改版
・辺見じゅん『花子のくにの歳時記』1991年12月10日 初版第1刷発行・定価1408円・小学館・237頁・四六判上製本花子のくにの歳時記作者:辺見 じゅん小学館Amazon ハルキ文庫版も出ているが未見。 辺見じゅんの著述には特に興味がある訳でもなかったのだが、…
昨日の続き。 本作は前回も触れたように『松谷みよ子の本 第7巻 小説・評論・全1冊』147~268頁に「あの世からのことづて―私の遠野物語」として収録されている。750~756頁「あとがき」から、関係する記述を抜いて置こう。754頁1~8行め、 『あの世からのこ…
本書についてはこれまで2016年4月16日付(1)、2016年5月8日付(2)、2019年2月4日付(3)と専ら、単行本と文庫版の、外形的な比較ばかりしていたのだが、6月4日付「日本の民話『紀伊の民話』(10)」の【11月13日追記】を書いて、伊藤英治 編『松谷みよ…
6月19日付(02)にて、NHK前会長坂本朝一について②単行本([第二期]Ⅲ・第1刷)の松谷みよ子「あとがき」に「すでに故人となられた」と誤っていたのを③ちくま文庫版が誤魔化して(!)いることを指摘し、 ‥‥。ここは③ではなく②の増刷時に訂正したのではない…
① 現代民話考 その十「軍 隊(上)」(日本民話の会編集「民話の手帖」第11号(第5巻/第3号)44~91頁上、一九八二年十月一日発行・定価 八八〇円・発行 日本民話の会・発売元 第一法規出版・160頁・A5判並製本) ② 現代民話考 その十一「軍 隊(下)」(…
・『松谷みよ子のむかしむかし』(2) 昨日の続きで、元版の『日本の伝説』全5冊と、『松谷みよ子のむかしむかし』全10冊の後半『六』から『十』として抱き合わされた5冊を比較して見よう。 仮に『日本の伝説』を①、そして各冊は『1』『2』『3』『4』『…
前回の続き。 ・『松谷みよ子のむかしむかし』(1) 前回見た『日本の伝説』全5冊は、先行して刊行されていた『日本のむかし話』全3冊と『日本の神話』全2冊と抱き合わせて『松谷みよ子のむかしむかし』全10冊に改編されている。しかし判型や装幀・内容は殆…
・「おじさんの話」(7)斎藤隆介➋ 前回の続きで②講談社『松谷みよ子全集』第十二巻(1972)の、斎藤隆介による解説「鯨小学校」の「1」節めの後半から見て置きましょう。 176頁11~12行め「洪水の話」の「すばらしい」表現を絶賛する葉書を出したことを挟…
昨日の続き。 ・「おじさんの話」(5) それでは今回は、②講談社『松谷みよ子全集』第十二巻(1972)の松谷みよ子「作品覚書」について見て行くこととしましょう。 組み方が違うので厳密な比較ではありませんが、松谷氏の「作品覚書」は174~175頁の見開き2…
・「おじさんの話」(4)あとがき 本作の成立と刊行については、松谷氏本人が①偕成社『少年少女/現代創作民話全集』版(1971)の「あとがき/先生やおかあさん方へ」、②講談社『松谷みよ子全集』第十二巻(1972)の「作品覚書」、③『偕成社の創作』版(198…
・「おじさんの話」(3) 前回、①偕成社『少年少女/現代創作民話全集』版(1971)、②講談社『松谷みよ子全集』第十二巻(1972)、③『偕成社の創作』版(1986)、④講談社『松谷みよ子の本』第4巻(1995)について眺めました。さらに初出の⓪日本教職員組合…
・「おじさんの話」(2) この「おじさんの話」は連載33回で30題、但し1題は別扱いになって最終的に『松谷みよ子の本4』では29題となっている。 ①少年少女/現代創作民話全集 2『木やりをうたうきつね/おじさんの話』1971年12月 1刷・1977年4月 6刷・…
前回見た発生時代順 日本むかしむかし⑩『いまのむかし』とほぼ同じ頃、やや先行して紀州の天狗の話を松谷氏が作品化していたことに気付いたのも、やはり『松谷みよ子の本』別巻を眺めていて、のことでした。 ・『松谷みよ子の本 第4巻 童話・詩・全1冊』一九…
前回、7月18日付(19)に、紀州の天狗の話が、狼の話に比べて具体的なのは、早い時期に文章化していたからではないか、との見当を示して置きましたが、そのつもりで伊藤英治 編『松谷みよ子の本 別巻 松谷みよ子研究資料』を眺めて行くと、昭和40年代に、幾…
・種村季弘 編『東京百話』ちくま文庫(筑摩書房) 6月中旬に隣の市の中央図書館に出掛けたとき、東京都関係の本が並んでいる書架を眺めていて、2013年12月17日付(057)に取り上げた種村季弘「蘆原将軍考」が、種村氏が自分で編纂したアンソロジーに収録さ…
・『現代の民話』の「あとがき」 それでは昨日の続きで、新書判223頁2行め~224頁14行め・文庫版237頁2行め~238頁16行めを見て置きましょう。改行位置を前者「/」後者「|」で示しております。 一九九六年一月から三月まで、NHK教育テレビの「人間大学…
一昨日の前回、『現代民話考12』単行本(1996)及び「松谷みよ子年譜」(1997)と『ラジオ・テレビ局の笑いと怪談』文庫版(2003)の間に、松谷氏はこの間の時系列を正しく書いた文章がある、と書いてしまったのですが、投稿して風呂に入っているうちに何だ…
6月18日付(01)に取り上げた、NHK(森本毅郎アナウンサー)と「現代の民話」の因縁については、松谷氏はその後も書き続けておりました。 ・『現代民話考12 写真の怪・文明開化』1996年5月25日 第1刷発行・定価2718円・立風書房・352頁現代民話考 12…
私が本書に注目したのは、7月10日付(1)に細目を見たうちの「Ⅰ」章、「旅の雑文」を集めた中に、少し注意している人の名があったからであった。 ①単行本22~30頁②文庫版16~23頁「人形芝居のある秘境」に、田辺氏を旅行に誘った人物と同行者が次のように記…
・松谷みよ子『現代民話考』第三期 松谷氏は『現代民話考』の「天狗考」の冒頭、紀州熊野で聞いた天狗の話をかなり詳しく紹介していました。 そこで『松谷みよ子の本』と同時期に刊行されていたので、『松谷みよ子の本』には前文が収録されなかった『現代民…
松谷氏の著書は恐ろしく多く、かつ再録もしくは改稿が多く、非常に扱いが難しいのですけれども、私には系統立てて追って行く余裕などとてもでないが、存しません。松谷みよ子民話研究室なき今、それこそ日本民話の会の企画としてでも『松谷みよ子の本』別巻…
昨日の続き。 ・くまの文庫③『熊野中辺路伝説(下)』(2) さて、3~7頁「目 次」を見るに、章立てはしておりませんが樹木、鳥、蛇‥‥と云った風に何話か纏めて排列してあることに気づかされます。その最初8題が樹木に関する話で、その8番め、16~17頁「平家…
田辺聖子のエッセイには2020年11月20日付「田辺聖子『女の長風呂』(1)」に述べたような理由で少し触れてみました。価値観の古さには如何ともし難いものがありますが、私は実際そんな雰囲気の中で育って来たので、普通に懐かしく感じるばかりです。もちろ…
①「ラジオ・テレビ局にまつわる笑いと怪談」(2) 昨日の続き。 ②③の「あとがき」は続いて、②388頁9行め~390頁2行め③440頁11行め~442頁7行め、著書の利用を許可してくれた放送関係者や、取材に応じ、情報を提供してくれた人たちへの謝辞が連ねてあります…
2020年3月29日付「飯盒池(9)」の後半に述べたように、私は松谷みよ子『現代民話考』には幾つかの欠陥があり、読者から送られて来たアンケートの原文に遡って確認する必要があると、前々から思っておりました。 いえ、実は、直接、運動したこともあったの…
・松谷みよ子全エッセイ1『わたしの暦』 さて、返却期限が迫って来たので6月4日付(10)に書影を示した『松谷みよ子全エッセイ』を見直しておりましたら、それと明記していないのですが紀州採訪のことと思われる記述のあることに気付きました。 111~117頁…
さて、こうして松谷氏が同じ主題について書いた文章には種々変遷があることが分かって来ると、立風書房(及びちくま文庫)版『現代民話考』の基になった雑誌「民話の手帖」に連載された「現代民話考」を、どうしても見たくなるところです。しかしながら、5月…
昨日の続き。 ・松谷みよ子全エッセイ2『わたしの風土記』 149~233頁「Ⅱ わたしの風土記」には各地の民話を取り上げた29篇が纏めてあるがその23番め、198~201頁「天狗さまざま」は、末尾(201頁5行め)に下詰めでやや小さく「(一九七八・三「新修日本絵…
松谷みよ子は執筆機会の多い著述家であったので、同じ主題で色々な媒体に何度も、同じ材料を繰り返し使って書くようなことになっております*1。 ただ、その繰り返しになるとき、紙幅の都合により繁簡精粗の違いが生じるだけなら良いのですが、5月22日付(07…
・『松谷みよ子の本 第2巻 太郎の物語・民話系創作文学・全1冊』一九九四年十二月二十五日・第一刷発行・講談社・669頁・上製本(20.0×14.8cm)松谷みよ子の本 (第2巻) 太郎の物語・民話系創作文学作者:松谷 みよ子講談社Amazon 649~655頁、松谷みよ子「あと…