瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

昔話

祖母の蔵書(64)昔話

・講談社+α文庫 F-1-2 河合隼雄『昔話の深層――ユング心理学とグリム童話』1994年2月18日第1刷発行・1995年5月10日第5刷発行・定価854円・396頁 現在、改装されていてカバー表紙の装画は蔦の茂る奥に窓がある油絵か何かになっているが、祖母の蔵書のカバ…

みずうみ書房『昔話・伝説小事典』(10)

丁度一年前、2022年3月13日付(09)まで、当時刊行されたばかりだった『昔話・伝説を知る事典』が殆ど改訂もなされていない上に*1、一部執筆者が恐らくこうした安易な復刊計画に反対してか、自分の執筆項目ごと引き上げたために重要な項目が幾つもなくなって…

祖母の蔵書(20)杉本苑子

・中公文庫 A97-2『江戸を生きる』昭和五十四年 九 月二十五日印刷・昭和五十四年 十 月 十 日発行・¥ 三六〇・中央公論社・308頁江戸を生きる (1979年) (中公文庫)作者:杉本 苑子中央公論社Amazon・中公文庫 A97-2『江戸を生きる』昭和五十四年 九 月二十…

道了堂(59)

・新八王子市史民俗調査報告書 第2集『八王子市東部地域 由木の民俗』(4) 3月28日付(22)の続きで、うっかりして「巻末資料」より後を見て置くのを忘れていたのを補って置こう。 356~357頁「関係者一覧」は、まづ356頁に「話者・協力者及び協力機関(…

みずうみ書房『昔話・伝説小事典』(6)

・項目一覧表 ①『昔話・伝説小事典』と③『昔話・伝説を知る事典』の項目を一覧表にして見た。考察は次回に回す。「*」の付いた項目は2021年12月3日付「白馬岳の雪女(090)」に見たように「* 印は子供の文化関連項目」である。なお、①の目次には「◇」の付い…

みずうみ書房『昔話・伝説小事典』(3)

昨日の続きで、①『昔話・伝説小事典』3頁「凡 例」7項目(2~27行め)と③『昔話・伝説を知る事典』8頁「[凡例]」8項目(2~17行め)とを比較して見よう。 ①の1項め(2~4行め)、 1. 本書は,昔話・伝説・世間話,ならびに子供/ の文化,そしてそれに関連す…

みずうみ書房『昔話・伝説小事典』(2)

2021年12月3日付「白馬岳の雪女(090)」に書影を示した、次の版を見たので2021年12月2日付(1)に略記した①『昔話・伝説小事典』と比較しつつメモして置こう。 ③野村純一・佐藤凉子・大島廣志・常光徹 編『昔話・伝説を知る事典』2021年12月31日 第1版第1…

白馬岳の雪女(101)

昨日の続きで今野圓輔 編著『日本怪談集―妖怪篇―』第十一章「雪女」の本文について、見て置こう。まづ現代教養文庫261~266頁11行め・中公文庫(下)94~100頁4行め「一 雪 女」について、仮に算用数字で番号を打ち、前者を①、後者を②として頁・行、体験者も…

關敬吾『日本昔話集成』(3)

・『日本昔話集成二ノ三』昭和三十年六月二十日 初版印刷・昭和三十年六月三十日 初版發行・定 價八百五拾圓・角川書店・1035~一三八四頁+索引56頁・A5判上製本日本昔話集成〈第2部 第3〉本格昔話 (1955年)作者:関 敬吾角川書店Amazon 要領は一昨日に同じ…

關敬吾『日本昔話集成』(2)

・『日本昔話集成二ノ二』昭和二十八年七月十日 初版印刷・昭和二十八年八月一日 初版發行・定 價 七〇〇圓・地方賣價七一〇圓・角川書店・485~一〇三四頁・A5判上製本日本昔話集成〈第2部 第2〉本格昔話 (1953年)Amazon 記述の要領は昨日に同じ。書名は奥…

關敬吾『日本昔話集成』(1)

本書には当ブログで既に何度か触れたことがあるが、――私は小学6年生のときに、俄に昔話に興味を持って、当時既に『日本昔話大成』も出ていたのだが、老松町の図書館には所蔵されていなかったのか、受付前の広間のようなところにずらりと並んでいたカード式目…

成瀬昌示 編『風の盆おわら案内記』(7)

前回、第四章「風の盆のこころ」にある、編者の成瀬氏が何十年(!)も風の盆を見ておらず、住居も富山市に構えていたとの記述を引用した。 しかし、その後、八尾の実家に戻ったらしい。昨日の引用に続く最後の部分、②新版108頁③定本116頁下段、前を1行分空…

白馬岳の雪女(092)

・石沢清『北アルプス白馬ものがたり』(2) 「もくじ」の最後、16頁下段3~7行めに下寄せで、 《写真・カット提供》*1 カバー表/森 肇 カバー裏/梨 子 田 真 口 絵/白馬村観光課 カ ツ ト/著 者 とある。石沢氏のカット・挿絵には「清」のサインがある…

白馬岳の雪女(088)

・日本の民話55『越中の民話』第二集(3) 一昨日からの続きで、本書に収録される富山県下新川郡朝日町の大井四郎の語った(とされる)「雪女」について、同じ頃に富山県中新川郡立山町で語られていた(らしい)『日本昔話通観●第11巻/富山・石川・福井』…

白馬岳の雪女(087)

昨日の続き。 ・日本の民話55『越中の民話』第二集(2) 伊藤稿との一番大きな違いは登場人物に名前のあることで、ミノキチ(蓑吉)とその父の茂作が猟師の親子で、そしてミノキチの妻は小雪である。これは青木純二『山の傳説 日本アルプス篇』に合致する。…

白馬岳の雪女(086)

・日本の民話55『越中の民話』第二集(1) さて、遠田勝『〈転生〉する物語』に、『日本昔話通観●第11巻/富山・石川・福井』とともに取り上げられ、11月14日付(080)・11月15日付(081)・11月16日付(082)に見て来たように、やや恣意的な評価がなされて…

日本の民話55『越中の民話』第二集(4)

一昨日からの続きで、最後の4章めを見て置こう。 213頁(頁付なし)扉「九十歳の老媼七話/ ――話手 小矢部市埴生 上田はる(明治十七年生)」。 【80】嫁さになりそこなった蛇娘(215~218頁)挿絵215頁左上 【81】鴨川へ流れていった桃太郎(219~221頁) …

日本の民話55『越中の民話』第二集(3)

昨日の続きで、2章めと3章めを見て置く。 73頁(頁付なし)2章め「海の子守りうた」の扉。 【24】狐退治(75~76頁) 話手 氷見市南大町 余川久太郎 【25】蛸と鯛と茄子の山遊び(77~78頁)挿絵77頁上 話手 氷見市南大町 余川久太郎 【26】魚のけんかの仲裁…

日本の民話55『越中の民話』第二集(2)

2019年12月22日付(1)に①上製本と④並製本(オンデマンド版)についてメモして置いた。①上製本のカバーについては2020年3月14日付「日本の民話35『越中の民話』(4)」に、色違いの第一集カバーと比較しつつメモしてある。 1~2頁「は し が き」から内容…

日本の民話35『越中の民話』(6)

昨日の続き。 137頁(頁付なし)「呉 西 地 方」の扉、138頁(頁付なし)の左下に「高 岡 市 新 湊 市 氷 見 市/礪 波 市 小矢部市 東礪波郡/西礪波郡 射 水 郡」。要領は昨日に同じ。 【45】天までとどいた竹の子〔西礪波郡〕139~148頁(挿絵139頁上) …

日本の民話35『越中の民話』(5)

カバーについて2020年3月14日付(4)にて、2020年3月11日付(3)に見た①上製本第一刷と比較した①上製本第七刷に拠って、細目を見て置くこととしたい。扉や奥付については2019年12月21日付(1)にメモして置いた。 1~2頁「はしがき」の内容については2019…

白馬岳の雪女(083)

さて、ここで遠田勝が取り上げている、富山県の2話のうち、まづ8の『日本昔話通観』第十一巻を見て置こう。 ・『日本昔話通観●第11巻/富山・石川・福井』(3) 本書については10月6日付(065)に概要を示した。 そして10月7日付(066)に見たように、「13…

白馬岳の雪女(081)

・遠田勝『〈転生〉する物語』(40)「五」1節め⑥ 昨日の続き。 しかし、遠田氏は越中・富山県側の伝承(?)事情を調べようともしない。いや、その後、8月1日付(005)に見たように黒部川の支流・黒薙川の十六人谷伝説に注目し、富山大学のシンポジウムに参…

白馬岳の雪女(080)

・遠田勝『〈転生〉する物語』(39)「五」1節め⑤ 引用は11月9日付(078)の続き、7 石崎直義 編『越中の民話』第二集(1974年)に載る「雪女」(富山県下新川郡朝日町)と8『日本昔話通観』第十一巻(1981年)に載る「雪女」(富山県中新川郡立山町)の2話…

日本児童ペンクラブ『日本伝説傑作選』(1)

・和歌森太郎・二反長半 共編『日本伝説傑作選』昭和四十九年三月三十日 初版第一刷発行・定価1200円・第三文明社・235頁・四六判上製本日本伝説傑作選 (1974年)第三文明社Amazon 一昨年に都内2つの区立図書館で借りた。今手許にあるものはカバーがない。現…

中島悦次『傳説の誕生』(1)

遠田氏の意見には承服し兼ねる点が多々あるものの、信越にハーン張りの「雪女」が定着し、多摩には定着しなかったのは事実である。当時の気候からして多摩でも「雪女」に語られていた状況があり得た、とする主張も間々目にするが、雪の殆ど積もらない地域に…

白馬岳の雪女(070)

・遠田勝『〈転生〉する物語』(29)「二」 今週、仕事の方で何ヶ月か前にやった作業を久し振りにやって見たのだが、吃驚するくらい、捗らなかった。機械が新しくなったと云うこともある。それと同じで、遠田氏の本の検討も「一」とこれに関連する「二」の1…

白馬岳の雪女(069)

・遠田勝『〈転生〉する物語』(29)「二」2~6節め 10月14日付(067)にて『信濃の民話』の典拠表示について問題にしているところを引き、10月15日付(068)からは本書を離れて「信濃の民話」編集委員会について確認するため『信濃の民話』について一通り確…

日本の民話1『信濃の民話』(13)

・信濃叢書『信濃昔話集』(3) 昨日再説した【41】まま子と苺の実〔下伊那郡〕については、2016年2月1日付「大島廣志『民話――伝承の現実』(1)」以来度々触れている大島廣志の論文集『民話――伝承の現実』の1章め、9~89頁に「伝承の近代」として小泉八雲…

日本の民話1『信濃の民話』(12)

・信濃叢書『信濃昔話集』(2) 本書に「採集 牧内武司」として見えている話の典拠と思しき牧内武司の著書だが、昨日述べたように10月20日付(08)に見た伊那民俗研究會 編『伊那民俗叢書 第二輯 昔ばなし』と共通する話が少なくないようだ。――もちろん『昔…