瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

新聞

赤いマント(366)

昭和14年(1939)の赤マント流言は東京近辺にとどまらず、大阪から九州、さらに朝鮮にまで到達していたのだが、海外でも報道されていたことが分かった。 スタンフォード大学附属フーヴァー研究所(Hoover Institution)の「邦字新聞デジタル・コレクション J…

山本禾太郎「東太郎の日記」(38)

現在の連合の源流になる、鈴木文治(1885.9.4~1946.3.12)が設立した労働運動団体・友愛会とその機関誌「労働及産業」については、少々込み入っているので詳細は割愛して、差当り山本禾太郎の処女作と思しき小品が掲載されている号とその前後について、見て…

佐藤健二『浅草公園 凌雲閣十二階』(7)

昨日は佐藤氏が敢えて「第四章」を立てたことに対する共鳴から与太話になってしまったが、今日はその第四章の内容をもう少し見て置きたい。 265頁(頁付なし)が章の扉で裏は白紙、267頁から2段組の本文で第三章までは設けられていた脚註欄はない。編年体で…

石角春之助 編輯「江戸と東京」(6)

・濱本浩「塔の眺め」(2) さて、「塔の眺め」に戻ろう。以下しばらく、凌雲閣十二階から何処まで見渡せたのか、32頁下段8行めまで、濱本氏の調査が綴られている。今回は31頁上段11行めまで抜いて置こう。 そこで登つたことのありさうな知人に就て確めやう…

石角春之助 編輯「江戸と東京」(5)

・濱本浩「塔の眺め」(1) 昨日の続き。――佐藤健二の纏めた「喜多川周之「十二階凌雲閣」問わず語り」に拠ると、喜多川周之(1911.6.9~1986.11.13)は昭和35年(1960)頃に、添田知道(1902.6.14~1980.3.18)から濱本浩(1891.4.20~1959.3.12)が自分の…

佐藤健二『浅草公園 凌雲閣十二階』(1)

石角春之助 編輯「江戸と東京」は近隣の市の図書館にある復刻版を初め、第一冊と第四冊を昨年の9月下旬に借り*1、10月上旬に第二冊と第三冊を借りて2週間ほど全4冊揃えて眺め、それから10月20日に第一冊と第四冊を返却したのだが、序でに書架にて関連しそう…

石角春之助 編輯「江戸と東京」(3)

前回の補足。 佐藤氏が「追悼号の斎藤の回想(㉗)」と云っているのは、第六卷第一號16~17頁中段9行め(復刻第四冊278~279頁)に収録される斎藤昌三「風の如き春之助君」であるが、この文章は次の本に再録されている。 ・少雨叟第六随筆集『書齋隨歩』昭和…

祖母の遺品(08)

・若山家の関東大震災(7)佐藤歯科医院①大正後期 昨日の続きで一昨日紹介した竹内久雄書簡に見えた、竹内久雄の勤務先「福島縣桑折町/佐藤歯科」について、当時の状況を少々考証して見よう。 ・齋 熊椎 編『現代の福嶋』大正七年五月二十九日印刷・大正七…

祖母の蔵書(142)パズル雑誌①

私は祖母が87歳のときに初めて会って、その頃はまだ元気で月に1度私ら夫婦で御機嫌伺いに通っていた*1。夕方待ち合せて、馴染みの料理屋で御相伴に与るのである。しかし、次第に食べる量も減り、かつ18時から1時間半ほどの料理屋の夕食では疲れるようになっ…

祖母の蔵書(139)相撲

祖母の家には小型の液晶テレビがあったが、付いていた記憶は殆どない。耳が遠くなって、台詞が聞き取れないのでドラマなどは久しく見ていないようだった。大きな声でしっかり話せば聞こえるので、買物などでは困らない。90代には見えなくても80代には見えた…

祖母の蔵書(105)司馬遼太郎⑤

昨日、祖母が個人全集を揃えようとしておらず、同じ場所に保管もしていなかったことを指摘したが、同一シリーズであっても揃えて置こうとしていなくて、こうして整理する際に見当たらない1冊が何処かにあるのか、それともないのか、困惑させられているのだが…

赤堀又次郎伝記考証(58)

・『森銑三著作集』続編(3) 昨日の続き。 ・『森銑三著作集』続編 第十三巻(雑纂一)一九九四年一〇月一〇日初版印刷・一九九四年一〇月二〇日初版発行・定価6602円・中央公論社・579頁・A5判上製本雑纂一 (森銑三著作集 続編 第十三巻)作者:森 銑三中央…

祖母の蔵書(53)司馬遼太郎④

・新潮文庫7299/し-9-1『梟の城』昭和 四 十 年 三 月 三 十 日 発 行・昭和五十二年 九 月 十 五 日 二十二刷改版・平成 八 年 二 月二十九日 七 十 二 刷・定価621円・517頁 ※ 帯あり「急逝が惜しまれる――/司馬遼太郎/の本/新潮文庫」裏表紙側「司…

赤いマント(356)

・『新聞活殺劔』第三篇(昭和十四年十一月二十七日印刷・昭和十四年十二月 一 日發行・【定價金壹圓】・精華書房・297頁) 表紙には朱で銅器の拓本の如き絵、文字は右からの横書きの毛筆楷書で上部の子持枠に「劔殺活聞新/生 鱈 愚」中央揃え、恐らく標題…

清水成夫 編『八王子周辺の民話』(3)

・郷土資料シリーズ⑷『八王子周辺の民話』(3)跋① 66~67頁上段に橋本義夫「跋」を見て置こう。66頁上段1~4行め、 編者清水成夫氏は武相地方に知られた地方史家であ/る。今日まで四十余年、生活の三分二ほどの傾けるとい/う地方紙のマニヤ的な熱心家で…

道了堂(57)

昨日の続き。 ・かたくら書店新書44『野猿峠』(2) 著者の下島彬については、ネット検索すると「朝日新聞デジタル」の連載「マダニャイ とことこ散歩旅」と云うのがヒットした。 これは2019年4月2日(火)16時30分「(マダニャイ とことこ散歩旅:1)内堀…

浅間山の昭和22年噴火(27)

昭和22年(1947)8月14日の浅間山の噴火については、その後、火山館の主人の証言を記録した本を見たりしたのだが、そのままになっていた。 先日、花粉症の薬を止めてみたら症状が出て、また服薬を再開している。で、どうも昨日の続きを遂行する自信がないの…

朝日新聞東京本社社会部『多摩の百年』(3)

・企画の意図と時期及びスタッフ(下) 昨日の続きで『下』について見て置こう。 まづ『下』の章と副題を示して置く。 1章め「機織りの歌/――老女たちの青春」3~38頁上段 2章め「横浜往還/――夢の跡」39~56頁上段 3章め「大資本と小資本/――勝者と敗者と」…

朝日新聞東京本社社会部『多摩の百年』(2)

・企画の意図と時期及びスタッフ(上) ここでは標記に関する記述を抜き出して置こう。 『上』「はじめに」3頁9~11行め、 昭和五十年春、大戦後三十年という歴史的なフシ目を目の前にして、私たち朝日新聞社会部立川支局の記者たち/は、明治以来、百年の多…

湯口康雄『黒部奥山史談』(1)

・湯口康雄『黒部奥山史談』一九九二年十一月二十日発行・定価三、〇〇〇円・桂書房・257頁・A4判上製本 著者の湯口康雄(1936~2013.11)については、奥付の上にある「著者略歴」に、 湯口康雄*1 昭和十一年 富山県に生まれる 昭和三十二年 富山大学教育学部…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(182)

・叢書東北の声44『杉村顕道作品集 伊達政宗の手紙』(5)樺太から仙台へ 昨日の続きで土方正志「◎解説◎杉村顕道の足跡」の気になったところをメモして置く。 ・476頁下段7行め「見い出され」は「見出され」。 ・484頁上段16行め「三遊亭可楽」は「三笑亭可…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(179)

・杉村顕道の家系(6) 昨日の続き。 私の杉村氏の著書『信州の口碑と傳説』及び『信州百物語』、そして「蓮華温泉の怪話」の検討結果は、一昨年の8月から10月に掛けて、Twitter に53回(!)にわたって「杉村顕道「蓮華温泉の怪話」の素性」と題して連投し…

白馬岳の雪女(57)

・丸山隆司「【研究ノート】民話・伝説のポストコロニアリスム」(6) 一昨日見たように、丸山氏は「悲しき蘆笛」の粗筋を紹介、末尾は原文のまま引用して、次のように述べる。39頁下段9~17行め、 ‥‥。も/うすこしあからさまにいえば、この話のモチーフは…

上田満男『わたしの北海道』(2)

昨日の続き。 続いて「第二部 開拓の歴史」の細目を見て行くつもりだったが、それは秋以降、余裕があるときに果たすこととしたい。 さて、本書に関しては、ネット上には古書店の在庫状況くらいしか情報がない。元の連載についても、何せ北海道版の、40年以上…

上田満男『わたしの北海道』(1)

・すずさわ叢書14『わたしの北海道―アイヌ・開拓史』1977年7月25日発行・定価1,200円・すずさわ書店・318頁・四六判並製本わたしの北海道―アイヌ・開拓史 (1977年) (すずさわ叢書〈14〉)作者:上田 満男すずさわ書店Amazon 見返しは表紙・裏表紙とも黄緑色の要…

赤いマント(325)

昨日の続きで、ブログ「古新聞百物語」に紹介されていた、昭和14年(1939)2月23日付「東京朝日新聞」のコラム「青鉛筆」の内容について、簡単に確認して置きましょう。 ・東京のラジオ放送の日時と内容 さて、当時はテレビ放送はまだ開始されておりませんの…

赤いマント(324)

それでは「東京朝日新聞」の、恐らく唯一の赤マント流言当時の記事を見て置きましょう。尤も、当ブログは私の蒐集記事集積所と云うべき場所で、公開はしていますからそれなりに読めるように努めてはおりますが、飽くまでも資料の原態を伝えることを旨として…

赤いマント(323)

さて、昨日の続きで朝倉喬司『毒婦伝』に赤マント流言が取り上げられていることと、そこでの扱いが他の朝倉氏の著書と食い違っていることについて確認しようと思っていたのだけども、他のことにかまけているうちに、ちくま文庫『犯罪百話 昭和篇』と能美金之…

津留宏『一少女の成長』(2)

本書再刊の事情、いや成立の事情も、3~4頁「改訂新版まえがき」に述べてある。末尾、4頁12行めに下寄せで「六甲山寓にて 津留 宏」とあり1行分空けて13行め3字下げでやや小さく「昭 和 五 十 五 年 六 月」とある。 3頁8行め~4頁5行め、 大学を終えて、あ…

「木曾の旅人」と「蓮華温泉の怪話」拾遺(172)

・青木純二あれこれ(2)嫁が欲しい② それでは昨日の続きで、青木純二「嫁が欲しい」の原本を見ていないらしい湯沢雍彦『大正期の家族問題』は,何処からこれを持って来たのか、と云う疑問を片付けて置きましょう。 ・体系日本史叢書17『生活史Ⅲ』昭和44年…