瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

美術史

上田満男『わたしの北海道』(2)

昨日の続き。 続いて「第二部 開拓の歴史」の細目を見て行くつもりだったが、それは秋以降、余裕があるときに果たすこととしたい。 さて、本書に関しては、ネット上には古書店の在庫状況くらいしか情報がない。元の連載についても、何せ北海道版の、40年以上…

駒村吉重『君は隅田川に消えたのか』(21)

・吉田正三について(6) 昨日引用した東京新聞社社会部 編『名人 〈町の伝統に生きる人たち〉』106頁に「好事家」からの「注文」のことが見えていましたが、まさにそうした需要を満たす吉田氏の画集『千住の吉田政造筆/東京の絵馬』があります。2月上旬に…

駒村吉重『君は隅田川に消えたのか』(20)

・吉田正三について(5) 一昨日からの続きで、東京新聞社社会部 編『名人 〈町の伝統に生きる人たち〉』105頁16行め~106頁15行めを見て置きましょう。 ‥‥。むか/しは、父親の描いた絵馬を、千住から/池袋あたりまで持っていった。【105】 「雑司ケ谷の…

駒村吉重『君は隅田川に消えたのか』(19)

・吉田正三について(4) 昨日の続きで、東京新聞社社会部 編『名人 〈町の伝統に生きる人たち〉』104頁1行め~105頁15行めを見て置きましょう。 絵馬は、信心の厚い人が豊作や商売繁昌、病気の全快を祈って神仏に奉納する。たとえば、農業の/神である稲荷…

駒村吉重『君は隅田川に消えたのか』(18)

・吉田正三について(3) 本書は Amazon 等のレビューや、最近でも Twitter の投稿にて、かなり高い評価を得ているようですが、私の評価は否定的なものとなっております。――当ブログではこれまで、駒村氏が当時の都市交通網を考慮に入れていないことを指摘…

杉村恒『明治を伝えた手』(2)

当初、4月12日付(1)に続けて「昨日の続き」として投稿するつもりで準備していたのだが、5月13日付「東京新聞社社会部編『名人〈町の伝統に生きる人たち〉』(1)」に述べたように本書の6年前に類書が刊行されていたことを知って、そちらを確認してからに…

東京新聞社社会部編『名人〈町の伝統に生きる人たち〉』(2)

昨日の続き。 経年劣化もあってかクリーム色っぽく見えるやや厚手の見返し(遊紙)があって、1頁(頁付なし)扉には角の丸い太線の枠(14.4×7.5cm)に横組みで、上部に明朝体で大きく標題「名 人」上にやや小さく「〈町の伝統に生きる人たち〉」下に「東京新…

伊藤正一『黒部の山賊』(3)

昨日の続きで①初版、②新版、③定本、④文庫版の関係について。 ・カバー表紙の版画 ①初版は未見だが、前回述べたように本文の図版を元の写真によって新しいものに差し替えた他は②新版と同じであると云う前提で進めて行く。 カバー表紙、①②④は同じ版画を装画に…

周防正行『シコふんじゃった。』(7)

昨日の続き。昨日は途中で、過去の記事の誤りを訂正するために脇道に逸れてしまったが、ここで再び、冒頭の「比較文化研究室」の場面に話を戻そう。 壁の本棚の一隅、例のコクヨのスクラップブックと並んで「Seven Stars」がカートンで置いてある。コクヨ ス…

周防正行『シコふんじゃった。』(6)

何故『シコふんじゃった。』を思い出したかと云うと、4月13日(月)の晩からしばらく、2014年11月30日付(2)へのアクセスが増えたので、何事かと思ったら、21:00~22:45にBSプレミアムで斎藤道三関連番組(?)として放送されていたのだった。気付いていな…

日本の民話35『越中の民話』(3)

2019年12月21日付(1)に書影を示した、カバーの掛かった①第一刷を見た。 カバーの地色は深紅で、カバー表紙の左上に白で標題(約12.5×2.5cm)。本体表紙の同じ位置に金文字で入っている標題(約10×2.5cm)に良く似ており、同一人物の筆蹟と思われる。イラ…

阿部主計『妖怪学入門』(3)

2018年4月8日付(1)に挙げた諸版のうち、今手許に⑤平成4年(1992)雄山閣ブックス19と⑦平成16年(2004)新装版、⑧平成28年(2016)雄山閣アーカイブス 歴史篇の3冊がある。今回は口絵(20頁、頁付なし)について見て置こう。 ⑤と⑦はアート紙、⑧は本文共紙…

怪談同好会編『古今怪異百物語』(3)

東雅夫 編『昭和の怪談実話ヴィンテージ・コレクション』の「編者解説」及び『百物語の怪談史』の書き方を見るに、本書には装幀挿画の担当者の名前が入っていないらしい。 そこで、ここに装幀挿画の担当者を明示する資料を紹介したい。確か、6月上旬に「讀賣…

怪談同好会編『古今怪異百物語』(2)

幽クラシックス『昭和の怪談実話ヴィンテージ・コレクション』に収録されている図版について、確認して置こう。昨日紹介した下書き(2014年4月2日)でも、入力するつもりで空白にしていたが、そのままになっていた。 10〜11頁見開きカラー図版は、11頁下左に…

怪談同好会編『古今怪異百物語』(1)

以下は2014年4月2日に準備した下書きで、続きが書けそうになったので若干の注記と追補をして投稿することにした。本当はもっと手を入れたくなったのだが際限がないのでまずは昨年の下書きをほぼそのまま示して置く。 * * * * * * * * * * 本書は以…

早川聞多『現代語訳 春画』(1)

もともと古典専攻なので、院生の頃には所蔵先を調べて指導教授に推薦状を書いてもらって大学図書館を通して閲覧申請をして送付されて来た許可状に印鑑を持って、版本や写本や、書簡の類も読んだものである。今は、ネット上にカラー写真で公開している大学や…

「はじまりは国芳−江戸スピリットのゆくえ」(1)

昨年は美術館に殆ど行かなかった。「藤牧義夫展」に前期・後期に足を運んだくらいか。かつては面白そうな東京近辺の特別展に出掛けては図録を買ったものだが、今では美術館の閲覧室で見れば良い、という気分で執着がなくなって来た。最近の図録は小ぶりで高…

駒村吉重『君は隅田川に消えたのか』(17)

いよいよ窮して来たので、昨日は古い下書き記事から、書いた当時少し躊躇するところがあって出さなかったものを上げて置いたのだが、今日も9月上旬に書いて、なんとなくそのままになっていた記事を上げて置く。当時、もう少しなんとかしようと思っていたのだ…

石子順造編著『小絵馬図譜』(1)

上京して(浪人してから)大学に入った当時、先輩や同輩が芳賀書店について思わせ振りな物言いをするのを聞いて、全く予備知識のなかった私はただ、何なのか、と思った記憶があるが、その後、店舗の場所を知ったが中に入ることもなく過ごしている。シネアル…

駒村吉重『君は隅田川に消えたのか』(16)

本書の「第12章 物語は連鎖する」に、これまで度々引用してきた小野忠重による藤牧義夫の評伝「回想の藤牧義夫」の全文を「美術の世界ですっかり認知された藤牧義夫像の原型」として、掲載しています(260〜264頁)。 これは、藤牧氏再評価のきっかけとなっ…

駒村吉重『君は隅田川に消えたのか』(15)

・吉田正三について(2) さて、吉田氏ですが、小野氏の『ガラス絵と泥絵』の「小絵馬考」第二章「絵馬の盛衰」(101〜122頁。第一章は「絵馬の起源」96〜100頁)に、次のように紹介されています(114頁7行め〜115頁4行め)。 ●東京最後の絵馬屋 その絵馬屋…

駒村吉重『君は隅田川に消えたのか』(14)

前回8月22日付(13)に、本書が「社長の谷口春郷がどんな人物だったのかはよくわからないのだが」としていた(175頁17行め)銀座スタヂオの社長について、三重県の「大石村ガレージ画廊」HPにあった略歴*1を貼り付けて置きました。これなどは調べたうちに…

駒村吉重『君は隅田川に消えたのか』(13)

「これから」「浅草の姉の家」に「行くといって」出ていったのが最後だ、と「友人」は回想していて(264頁)、浅草区小島町の中村家が行先になっているのは、太田家に伝わる「いまから小島町に出かけるつもりだ、と告げて……腰をあげた」という話(316頁)と…

駒村吉重『君は隅田川に消えたのか』(12)

随分回り道をしてしまいましたが、ようやく8月15日付(08)に一旦上げて削除したものの修正稿を上げます。 姉の太田みさをの家が、向島區吾嬬町のどの辺りだったのか、正確に分からないのですが、駒村氏が藤牧氏の下宿からの距離を「三キロほど」としている…

駒村吉重『君は隅田川に消えたのか』(11)

昨日、明治座の位置に触れました。明治座には4月17日付「港屋主人「劇塲怪談噺」(5)」で関東大震災で焼失したことに触れていましたが、ここはその後の明治座です。 震災までは、浜町川(浜町堀)に面した、日本橋区久松町38(現、中央区日本橋浜町二丁目1…

駒村吉重『君は隅田川に消えたのか』(10)

一昨日、8月16日付(09)にて、市電で新大橋を渡って、……と、うっかり書いてしまったのですが、藤牧氏の目的地である「日本橋區濱町二ノ十一」は、森下町から新大橋線、ではなく、その手前の亀沢町で、参考にさせてもらっているサイト「ぽこぺん都電館」の「…

駒村吉重『君は隅田川に消えたのか』(09)

昨日、失踪当日について駒村氏がどのようなイメージを読者に抱かせようとしているか、そのためにどのような伏線を張っているか、をざっと確認してみようと思って始めてみたところ、いきなり先日見落としていた疑問点に引っ掛かり、そして地図で方角やら距離…

駒村吉重『君は隅田川に消えたのか』(08)

本書については、もう1点瑣事に触れて終わりにして、後は大谷氏の『藤牧義夫 眞僞』や現在開催されている展覧会の公式カタログについて触れるついでに、述べることにしようと考えていました。 しかし昨日、平成23年(2011年)8月14日付「産経新聞」日刊24673…

駒村吉重『君は隅田川に消えたのか』(7)

一昨日からの続き。 * * * * * * * * * *・275頁2行め「いたゞ度ふ」は「いたゞき度う」とあるべきですから、2箇所(ママ)を附すべきです。前者「き」は藤牧氏の誤脱でしょうが念のため現物で確認したいものです、(ママ)がないと駒村氏の見落と…

駒村吉重『君は隅田川に消えたのか』(6)

昨日の続き。 * * * * * * * * * *・197頁10行め「いたる部分」はネット上には散見されますが、普通は「いたるところ」なのではないでしょうか。 ・215頁17〜18行め「壊れやすく、いなしやすいのだ。」――文脈から何となく意味は分かりますが、相撲…