木寛之の赤マント(15) 昨日の続き。 それでは、①上製本『日本の民話 12 現代の民話』の「私の民話論 生きている民話」=②文庫版『日本の民話⑫ 現代の民話』の「私の民話論/――生きている民話――」から、当該箇所を抜いて置こう。①249頁3~20行め(改行…

白馬岳の雪女(089)

さて、石崎氏は日本の民話55『越中の民話』第二集の丁度2年後に、4月26日付「石崎直義 編著『越中の伝説』(1)」に見た『越中の伝説』を著しており、4月29日付「石崎直義 編著『越中の伝説』(4)」に見たように、3章め「怪異伝説」の1節め「妖怪変化」の…

白馬岳の雪女(088)

・日本の民話55『越中の民話』第二集(3) 一昨日からの続きで、本書に収録される富山県下新川郡朝日町の大井四郎の語った(とされる)「雪女」について、同じ頃に富山県中新川郡立山町で語られていた(らしい)『日本昔話通観●第11巻/富山・石川・福井』…

白馬岳の雪女(084)

昨日の続き。 ・『日本昔話通観●第11巻/富山・石川・福井』(4) やはり「伊藤稿」を見たいものである。しかしながら『日本昔話通観』に提供したためか、結局刊行されなかったようだ。――伊藤曙覧の旧蔵書は、小杉町民図書館(現・射水市中央図書館)と、住…

白馬岳の雪女(077)

・遠田勝『〈転生〉する物語』(36)「五」1節め② 昨日の続き。 遠田氏が『アルプスの民話』に気付いた理由だが、一草舎版『山の伝説』を見たからだろう。 本書は一草舎版『山の伝説』には触れていないが、9月10日付(043)に引いた注にて、村沢武夫の伝記的…

白石實三『武藏野から大東京へ』(1)

昨日の続き。 中島悦次が「雪女」伝説の資料として言及していた白石實三(1886.11.11~1937.12.2)の連載「武藏野から大東京へ」はその後書籍化されている。 ①中央公論社版『武藏野から大東京へ』昭 和 八 年 三 月 十 九 日 印 刷・昭 和 八 年 三 月二十四…