瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

映画

祖母の蔵書(153)陳舜臣②

・文春文庫『秘本三国志』文藝春秋 全六冊のうち(三)~(六)は客間のクローゼット右側2段めに纏めてあったが、(二)は寝間の本棚にあってこれにのみ帯が掛かっている。そして(一)が見当たらない。 150―7(二)1982年7月25日 第1刷・定価 320円・280…

石角春之助 編輯「江戸と東京」(5)

・濱本浩「塔の眺め」(1) 昨日の続き。――佐藤健二の纏めた「喜多川周之「十二階凌雲閣」問わず語り」に拠ると、喜多川周之(1911.6.9~1986.11.13)は昭和35年(1960)頃に、添田知道(1902.6.14~1980.3.18)から濱本浩(1891.4.20~1959.3.12)が自分の…

祖母の蔵書(146)山本周五郎

山本周五郎の小説は、2011年1月1日付「森鴎外『雁』の年齢など」に述べたような理由で、私は読んでいない。父の本棚にもそこそこあったと思うのだけれども。 穏健な読書家で時代小説を特に愛好していた祖母は、昭和50年代に続刊されていた新潮文庫を中心に、…

祖母の蔵書(132)山崎豊子

山崎豊子の本は好みと云うほどではなかったのか、3作だけ寝間の本棚にあった。しかしうち2作は単行本の初刷を揃えているので、全く関心がなかった訳でもないらしい。 ・『華麗なる一族』新潮社・四六判上製本 『上巻』昭和四十八年四月 五 日 印刷・昭和四十…

祖母の蔵書(75)陳舜臣①

陳舜臣の推理作家時代のことは、山藤章二のイラストに他の2人の作家とともに描かれているのを見てそんな時期があったのかと思ったので、私としては初めから China を主とした歴史小説家と云う認識であった。しかし歴史なら史書の翻訳を読めば良いと云う考え…

祖母の蔵書(72)山手樹一郎①

5月28日付(60)に見た横溝正史の春陽文庫『人形佐七捕物帳全集』と並べて、こちらはエリエールのティッシュケースに並べてあった。『人形佐七捕物帳全集』も薄汚れていたが、こちらは更に汚れが酷く、触っているうちに指先が黒ずんでしまう。今の家に移って…

祖母の蔵書(51)モンゴメリ①

家人は朝の連続テレビ小説を見ていて、人物の関係を『赤毛のアン』や『若草物語』に当て嵌めて理解しようとすることがあるのだが、これは10代の頃に祖母に薦められて読んだからで、祖母の小説の趣味は、晩年は時代小説、その前は推理小説と時代小説であった…

八王子市の首なし地蔵(08)

2022年12月2日付(01)の冒頭に、稲川淳二が有名にした(と云って良いと思う)道了堂の首なし地蔵に関連して「‥‥。その上、稲川氏は近著に収録した「八王子の首なし地蔵」で余計な(!)改変を加えたため、今後、新たな混乱の発生が懸念されるのである。」な…

祖母の蔵書(44)赤川次郎①

カッパ・ノベルス 光文社 ・㉗-8『三毛猫ホームズの恐怖館』昭和57年7月10日 初版1刷発行・昭和57年7月20日 2刷発行・定価680円・268頁三毛猫ホームズの恐怖館―長編推理小説 (カッパ・ノベルス)作者:赤川 次郎光文社Amazon※ 帯あり「●最新刊・書き下ろし・長…

祖母の蔵書(39)夢枕獏

祖母は、時代小説・推理小説の分野の流行作家の、新刊や話題作に興味を示す傾向があるようだ。 ここまで「※ 帯あり」との註記を附した本が少なからずあった。私は帯に惹かれて本を買うような経験を久しくしていなかったが、今回祖母の蔵書を整理して、①今月…

全国歴史散歩シリーズ13『東京都の歴史散歩』(8)

①文庫版(2) 文庫版の1版1刷の上下揃いを借りることが出来たので、4月29日付(1)に取り上げた『上』1版10刷と『下』1版7刷と比較して見た。 ・全国歴史散歩シリーズ 13上『東京都の歴史散歩 (上) 』1977年6月25日 1版1刷印刷・1977年7月15日 1…

道了堂(33)

・法政大学地域研究センター叢書5『歴史的環境の形成と地域づくり』(8) 馬場喜信の論文、第一部「第七章 浜街道《絹の道》―歴史的景観の発掘と史跡化―」の「第二節 《絹の道》―その歴史的景観の発掘と史跡化」の「(2) 《絹の道》史跡化への動き―行政…

坪野鉱泉(2)

昨日の記事は別に公開中の映画に便乗した訳ではなくて、本当にただ何となく思い付いて、最近度々活用している富山県立図書館の「郷土資料情報総合データベース」を検索して見たまでだったのだが、映画で盛り上がっているせいか、早速埋没しそうである。まぁ…

成瀬巳喜男監督『女の中にいる他人』(4)

昨日、映画『女の中にいる他人』で、妻を殺された杉本(三橋達也)が、犯人が親友の田代(小林桂樹)だと気付いてからも通報しなかった理由を、再見していないこともあって想像を交えてつらつら考えて、と云うか、妄想して見た。その続き。 一方、親友・杉本…

成瀬巳喜男監督『女の中にいる他人』(3)

昨日の続き。 9月20日の午後に放送されたNHKの松本清張ドラマ「黒い画集~証言~」を見ていて、私は途中でこれは『女の中にいる他人』で落ちを付けるつもりだな、と思ったのである。 映画『女の中にいる他人』も、映画『黒い画集 あるサラリーマンの証言』と…

成瀬巳喜男監督『女の中にいる他人』(2)

昨日の続きで、NHKで9月20日の昼に地上波で初放送された松本清張ドラマ「黒い画集~証言~」について。NHKプラスの見逃し配信は今日の14:34で終わってしまったけれども。 ・堀川弘通監督映画『黒い画集 あるサラリーマンの証言』昭和35年(1960)3月13日公開…

成瀬巳喜男監督『女の中にいる他人』(1)

・成瀬巳喜男監督『女の中にいる他人』昭和41年(1966)1月25日公開女の中にいる他人 [DVD]小林桂樹Amazon女の中にいる他人 【東宝DVDシネマファンクラブ】小林桂樹Amazon女の中にいる他人 [レンタル落ち]Amazon女の中にいる他人 [DVD]小林桂樹Amazon 以前、…

長沖一『上方笑芸見聞録』(13)

昨日の続きで、劇場や文学作品、演目、映画その他を列挙して行く。 こちらの方は未定稿で大体の分類はしてあるが、敢えて50音順にしなかった。 【劇場・演芸場】 ナンバ・グランド 25 南の花月 9~11・75~76・87・100・103・118・139・147・154・181 ナンバ…

長沖一『上方笑芸見聞録』(12)

それでは6月1日付(01)に予告した、2000年12月21日までに私が作成した本書の「索引」に、6月2日付(02)に断ったような若干の修訂を加えて、示して置こう。 もとの「索引」では、まづ長沖氏の著作が1字下げで並べてある。 「はだか道中記」横山エンタツの巻…

長沖一『上方笑芸見聞録』(11)

・花菱アチャコの藝名(5) 昨日の続き。 さて、本書には、相方の活動弁士の真似に合わせて、アチャコが髪を振り乱して踊る(?)という藝について、三人三様の証言が記録されている。これを登場順に番号を附し、掲載される章・節、~相方の名と真似た無声…

長沖一『上方笑芸見聞録』(10)

・花菱アチャコの藝名(4) 昨日の続きで『ジゴマ』についての長沖氏の回想を見て置こう。「横山エンタツ」の章の「三」節め、44頁13行め~45頁6行め、 『悪漢ジゴマ』という映画は私も見た記憶がある。たしか道頓堀の朝日座であったと思う。ま/だ小学校へ…

長沖一『上方笑芸見聞録』(9)

・花菱アチャコの藝名(3) 昨日の続きで、連載の最後に「拾遺といった形で」紹介されている、アチャコの由来説を見て置こう。185頁5~8行め、 二つ目は、別の座談会で、杉浦エノスケに久しぶりに会った。彼はアチャコより二つ歳上とい/うが元気だ。しかも…

長沖一『上方笑芸見聞録』(4)

ここで6月2日付(2)に述べた、歿後刊行のため雑誌連載をそのまま収録している、と云った按配であることが明瞭に窺われる箇所を2つ、見て置きたい。 ・横山エンタツの出生地(1) 「花菱アチャコ」の「二」節めは、6月3日付(3)に示した細目にある通り、…

佐木隆三『復讐するは我にあり』(2)

昨日の続き。 ・福樹荘の神吉梅松弁護士(2) さて、前回参照した大正15年(1926)5月1日現在『東京電話番号簿』に神吉氏の名は見当たらないようであるが、中央区立図書館地域資料室アーカイヴス「電話帳簿」を見て行くと、神吉氏の名前も拾うことが出来る…

佐木隆三『復讐するは我にあり』(1)

さて、4月9日付「水島新司『ドカベン』(60)」を「今村昌平監督『復讐するは我にあり』(1)」と題して投稿しようかと思ったのだが、鈴木則文監督『ドカベン』のロケ地として、欅並木の鬼子母神表参道と西参道商店街の分岐点にあった本屋に注目したのだか…

水島新司『ドカベン』(60)

・実写映画の「朝日奈書店」は雑司が谷の高田書店 2019年3月12日付「斎藤澪『この子の七つのお祝いに』(1)」以来 Amazon Prime には入ったままなのだが、近頃はなかなか見る余裕がない。復讐するは我にあり デジタルリマスター版 [DVD]発売日: 2004/03/25…

北杜夫『マンボウ響躁曲』(6)

・渥美清のタヒチ旅行(1) 「マンボウ南太平洋をゆく」には、タヒチで「男はつらいよ」の撮影部隊に遭遇したとの記述がある。 北氏がタヒチに到着した日の夜のことだがら昭和51年(1976)4月11日、場所は北氏の一行が投宿したトラヴェロッジ・ホテルである…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(167)

・青木純二原作映画『地獄の唄』(2) 念のため、「日活」HPでも確認して見た。 ・「地獄の唄 前篇」 地獄の唄 前篇 (じごくのうた1) 都新聞懸賞連載小説を映画化したもので、新入社の根岸東一郎、辻峯子を主役とし、「大地は微笑む」の合同監督の後に…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(166)

・青木純二原作映画『地獄の唄』(1) 当ブログで明らかにし得た事実が殆ど流布しないことを歯痒く思って、Twitter を始めたのである。しかし、殆ど効果は上がっていない。ただ tweet するだけでなく、follow したり follow back しないといけないらしい。…

赤いマント(253)

・井上雅彦「宵の外套」(8) 一昨日の続きで①初出『京都宵』②再録『四角い魔術師』③再々録『夜会』の異同を確認しつつ内容を見て置こう。要領は8月8日付(250)に同じ。 「黒い外套の男」の候補として、「私」は2人の人物(?)を上げている。1人は冥界と…