地理
さて、斎藤氏が北海道の新聞社の記者をしていた時期(1939~1942)のことに触れた文章は、月報にもう1つ、神沢利子「個人的まことに個人的な感想ですが」〔六2-1~2〕が載っています。 少々長くなりますが、当該箇所〔1上4~下14〕を抜いて置きましょう。 …
昨日の続き。 小野寺脩郎(1916.2~1982.11.25)が北海タイムス記者であったことは、次の文献からも確かめられます。 帯広市社会教育叢書 NO・9『吉田巖伝記資料』(昭和三十九年五月二十五日印刷・昭和三十九年五月三十一日発行・非売品・帯広市教育委員…
9月25日付(02)に見た『斎藤隆介全集』第十一巻「年譜」の「一九三八年(昭和十三年)|二十一歳」条、3月の明治大学卒業から12月の小説「三好晴海入道」までの間に、徴兵検査で即日帰郷、そして「「主婦の友」「婦女界」の雑誌記者を経て、北海道新聞に入社…
昨日の続きで『斎藤隆介全集』完結を前にして行われた、岩田愛子を聞き手とする対談「優しさを生き抜く斎藤隆介の世界」の後半をざっと見て置きます。 さて、【5】絵かき「滝平隆介」の最後で、岩田氏に「‥‥。滝平さんとの出会い/は……」〔6下12~13〕と尋…
昨日は山本和子について若干の文献を取り上げただけで終ってしまいましたが、ここで『斎藤隆介全集』第十一巻「年譜」の確認に戻りましょう。それから、これまで「年譜」の確認を優先して「月報」への言及を最低限にしておりましたが、ここらで「月報」の文…
昨日の続きで、月報の寄稿から斎藤氏の経歴に関連する記述を拾って行くこととしましょう。 もちろん、全部を取り上げる訳ではなく、私の興味に従って取捨しております。すなわち、8月23日付「日本の民話『紀伊の民話』(26)」に『戦後人形劇史の証言』の記…
さて、田代の平家の旗竹の話は、松谷みよ子が5月6日付(03)に引いた「太郎座」パンフレット以来、何度か書いているのですけれども、これは5月7日付(04)の後半に見たように江戸時代後期の地誌にも見えております。7月15日付(16)に引いたくまの文庫③『熊…
・「おじさんの話」(7)斎藤隆介➋ 前回の続きで②講談社『松谷みよ子全集』第十二巻(1972)の、斎藤隆介による解説「鯨小学校」の「1」節めの後半から見て置きましょう。 176頁11~12行め「洪水の話」の「すばらしい」表現を絶賛する葉書を出したことを挟…
・種村季弘 編『東京百話』ちくま文庫(筑摩書房) 6月中旬に隣の市の中央図書館に出掛けたとき、東京都関係の本が並んでいる書架を眺めていて、2013年12月17日付(057)に取り上げた種村季弘「蘆原将軍考」が、種村氏が自分で編纂したアンソロジーに収録さ…
昨日の続きで、日本交通公社の雑誌「旅」昭和44年(1969)9月号に発表され、本書「Ⅰ」章に「忘れ得ぬ山陰」と改題されて収録されている文章から、同行者に関する記述を引用し、行き先についても確認して置くことにする。 ①単行本68頁2行め~69頁4行め②文庫版…
私が本書に注目したのは、7月10日付(1)に細目を見たうちの「Ⅰ」章、「旅の雑文」を集めた中に、少し注意している人の名があったからであった。 ①単行本22~30頁②文庫版16~23頁「人形芝居のある秘境」に、田辺氏を旅行に誘った人物と同行者が次のように記…
松谷氏の著書は恐ろしく多く、かつ再録もしくは改稿が多く、非常に扱いが難しいのですけれども、私には系統立てて追って行く余裕などとてもでないが、存しません。松谷みよ子民話研究室なき今、それこそ日本民話の会の企画としてでも『松谷みよ子の本』別巻…
・くまの文庫③『熊野中辺路伝説(下)』(3) 続いて、6月25日付(14)に見た和田寛「和歌山の民話・伝説」では「栗山某と要約されていた要約されていた、もう1話を見て置くこととしましょう。 (下)には㉘~㉝の6話、天狗の話が纏めてあるのですが、その中…
昨日の続き。 ・くまの文庫③『熊野中辺路伝説(下)』(2) さて、3~7頁「目 次」を見るに、章立てはしておりませんが樹木、鳥、蛇‥‥と云った風に何話か纏めて排列してあることに気づかされます。その最初8題が樹木に関する話で、その8番め、16~17頁「平家…
前回6月25日付(14)に取り上げた和田寛「和歌山の民話・伝説」に見える、松谷みよ子が昭和34年(1959)の紀州採訪で聞いたのと同じ話ですが、稿末「主要参考文献」に見える次の本に拠るであろうことは容易に察せられます。 ・くまの文庫②『熊野中辺路伝説(…
田辺聖子のエッセイには2020年11月20日付「田辺聖子『女の長風呂』(1)」に述べたような理由で少し触れてみました。価値観の古さには如何ともし難いものがありますが、私は実際そんな雰囲気の中で育って来たので、普通に懐かしく感じるばかりです。もちろ…
ここで「民話の手帖」からしばらく離れて、6月5日付(11)に取り上げた「新修日本絵巻物全集/月報」と同時に、先月末に借りていた次の本の返却期限が迫って来たので、取り急ぎメモを取って置くこととする。――本を買わずに、コピーも取らずにやっていると、…
松谷みよ子民話研究室及び『現代民話考』の成立事情については断片的な記述を拾って見るばかりでしたが、その後、これまでその(主として物理的な)重さから敬遠していた『松谷みよ子の本』を見てみますと、やはりかなり詳しく、その辺りの事情が書いてあっ…
2020年3月29日付「飯盒池(9)」の後半に述べたように、私は松谷みよ子『現代民話考』には幾つかの欠陥があり、読者から送られて来たアンケートの原文に遡って確認する必要があると、前々から思っておりました。 いえ、実は、直接、運動したこともあったの…
昨日の続き。 ・松谷みよ子全エッセイ2『わたしの風土記』 149~233頁「Ⅱ わたしの風土記」には各地の民話を取り上げた29篇が纏めてあるがその23番め、198~201頁「天狗さまざま」は、末尾(201頁5行め)に下詰めでやや小さく「(一九七八・三「新修日本絵…
・『松谷みよ子の本 第2巻 太郎の物語・民話系創作文学・全1冊』一九九四年十二月二十五日・第一刷発行・講談社・669頁・上製本(20.0×14.8cm)松谷みよ子の本 (第2巻) 太郎の物語・民話系創作文学作者:松谷 みよ子講談社Amazon 649~655頁、松谷みよ子「あと…
庭の梅の実も粗方落ちてしまった。昨日は1日勤務で帰りに高円寺に行ったりして、帰ってから拾う余裕がなかった。パソコンを立ち上げる気力もなかった。――4年振りの高円寺駅界隈は、変わっていないような、しかし何処となく違和感を感じさせる、妙な気分であ…
8日前の続き。今年は人手不足で勤務時間を増やされてしまい、出勤日も多くなって呑気にブログを書いていられなくなった。――毎日投稿するのを止めたのは、たまたま投稿出来なくなって継続記録(?)が途絶えたので、ならば別に毎日でなくても良いか、と思った…
前回の続き。 さて、この「栗山の医者どの」の話の完全版を、松谷氏は『民話の世界』の11年後、紀州の山間部で聞いてからだと26年ほど後に、前回書影を示した『現代民話考Ⅰ 河童・天狗・神かくし』に載せております。187~346頁、第二章「天 狗」、242頁12行め…
一昨日の続き。 私にはどうも、未刊に終ったり、計画通り刊行されなかった本について、どのくらい進捗していたのか、内容を知る手懸りがないか、探って見たくなる癖があって、『紀伊の民話』のことは2年半前に『戦後人形劇史の証言/――太郎座の記録――』を読…
昨日の続き。――過去の記事を確認してから書き始めたら文体が敬体になってしまった。そういう気分なのでそのままにして置く。 さて、昭和36年(1961)11月15~17日の「竜の子太郎」初演(砂防会館)時のパンフレットの松谷みよ子「作者の言葉」では、この「旗…
・日本の民話10『秋田の民話』一九五八年 七 月二〇日 第一刷発行・一九七八年一二月二〇日 第一七刷発行・定価一二〇〇円・未来社・308頁・A5判上製本秋田の民話 (1958年) (日本の民話〈第10〉)Amazon 本書には2020年3月13日付「日本の民話1『信濃の民話』…
Wikipedia 英語版に「Doryodo Ruins」が取り上げられていることを知った。「List of reportedly haunted locations in Japan」項にはまづ「Tokyo」の7箇所を挙げるが、その7つめが、 Doryodo Ruins Two bodies were allegedly found on the site, a body of …
・朝里樹『山の怪異大事典』(2) 前回「出し過ぎ」と批判しましたが、本書も取り上げている怪異や妖怪などは出世作の『日本現代怪異事典』に出しているものと重なって来るだろうし、本書の「構成」が「地方ごとになって」いると云うのも、同時期に刊行が始…
・『日本語八ツ当り』 単行本は仏間の硝子棚、文庫版は寝間の本棚にあったと思う。 ①単行本(一九八九年八月一五日 印刷・一九八九年八月二〇日 発行・定価971円・新潮社・208頁)日本語八ツ当り作者:江國 滋新潮社Amazon※ 帯あり、書影に同じ ※ 巻四つ折の…