瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

田中康弘『山怪』(9)

・『山怪』の関連本(4) 昨日の続きで、河出書房新社から刊行されたアンソロジー2冊の内容を見て置こう。 『山の怪談』189〜190頁「●プロフィール/初出一覧」として、まづ著者の氏名(読み)生歿年、職業を1行めに、2行めに題(『書名』版元、発行年月)…

田中康弘『山怪』(8)

・『山怪』の関連本(3) それでは、3月22日付(6)及び3月23日付(7)の続きで、これらアンソロジーの収録作品について見て置く。 まづ東雅夫編の2冊から、作者50音順に並び替え、主として「編者解説」から初出、「底本一覧」から底本についての情報を抜…

Pierre Loti “Japoneries d'automne”(7)

・角川文庫602『秋の日本』(7) 3月9日付(6)の続き。 「あとがき」4節め、底本と既存の邦訳について、253頁14〜17行め、 ‥‥。テキストはカルマン・レヴィ版の第五十版本によった。本書の/抄訳本には大正三年に新潮社から出た「日本印象記」(高瀬俊郎訳…

回想の目録(1)

当ブログも記事数が増えすぎて、自分でもどこに何を書いたか分からなくなってきた。そこでまづ前半生(!)の20年間に関する記述のある記事を整理して見た。見落としや今後の追加もここに足して行くことにする。 昭和46年(1971)4月 ◎兵庫県明石市にて誕生 …

事故車の怪(7)

3月24日付(6)に、今野圓輔『幽霊のはなし』に取り上げられた、昭和46年(1971)頃に青森県で話題になっていた事故車の怪異「首だけの幽霊話」に触れたが、似たような事故車の怪異の先行する例が、初見健一『昭和ちびっこ怪奇画報』に載っていたのである。…

初見健一『昭和ちびっこ怪奇画報』(2)

昨日の続きで「心霊」の章の細目を見て行こう。 本文各頁に小口側端を白く抜いてゴシック体で「題(発行年)/画家」を示している。また、目次の役割を果たしている「作品一覧」に、266頁2〜4行め、 本書に収録された作品が掲載されている出典(雑誌・書籍)と…

初見健一『昭和ちびっこ怪奇画報』(1)

本書については3月24日付「事故車の怪(6)」に書影を示し、巻末目録の紹介文を引用したが、少々使いにくい本であるので、もう少々詳しく紹介して置きたい。 内容は、カバー裏表紙により詳しく紹介されている。黒く暈かした縁取りをした白抜きのゴシック体…

事故車の怪(6)

2016年11月15日付「今野圓輔『幽霊のはなし』(06)」に取り上げた、昭和46年(1971)頃に青森県で話題になっていたと云う「首だけの幽霊話」に関連して、2016年12月30日付(1)及び2017年1月2日付(2)にて松谷みよ子『現代民話考』に載る、事故車(中古…

田中康弘『山怪』(7)

・『山怪』の関連本(2) 昨日の続き。 ・東雅夫 編『文豪山怪奇譚 山の怪談名作選』二〇一六年二月二日初版第一刷発行・定価900円・山と溪谷社・203頁・四六判並製本文豪山怪奇譚 山の怪談名作選作者: 東雅夫出版社/メーカー: 山と渓谷社発売日: 2016/01/2…

田中康弘『山怪』(6)

・『山怪』の関連本(1) 3月18日付(5)の続き。 東雅夫 編『山怪実話大全 岳人奇談傑作選』二二三〜二三五頁「編者解説」に、昨今の出版界に於ける山岳怪談の盛行について、以下のような説明がある。二二三頁12行め〜二二四頁7行め、 さるにても、ここ数…

松本清張『黒い福音』(5)

一昨日からの続きで、 【B】偕成社版『現代の民話・おばけシリーズ 5』 【C】ポプラ社版『日本むかしばなし[23]』 の比較で、怪異の前提・前段階【0】について確認している。 昨日引いた【B】の続き(102頁15行め〜103頁)に、 とも子は、みさ子のしたし…

松本清張『黒い福音』(4)

それでは、2月2日付(1)に見た昭和50年(1975)刊の偕成社版『現代の民話・おばけシリーズ 5』を【B】、3月19日付(3)に見た昭和56年(1981)刊のポプラ社版『日本むかしばなし[23]』を【C】として、比較して見よう。 【1】自分を呼ぶ声・窓の外に人 …

松本清張『黒い福音』(3)

2月2日付(1)の続きで、この事件にまつわる怪異談について。――しばらく松本氏の小説には全く触れないと思うのだけれども、一応は同じ事件に関すること(?)なので、この題で纏めて置く。 2011年10月5日付「『現代の民話・おばけシリーズ』(07)」に取り…

田中康弘『山怪』(5)

本書が受けた理由は、3月14日付(3)に引いた、洋泉社MOOK『怪奇秘宝 「山の怪談」編』に見える小塩隆之や平山夢明の指摘に拠れば、「インフレ」している都会の「実話怪談」からフィールドを「山の中」に移し、都市住民が無意識のうちに支配されている「…

田中康弘『山怪』(4)

・第九刷の帯 3月10日付(1)に、第一四刷の帯(但し表紙側のみ)を紹介したが、その後、帯(6.0×41.4cm)を保存している第九刷を見た。 表紙側、左に縦組み黒で著者名があるのは同じ。横組みの赤の部分、上半分にゴシック体で「新聞・雑誌・Web等で絶賛! 5万…

織田作之助『夫婦善哉』の文庫本(8)

改造社の第一回「文藝推薦」作品となった「夫婦善哉」の続篇、未発表の「續夫婦善哉」の原稿が発見され、平成19年(2007)10月に雄松堂出版から、2014年7月16日付「織田作之助「續夫婦善哉」(2)」に取り上げた『夫婦善哉 完全版』として刊行されてから、…

宇井無愁の上方落語研究(10)

・角川選書11『日本人の笑い』(7) 初版と3版を比較して見た。私の見た初版には、扉に赤の楕円印「M市立|36577|44,4, 1|M図書館」があり、刊行からしばらくして収蔵されたことが分かる。 3版のカバーについては2月9日付(2)の後半にメモして…

田中康弘『山怪』(3)

昨日の続きで、洋泉社MOOK『怪奇秘宝 「山の怪談」編』に載る「異色のベストセラー『山怪』著者・田中康弘インタビュー」について。 008頁はインタビューの題と『山怪』の書影、009頁の右側、上にリード文、下に『山怪[弐]』の書影を示し、左側に副題らしく…

田中康弘『山怪』(2)

3月10日付(1)の続き。 私が図書館の書棚で以前から目にしていた本書を手にしようと思ったのは、次の洋泉社MOOKを借りたからである。 ・「“怪奇”研究読本 怪奇秘宝」洋泉社・定価1400円・240頁・A5判並製本怪奇秘宝 (洋泉社MOOK)出版社/メーカー: 洋泉…

山岳部の思ひ出(9)

何となく、昨日の続き。 * * * * * * * * * * 私が山に登らなくなったのは、一緒に登るような仲間がいないからである。 高校卒業後も兵庫県に残っていたとして、高3のときに2017年4月3日付(6)に述べたように顧問によって山岳部を追放されてい…

山岳部の思ひ出(8)

昨日の続きで「田中康弘『山怪』(2)」と題して書き始めたのだが、高校山岳部時代の話が中心になったので改題した。――従って2017年4月4日付(7)の続きではなく、若干重複するところもある。 * * * * * * * * * * 私は高校時代山岳部員で、もち…

田中康弘『山怪』(1)

最近「山怪」と云う本が売れていることは知っていた。山怪 3冊セットAmazon しかしながら私は、度々述べたように体験談が苦手なので、と云うか、2016年1月14日付「子不語怪力亂神(1)」に述べたように、体験談を聞いても対処に困ること、それからもう1つは…

Pierre Loti “Japoneries d'automne”(6)

・角川文庫602『秋の日本』(6) 昨日の続き。 「あとがき」の4節め冒頭、253頁6〜8行め 本書の翻訳に当っては、前半の「聖なる町・京都」「江戸の舞踏会」「ぢいさんばあさんの奇怪/な料理」「田舎の噺三つ」を村上が分担し、後半の「皇后の装束」「日光霊山…

Pierre Loti “Japoneries d'automne”(5)

・角川文庫602『秋の日本』(5) 私は江戸時代の文藝を専攻したけれども、初めからそう決めていた訳ではなくて、2017年11月29日付「飲酒と喫煙(4)」等に述べたように、古典を江戸時代から遡って古代に達しようと思って、取っ掛かりで足踏みして進めなく…

Pierre Loti “Japoneries d'automne”(4)

・角川文庫602『秋の日本』(4) 訳者のうち村上菊一郎については、詳しい紹介がネット上にあるのだが、一方の吉氷清については生歿年も判明しない。しかし経歴について調べる手懸かりはないでもない。 すなわち、同じ Pierre Loti の“Pêcheur d'Islande”を…

Pierre Loti “Japoneries d'automne”(3)

・角川文庫602『秋の日本』(3) 一昨日からの続き。 訳者の1人、村上菊一郎(1910.10.17〜1982.7.31)については、2011年4月1日付「村松定孝『わたしは幽霊を見た』考証(13)」に触れたことがある。この「村松定孝『わたしは幽霊を見た』考証」はその後、…

Pierre Loti “Japoneries d'automne”(2)

・角川文庫602『秋の日本』(2) 昨日の続きで、平成10年(1998)4月12日付角川書店編集部宛書簡について。やはり歴史的仮名遣いのままになっている箇所の指摘が殆どである。傍点を附した箇所は再現出来ないので仮に太字して示した。 20年前、未だ20代であ…

Pierre Loti “Japoneries d'automne”(1)

・角川文庫602『秋の日本』(1) 秋の日本 (角川文庫)作者: ピエール・ロチ,村上菊一郎,吉氷清出版社/メーカー: 角川書店発売日: 1953/10メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログを見る・昭和二十八年 十 月二十日 初 版 発 行・平成 二…

宇井無愁の上方落語研究(09)

・角川文庫3631『笑辞典落語の根多』(1) 2017年12月31日付(01)の続きで、初版と再版を比較して見た。 カバーは白地で、表紙・背表紙・裏表紙・裏表紙折返しは一致。 カバー表紙のイラスト(13.2×5.3cm)は「鷺とり」の主人公が天王寺の五重塔の九輪に摑…

角川文庫の角川映画の広告(6)

・犬神家の一族(2) 2013年7月14日付(5)に挙げたものと異なるものを見た。比較はしておらず、当初は同じ広告かと思ったのだが、かなり違っている。 ・宇井無愁『笑辞典落語の根多(角川文庫3631)』昭和五十一年十一月三十日初版発行・¥490・634頁 …