瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

怪異小説

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(194)

・朝里樹『山の怪異大事典』(2) 前回「出し過ぎ」と批判しましたが、本書も取り上げている怪異や妖怪などは出世作の『日本現代怪異事典』に出しているものと重なって来るだろうし、本書の「構成」が「地方ごとになって」いると云うのも、同時期に刊行が始…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(190)

他のことにかまけて後回しにしているけれども、材料がない訳でもなく、追究を止めた訳ではないので、この題で年に1回は投稿して置きたいと思っておるのですが、いざ、過去に集めた材料に取り掛かろうとしても中々確認が難しい。しかし、このままだと当記事の…

白馬岳の雪女(105)

白馬岳の雪女は、柳田國男「山と傳説」を序文のように載せている青木純二『山の傳説 日本アルプス篇』に載ったこともあってか、民俗学の文献にも早い時期から取り上げられている。 ・中山太郎 編『日本民俗學辭典』 ①初版(昭和書房)昭和八年十一月一日 印 …

『稲川淳二のすご~く恐い話』(1)

私は体験談に余り興味がない。それなのに取り上げる理由は、場所や時代、それから登場人物に対する興味からである。 稲川氏の話の場合、後で引用するが、どうも話を盛っているところが目に付いて、そのまま考証に使えない。しかも稲川氏は同じ話を繰り返し語…

『「超」怖い話』(18)

・勁文社文庫21 Q-019『新「超」怖い話』(2) それでは収録されている話について、仮に附した収録順の《番号》「題」執筆者(頁)に、*に体験者(話者)・時期・場所、樋口明雄執筆分については復刻選集『「超」怖い話∞(エンドレス)』への再録状況について…

『「超」怖い話』(17)

9月28日付(15)に取り上げたシリーズ2作めに続いて、3作めを見て置こう。 ・勁文社文庫21 Q-019『新「超」怖い話』1993年8月1日 第1刷・1995年7月20日 第5刷・定価544円・220頁新「超」怖い話 (勁文社文庫21)作者:樋口 明雄勁文社Amazon 本書からケイブ…

『「超」怖い話』(16)

・勁文社文庫21 Q-016『続「超」怖い話』(2) 昨日の続き。「「超」怖い話公式ホームページ」の「「超」怖い話 資料集」には、 ※新書版発刊当時のタイトルは「超」怖い話2とされていたが、文庫化時に続「超」怖い話に改題された。 ※※文庫化の際に、一部のエピ…

『「超」怖い話』(15)

9月24日付(11)に取り上げたシリーズ1作めに続いて、2作めの勁文社文庫21版を見て置こう。 ・勁文社文庫21 Q-016『続「超」怖い話』1993年7月1日 第1刷・定価544円・220頁 カバー表紙とカバー背表紙については9月24日付(11)にシリーズの他の3冊と比較し…

『「超」怖い話』(14)

【10月2日追記】当初、9月26日の22時59分1秒に投稿したのであるが、「『「超」怖い話』(13)」を同じ日の22時29分26秒に予約投稿していたのを忘れていたので、同じ日に2つ投稿することになってしまった。そこで遅ればせながら、9月27日23時12分59秒に投稿した…

『「超」怖い話』(11)

・勁文社文庫21 Q-013『「超」怖い話』1993年6月1日 第1刷・定価544円・218頁 今私の手許に勁文社文庫21版の『「超」怖い話』シリーズが4冊ある。本書と『続「超」怖い話』『新「超」怖い話』『新「超」怖い話5』で、いづれもカバーは同じレイアウトになっている。…

『「超」怖い話』(10)

・ケイブンシャブックス K-53『「超」怖い話』(2) 昨日の続き。 カバー表紙折返しは白地で右側(0.7cm)に表紙絵が入り込む。右上に寄せて古印体縦組みの紹介文があって以下のように14話を挙げている(改行位置「|」)。 都会の怪奇ミステリー !! 黒い人と…

『「超」怖い話』(09)

一昨日まで、竹書房文庫から出た、勁文社版『「超」怖い話』の初代編著者安藤君平(1963.5.30生)と2代目樋口明雄(1960.1.30生)の復刊選集の細目について確認した。昨日は、疲労困憊して、と云う程ではないが、不十分なままとにかく投稿だけはしてしまった細…

『「超」怖い話』(08)

昨日の続きで勁文社版『「超」怖い話』から樋口明雄執筆分を纏めたものの「第2弾」の細目を確認して置こう。初出は勁文社文庫21版『「超」怖い話』『続「超」怖い話』『新「超」怖い話』『新「超」怖い話5』は今手許にあるのでこれに拠り、他の巻については「「超」怖…

『「超」怖い話』(07)

・竹書房文庫『「超」怖い話0(ゼロ)』(2) それでは、9月16日付(04)と同じ要領で、本書に収録されている話の体験者もしくは話者・時期・場所、そして初出について纏めて置く。勁文社文庫21版『「超」怖い話』『続「超」怖い話』『新「超」怖い話』『新「超」怖…

『「超」怖い話』(6)

・竹書房文庫 HO-17 樋口明雄『「超」怖い話∞(エンドレス)』2004年12月29日 初版第1刷発行・定価552円・286頁「超」怖い話∞(エンドレス) (竹書房文庫)作者:樋口 明雄竹書房Amazon まづ内容の確認のため、カバー裏表紙の中央やや上、2本の線(3.2cm)に…

『「超」怖い話』(5)

昨日の続き。 安藤氏に竹書房文庫での復刊を持ち掛けたのは9月15日付(3)に見たように「竹書房の小川さん」だった。そこには(周知のこととして)書かれていないが、彼女は既に、9月14日付(2)に引いた『「超」怖い話†(クロス)』の「はじめに」に名前の…

『「超」怖い話』(4)

・竹書房文庫『「超」怖い話†(クロス)』(3) それでは細目を見て置こう。各話に番号は打たれていないが仮に番号を付して【 】に示した。次いで冒頭に4行取りの明朝体太字でやや大きく入っている各話の題、これに( )に頁を添えた。なお、1頁15行、1行37…

『「超」怖い話』(3)

・竹書房文庫『「超」怖い話†(クロス)』(2) 昨日の続き。今回は「はじめに」の3頁13行め~5頁5行め及び「おわりに」の201~203頁の、本書の刊行と新作の追加についての記述を見て置こう。 3頁13行め~14頁6行め、 ‥‥、竹書房の小川さんよりご連絡をいた…

『「超」怖い話』(2)

このシリーズについては Wikipedia「「超」怖い話」項が詳しく、2015年5月31日を最後に更新されていないので幾つかのページが閲覧出来なくなっている「「超」怖い話 公式ホームページ」に更に詳しい情報があるので、ここでは竹書房文庫の再編集版3冊を元に、…

『「超」怖い話』(1)

私は怪談に興味を持っているけれども、体験談は苦手である。怖いからではない。以前「ほんとにあった怖い話」とか「新耳袋」その他の実写ドラマを見ていたのも怖がろうとしてではなく「そう来たか」とか「何じゃこりゃ」と突っ込んで笑うために見ていたので…

祖母の蔵書(24)藤沢周平①

・新潮文庫 祖母は藤沢周平を愛読していたようで、単行本も少なからず見受けられたが、差当り文庫版を持って帰って来た。 新潮文庫2741/ふ-11-1『用心棒日月抄』昭和五十六年 三 月二十五日 発 行・平成 十 二 年 六 月 十 日 五十五刷・定価590円・402…

新聞解約の辯(4)

安倍元総理が暗殺された。いよいよ戦前に戻ったようだ。戦前のような世界を望んだように見える人物が、戦前みたいに殺されるとは、皮肉なものである。 1時間くらい経って同僚が気付いて職場で広め始めたのだが、帰宅して Twitter を見るに、ビジネス右翼と目…

校舎屋上の焼身自殺(29)

・川奈まり子『実話怪談 でる場所』(3) 以下、収録される話には仮に番号を打ち、場所は②文庫版3~5頁(頁付なし)「目 次」に近い形式で題に添えて置いた。①並製本3~4頁(頁付なし)「目 次」では、場所はやはりゴシック体で、2018年10月8日付「閉じ込め…

白馬岳の雪女(100)

2021年7月21日付(002)以来何度か、牧野陽子が仮に当ブログでは旧稿とした「ラフカディオ・ハーン『雪女』について」と、同じく牧野氏の新稿と呼ぶことにした「「雪女」の〝伝承〟をめぐって―口碑と文学―」にて、今野圓輔 編著『日本怪談集―妖怪篇―』の雪女…

道了堂(04)

・小池壮彦『怪奇事件の謎』(3) 道了堂について、まづ小池氏の記述、2016年刊『怪奇事件の謎』を主に、1996年刊『東京近郊怪奇スポット』を参照する形での確認から始めておりますが、今回は前回の『怪奇事件の謎』からの引用に対応する、『東京近郊怪奇ス…

白馬岳の雪女(099)

昨日の続き。 ・三浦秀夫『妖怪変化譚』(4) さて、白馬岳の雪女は、遠田勝『〈転生〉する物語』にて、東京朝日新聞の記者であった青木純二が昭和5年(1930)に、その著書『山の傳説 日本アルプス篇』に高濱長江訳『怪談』を下敷きにして捏造したものであ…

白馬岳の雪女(096)

・三浦秀夫『妖怪変化譚 日本の異界へ』2003年 9月30日初版第1刷印刷・2003年10月10日初版第1刷発行・定価1500円・鳥影社・165頁・四六判並製本妖怪変化譚―日本の異界へ作者:三浦 秀夫鳥影社Amazon カバー表紙折返し、右下にゴシック体縦組みで小さく「装丁 …

白馬岳の雪女(095)

・石沢清『北アルプス白馬ものがたり』(5) 昨日の続き。 5 白馬につたわる話 【1】白馬の雪ん子(女の子) 174頁2~5行め、前置きの後半、4~5行め「‥‥、村の人々は深い山並みのどこかに雪ん子がいると信じて、いい伝えてきた。そして、本/当に見たとい…

白馬岳の雪女(073)

昨日の続き。 ・遠田勝『〈転生〉する物語』(32)「三」4節め 「三 怪談作家ハーンの誕生」の最後、4節め、79頁14行め~83頁5行め「ハーンと国語教科書」で、遠田氏は検定と云う制約のある国語教科書で、ハーンの作品がどの程度採用されているのか、確認し…

白馬岳の雪女(067)

9月11日付(044)の続き。 ・遠田勝『〈転生〉する物語』(28)「二」1節め① 47頁7行め、3行取り2字下げでやや大きく「二 ハーンと「民話」の世界」とある。ここから68頁までが「二」章である。 しかし、実は「二」章なのか不安があって、――「一」章の最後の…