瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

改版

池内紀「雑司が谷 わが夢の町」(5)

昨日の続きで中公新書2023『東京ひとり散歩』の「鬼子母神懐古――雑司ヶ谷」の問題点について、もう少し突っ込んだ指摘をして置こう。 * * * * * * * * * * いや、そもそも「雑司が谷 わが夢の町」では、王子電車の牛乳運搬から「武蔵野の面影」を…

池内紀「雑司が谷 わが夢の町」(4)

中公新書2023『東京ひとり散歩』の「鬼子母神懐古――雑司ヶ谷」は、読むほどに「雑司が谷 わが夢の町」を下敷きに書かれたように感じるのだが、対比するとなると全文を抜くことになってしまうのでそれは控えて、最後に「雑司が谷 わが夢の町」の誤りを訂正し…

畑中幸子『南太平洋の環礁にて』(5)

・北杜夫『南太平洋ひるね旅』との関連(2) 『南太平洋ひるね旅』との関連と題して見ましたが、一応関連はしますが『南太平洋ひるね旅』に書かれなかったことの確認です。――既に2020年12月5日付(4)の段階で書くことは決まっていて、引用すべき箇所の見…

赤いマント(320)

・朝倉喬司『毒婦伝』(1) 朝倉喬司(1943.6.23~2010.11.30頃)が赤マント流言の起源を二・二六事件に結び付けようとしていることについては、2013年10月24日付(003)に見た通りなのですが、そこで考証したように、使用している資料『現代民話考』が流言…

赤いマント(319)

小松左京(1931.1.28~2011.7.26)は大阪府大阪市生れで兵庫県西宮市育ち、2019年7月10日付「赤いマント(198)」以来しばらく取り上げた、大阪府大阪市出身の黒田清(1931.2.15~2000.7.23)と同学年なので、自伝的な著作に何か赤マント流言についての記述…

赤いマント(318)

・小沢昭一の赤マント(3) それでは、4月5日付(316)に引用した《A》『わた史発掘 戦争を知っている子供たち』に小沢氏が列挙している、相生小学校時代(1936.4~1942.3)のことと思われる流行物について、ざっと確認して置こう。他の章・節に記述がある…

小沢昭一『わた史発掘』(4)

・蒲田区道塚町への転居 『わた史発掘』の「その十二 道塚篇」の4節め、①単行本182~183頁2行め②文春文庫版194頁14行め~195頁15行め③岩波現代文庫版205頁12行め~206頁17行め「道塚の想い出は暗い」に、①182頁14~17行め・改行位置「/」②195頁8~11行め・…

赤いマント(317)

・小沢昭一の赤マント(2) それでは、昨日の続きで4月4日付「小沢昭一『裏みちの花』(1)」に取り上げた『裏みちの花』にも見える「赤マント」への言及を見て置こう。 2章め「想い出の歌」の扉(頁付なし)をめくって1篇め「新開地育ち」。 《1》『裏み…

赤いマント(316)

・小沢昭一の赤マント(1) さて、しばらく小沢昭一の著述を眺めているのだけれども、それは、簡単ではあるが、赤マント流言に触れるところがあるからであった。――まづ、『わた史発掘 戦争を知っている子供たち』について見て置こう。 『わた史発掘』の諸本…

小沢昭一『裏みちの花』(1)

①単行本(文藝春秋・282頁・四六判上製本)裏みちの花作者:小沢 昭一発売日: 1989/08/01メディア: 単行本・一九八九年八月三十日 第一刷・定価1262円 ・一九八九年八月 三 十 日 第一刷・一九九〇年九月二十五日 第三刷・定価1262円 カバーは第一刷と第三刷…

小松左京『やぶれかぶれ青春記』(6)

・諸本対照(2) ついでに①旺文社文庫版と④小松左京全集完全版34に附載されている、小松氏の友人たちの文章についても、章立てを見て置こう。――旺文社文庫は著者を良く知っている親類縁者や知友に、文章や談話を依頼していることが有難い。④がこれを採録し…

小松左京『やぶれかぶれ青春記』(5)

・諸本対照(1) それでは、前回までに紹介した諸本、3月29日付(1)に見た①旺文社文庫版、3月30日付(2)に見た②勁文社版、3月31日付(3)に見た④小松左京全集完全版34、4月1日付(4)に見た⑤新潮文庫を対照させて示して置こう。①②④の行数には注も含ん…

小松左京『やぶれかぶれ青春記』(4)

⑤新潮文庫11022『やぶれかぶれ青春記・大阪万博奮闘記』平成三十年十月一日発行・定価630円・395頁やぶれかぶれ青春記・大阪万博奮闘記 (新潮文庫)作者:左京, 小松発売日: 2018/09/28メディア: 文庫 編集の意図はカバー裏表紙右上の紹介文に、 『果しなき流…

小松左京『やぶれかぶれ青春記』(3)

④小松左京全集完全版34『恋愛博物館/人間博物館/やぶれかぶれ青春記』2009年5月31日第一刷発行・城西国際大学出版会・431頁・A5判仮フランス装 1頁(頁付なし)中扉、3~7頁「目次」3頁(頁付なし)扉、4~7頁は2段組(1段24行)で4~5頁上段8行め「恋愛博…

小松左京『やぶれかぶれ青春記』(2)

昨日の続き。 本作の初出は昭和44年(1969)の雑誌「螢雪時代」連載だが、他にも「螢雪時代」昭和46年5月号付録として、山藤章二のイラストで1冊に纏めたものがオークションサイトに上がっていた。版次としてはこれを⓪とすべきかも知れない。山藤氏のイラス…

小松左京『やぶれかぶれ青春記』(1)

①旺文社文庫『やぶれかぶれ青春記――他五編――』昭和52年7月1日 発 行・226頁・文庫判上製本やぶれかぶれ青春記 (旺文社文庫 66-1)作者:小松 左京メディア: 文庫 私の見た本は〔特製版〕すなわち上製本でカバーは掛かっていない。なお、同じ村上豊で別の装画…

小沢昭一『わた史発掘』(2)

前回、①単行本②文春文庫版③岩波現代文庫版の諸本について、カバーの比較を終えたので、今回は本体を比較して置こう。 ①の見返しは横縞の透かしの入った、赤い毛を僅かに漉かし込んだ橙色の紙、但し遊紙の裏からは横縞の透かしが殆ど見えない。次いで白地のマ…

小沢昭一『わた史発掘』(1)

小沢昭一『わた史発掘 戦争を知っている子供たち』 ①単行本(昭和五十三年三月二十日 第一刷・定価一二〇〇円・文藝春秋・360頁・四六判上製本)わた史発掘―戦争を知っている子供たち (1978年)作者:小沢 昭一メディア: -②文春文庫(1987年4月10日 第1刷・…

津留宏『一少女の成長』(3)

本書の初版『一少女の成長を見る 教育心理学的考察』は、一応増刷もされていて昭和25年(1950)版と昭和26年(1951)版があるようだ。但し判型や頁数(228頁)は同じである。都内の公立図書館では昭和25年(1950)版が国立国会図書館と東京都立多摩図書館に…

津留宏『一少女の成長』(2)

本書再刊の事情、いや成立の事情も、3~4頁「改訂新版まえがき」に述べてある。末尾、4頁12行めに下寄せで「六甲山寓にて 津留 宏」とあり1行分空けて13行め3字下げでやや小さく「昭 和 五 十 五 年 六 月」とある。 3頁8行め~4頁5行め、 大学を終えて、あ…

津留宏『一少女の成長』(1)

・津留宏『一少女の成長 小さな魂の記録の分析』一九八〇年七月二五日発行・定価 一、四〇〇円・ナツメ社・246頁・四六判上製本一少女の成長―小さな魂の記録の分析 (1980年)作者:津留 宏メディア: - 1~2頁「初版まえがき」は末尾、2頁14行めに下寄せでやや…

奥野健男『北杜夫の文学世界』(6)

昨日に続いて、奥野健男『北杜夫の文学世界』から当ブログの記事の参考になりそうな箇所を見て置きましょう。 2020年11月1日付「赤いマント(294)」に、ブラジルの日本語日刊新聞「ニッケイ新聞」のサイト「ニッケイ新聞WEB」の2007年6月27日付「作家・北杜…

奥野健男『北杜夫の文学世界』(5)

昨日は「あとがき」に見える本書編集の切っ掛け、著者の奥野氏、対象である北氏、そして編集者の宮脇氏の3人の関係について見て終わってしまったが、今回は「あとがき」の後半から、具体的な内容に関する記述を見て置こう。①169頁②201頁8行め~①170頁②202頁6…

奥野健男『北杜夫の文学世界』(4)

私は資料として使おうと思った書物について、異版がある場合、一応、諸本を確認してその本の由来や改訂箇所など、版ごとの特色なりを確認して置くことにしていて、当ブログはその備忘録みたいなものである。もちろん異版と云うなら、初出まで確認して置きた…

奥野健男『北杜夫の文学世界』(3)

一昨日からの、①単行本と②文庫版の比較の続き。 ①は1頁白紙があって奥付。殆ど余白で下部に明朝体横組みで、太い横線の上に3行、1行め左詰めで大きく標題、右詰めで「定価 680 円」、2行めはやや小さく、左詰めで印刷日、3字分空けて発行日、3字分空けてさら…

奥野健男『北杜夫の文学世界』(2)

昨日の続きで①単行本と②文庫版の比較。 ①の見返し(遊紙)は緑色、同じ厚みのベージュ色の扉、上部にカバー表紙と同じ明朝体横組みの標題と著者名が、縮小されてやや下に入っている。最下部中央の版元名は同じ大きさ・位置。やはりカバー表紙と同じ柄が黄土…

奥野健男『北杜夫の文学世界』(1)

①単行本(昭和53年1月30日印刷・昭和53年2月10日発行・定価680円・中央公論社・173頁・四六判上製本)北杜夫の文学世界 (1978年)作者:奥野 健男メディア: -②中公文庫(昭和五十七年 三 月二十五日印刷・昭和五十七年 四 月 十 日発行・定価 三二〇円・中…

能美金之助『江戸ッ子百話』(9)

本書は、2月26日付(2)に示した『上』の細目にあるように「第一話」が昭和31年(1956)5月9日、そして2月27日付(3)に示した『下』の細目にて「第百話」が昭和45年(1970)9月、14年余りを経て達成されたことが分かります。「第六話」までは月2話のペー…

能美金之助『江戸ッ子百話』(8)

昨日の続きで、鶴見俊輔『不定形の思想』所収「小さな雑誌」一九六一年八月条について、本書『上』と対照させながら、内容を確認して置こう。 鶴見氏はさらに2話、夏にちなんだ話題を取り上げている。 すなわち、254頁上段~下段6行めに(第二十四話、「江戸っ…

能美金之助『江戸ッ子百話』(7)

一昨日からの続きで、鶴見俊輔『不定形の思想』所収「小さな雑誌」一九六一年八月条について、本書『上』と対照させながら、内容を確認して置こう。 次いで、253頁下段6~11行め、 この実話をよむと、ふだん電車の窓から見ていておぼえ/ている景色に、おく…