瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

奥野健男『文学における原風景』(1)

本書の書影は既に3月15日付「奥野健男『北杜夫の文学世界』(5)」に貼付して置いた。 ・『文学における原風景』一九七二年四月 十五 日 初版印刷・一九七二年四月二十五日 初版発行・定価 九八〇円・集英社・226頁・四六判上製本 私の見た本にはカバーが掛…

越中の思ひ出(5)

昨日の続き。 私は国立の大学院に騙されるようにして移って、2度学会発表をさせられたのだが、うち1度が金沢であった。 そこで、新宿で再会してしばらく車中で久闊を叙した越中の友人に早速連絡して、またお世話になりたいと言うと快く引き受けてくれた。 こ…

越中の思ひ出(4)

題とは相違して信越国境の思ひ出みたいな按配だが、越中旅行の途次の体験なので題はそのままにして置く。 昨日の続き。 さて、南小谷駅で2輛編成の気動車の、確か、1輛めの窓際に乗って発車を待っていると、新たに松本方面からの列車が到着したらしく、ぞろ…

越中の思ひ出(3)

昨日の続き。――越中の地名を幾つも眺めているうちに思い出が甦って、少しずつ記憶を辿って行くうちに、覚えず妙なことを思い付いてしまった。 さて、当時の私はどう思ったのかと云うと、友人の、短大を卒業して就職してもう2年になろうと云う高校の同級生か…

越中の思ひ出(2)

昨日の続き。 私が初めて越中を訪ねたのは学部を卒業した3月上旬、卒業旅行と云うほどではないが、青春18切符でサークルの友人たちの実家に泊めてもらって、まづ卒業後北海道で就職することが決まっていた者の実家に、恐らく最後の機会になるわけだから泊め…

越中の思ひ出(1)

当ブログで、未来社版『越中の民話』や、石崎直義 編著『越中の伝説』を取り上げている理由は、そのうちに分かると思いますが、これらの本を見ているうちに越中に出掛けたときのことを色々と思い出したのである。 私が越中に出掛けたのは3度、学部を卒業した…

杉村恒『明治を伝えた手』(7)

昨日の続きで、解説「職人の世界」の4章め、188頁3行め~195頁「〝戦場の村〟に残る伝統工芸」及び5章め、196~200頁10行め「〝カメラの世界〟がとらえたこと」の内容を簡単に確認して置こう。 4章めは南ベトナムでの取材を述べたもので、時期が明示されてい…

杉村恒『明治を伝えた手』(6)

昨日の続きで、解説「職人の世界」3章め、181頁10行め~188頁2行め「技術は承けつがれる」の、グラビア頁の補足となる記述を見て置こう。5月16日付(2)に、仮に附した番号を添えて置くこととする。 まづ、181頁11~14行め、 取材した人達にはそれぞれ個性…

杉村恒『明治を伝えた手』(5)

昨日の続きで、解説「職人の世界」の2章め、グラビア頁には取り上げられていなかった団体について紹介しているところを見て置こう。 169頁13行め、3行取り1字下げ「伝統の復活と維持」と題して、14~16行めに前置き、 戦後、この日本の伝統ともいうべき手仕…

杉村恒『明治を伝えた手』(4)

昨日の続き。 解説1章めには、本書からは割愛した職人について述べたところがある。168頁17行め~169頁12行め、昨日の引用の続きになる。 そして一人ひとりの仕事の中にある本当に専門的な知識については、私にはまだまだ分らないことが多くあった。/【168…

杉村恒『明治を伝えた手』(3)

5月16日付(2)の続き。 160頁までのグラビア頁に続いて、161~200頁、解説「職人の世界」と201~202頁「あとがき」がある。 161頁(頁付なし)解説の扉。左側に二重線の枠(16.2×4.0cm)があって、明朝体縦組みで、上部中央に大きく「職人の世界」下部中央…

駒村吉重『君は隅田川に消えたのか』(21)

・吉田正三について(6) 昨日引用した東京新聞社社会部 編『名人 〈町の伝統に生きる人たち〉』106頁に「好事家」からの「注文」のことが見えていましたが、まさにそうした需要を満たす吉田氏の画集『千住の吉田政造筆/東京の絵馬』があります。2月上旬に…

駒村吉重『君は隅田川に消えたのか』(20)

・吉田正三について(5) 一昨日からの続きで、東京新聞社社会部 編『名人 〈町の伝統に生きる人たち〉』105頁16行め~106頁15行めを見て置きましょう。 ‥‥。むか/しは、父親の描いた絵馬を、千住から/池袋あたりまで持っていった。【105】 「雑司ケ谷の…

駒村吉重『君は隅田川に消えたのか』(19)

・吉田正三について(4) 昨日の続きで、東京新聞社社会部 編『名人 〈町の伝統に生きる人たち〉』104頁1行め~105頁15行めを見て置きましょう。 絵馬は、信心の厚い人が豊作や商売繁昌、病気の全快を祈って神仏に奉納する。たとえば、農業の/神である稲荷…

駒村吉重『君は隅田川に消えたのか』(18)

・吉田正三について(3) 本書は Amazon 等のレビューや、最近でも Twitter の投稿にて、かなり高い評価を得ているようですが、私の評価は否定的なものとなっております。――当ブログではこれまで、駒村氏が当時の都市交通網を考慮に入れていないことを指摘…

杉村恒『明治を伝えた手』(2)

当初、4月12日付(1)に続けて「昨日の続き」として投稿するつもりで準備していたのだが、5月13日付「東京新聞社社会部編『名人〈町の伝統に生きる人たち〉』(1)」に述べたように本書の6年前に類書が刊行されていたことを知って、そちらを確認してからに…

東京新聞社社会部編『名人〈町の伝統に生きる人たち〉』(3)

昨日の続きで、今回は本書の成立について見て置こう。 229~230頁「あとがき」は最後、230頁17行め、1行分空けて2字下げで「昭和三十八年三月」付、下寄せで「東京新聞社社会部長 新貝博記 」とある。ここは記名だけれども法人著作物であり著作権は消滅して…

東京新聞社社会部編『名人〈町の伝統に生きる人たち〉』(2)

昨日の続き。 経年劣化もあってかクリーム色っぽく見えるやや厚手の見返し(遊紙)があって、1頁(頁付なし)扉には角の丸い太線の枠(14.4×7.5cm)に横組みで、上部に明朝体で大きく標題「名 人」上にやや小さく「〈町の伝統に生きる人たち〉」下に「東京新…

東京新聞社社会部編『名人〈町の伝統に生きる人たち〉』(1)

・ハヤカワ・ライブラリ『名人 〈町の伝統に生きる人たち〉』1963年 4 月15日発行・¥ 250・早川書房・230頁・新書判並製本名人―町の伝統に生きる人たち (1963年) (ハヤカワ・ライブラリー)メディア: - 4月12日付「杉村恒『明治を伝えた手』(1)」に関連…

和楽路屋『東京区分地図帖コンパクト版』(2)

昨日の続き。 ・冨田均『住所と日付のある東京風景』(2) この地図のことは28篇め、235~242頁「地図と高速道路と猫」にも、236頁16行め~237頁11行め、 和楽路屋発行の『東京都区分地図帖コンパクト版』をとり出す。これが今の東京を歩くには絶/好の地図…

和楽路屋『東京区分地図帖コンパクト版』(1)

雑司ヶ谷の高田書店には、私には勿論、ここまでする程の思入れがあるはずもないのだが、思い掛けず新たな切り口が得られることもあるので、事の序でに色々と、図書館に行く度に漁ってしまうのである。 ところで、2020年2月撮影の Google ストリートビューに…

池内紀「雑司が谷 わが夢の町」(5)

昨日の続きで中公新書2023『東京ひとり散歩』の「鬼子母神懐古――雑司ヶ谷」の問題点について、もう少し突っ込んだ指摘をして置こう。 * * * * * * * * * * いや、そもそも「雑司が谷 わが夢の町」では、王子電車の牛乳運搬から「武蔵野の面影」を…

池内紀「雑司が谷 わが夢の町」(4)

中公新書2023『東京ひとり散歩』の「鬼子母神懐古――雑司ヶ谷」は、読むほどに「雑司が谷 わが夢の町」を下敷きに書かれたように感じるのだが、対比するとなると全文を抜くことになってしまうのでそれは控えて、最後に「雑司が谷 わが夢の町」の誤りを訂正し…

池内紀「雑司が谷 わが夢の町」(3)

・池内紀の居住歴(3) 板橋の次に住んだ豊島区雑司ヶ谷であるが、中公新書2023『東京ひとり散歩』の「まえがき」には、ⅴ頁5~11行め、 雑司ヶ谷には、けっこう長くいた。少し歩くと鬼子母神の境内にきた。樹齢五百年とかの/大イチョウがそびえており、人…

池内紀「雑司が谷 わが夢の町」(2)

・池内紀の居住歴(2) 昨日の続き。 中公新書2023『東京ひとり散歩』の「まえがき」に拠れば、池内氏は姫路から上京して、まづ北区滝野川に住んでいる。滝野川と云っても西は赤羽線(埼京線)の板橋駅から、東は京浜東北線の王子駅近くまで、かなりの面積…

池内紀「雑司が谷 わが夢の町」(1)

・池内紀の居住歴(1) 4月9日付「水島新司『ドカベン』(60)」にて、鈴木則文監督の実写映画『ドカベン』にて「朝日奈書店」として使用されていた書店が豊島区雑司が谷の高田書店であることを確認し、営業期間について豊島区南池袋の古書店・古書 往来座…

佐木隆三『復讐するは我にあり』(2)

昨日の続き。 ・福樹荘の神吉梅松弁護士(2) さて、前回参照した大正15年(1926)5月1日現在『東京電話番号簿』に神吉氏の名は見当たらないようであるが、中央区立図書館地域資料室アーカイヴス「電話帳簿」を見て行くと、神吉氏の名前も拾うことが出来る…

佐木隆三『復讐するは我にあり』(1)

さて、4月9日付「水島新司『ドカベン』(60)」を「今村昌平監督『復讐するは我にあり』(1)」と題して投稿しようかと思ったのだが、鈴木則文監督『ドカベン』のロケ地として、欅並木の鬼子母神表参道と西参道商店街の分岐点にあった本屋に注目したのだか…

石崎直義 編著『越中の伝説』(8)

前回「索引」にて、各市町村ごとの話数を確認したが、かなりの偏りがあることが見て取れた。なお、見返し(表紙・裏表紙とも)には4月26日付(1)に触れたように[富 山 県]の白地図があって、本書刊行当時の富山県の市町村とその範囲が示されているが、こ…

石崎直義 編著『越中の伝説』(7)

続いて最後にある、171~174頁「索 引」を眺めて置こう。 体裁であるが4段組、市町村ごとに前後1行空け、1字下げで話の題と頁を示す。例を示すと174頁1段め2~5行め、 東砺波郡井口村*1 義経の落胤 76*2 大蛇を食べた 婆さま 122 の如く、2行にわたる場合は…