2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧
・「南信地方」(5)下伊那郡 昨日の続きで、青木純二『山の傳説 日本アルプス篇』と共通する話を挙げ、典拠と認められそうなものを「←」、部分的に一致するものを「≒」で示した。 356頁8行め~376頁3行め「下伊那郡」6題、但し6番め、371頁4行め~376頁3行…
・「南信地方」(4)上伊那郡 昨日の続きで、青木純二『山の傳説 日本アルプス篇』と共通する話を挙げ、典拠と認められそうなものを「←」、部分的に一致するものを「≒」で示した。 317~356頁7行め「上伊那郡」9題、但し9番め、345頁2行め~356頁7行め「駒…
・「南信地方」(3)北安曇郡 昨日の続きで、青木純二『山の傳説 日本アルプス篇』と共通する話を挙げ、典拠と認められそうなものを「←」、主題は同じだが依拠していないものを「≠」で示した。 274頁9行め~316頁「北安曇郡」9題、但し9番め、294頁8行め~3…
・「南信地方」(2)南安曇郡 昨日の続き。 214頁4行め~274頁8行め「南安曇郡」12題、但し10番め、254~269頁5行め「有明山」は6項に分かれており、合計で17話である。 青木純二『山の傳説 日本アルプス篇』とは15話が共通する。但し【1】と【9】は、同じ…
・「南信地方」(1)東筑摩郡・西筑摩郡・諏訪郡 昨日取り上げた「北信地方」は、地理的に見ても青木純二『山の傳説 日本アルプス篇』とは無関係であるはずなのだが、何故か『山の傳説』に含まれていた北信地方の2話(更級郡・小県郡)が、採録されているの…
・「北信地方」の構成と『山の傳説』に類似する2例 8月23日付(2)の続きで、本書の構成を見て置こう。「北信地方」は「長 野 市」14題に続いて、42~79頁1行め「上水内郡」14題、79頁2行め~85頁1行め「下水内郡」2題、85頁2行め~88頁「上高井郡」2題、89…
今日は、当初「・伝説集に対する麗しき誤解」との見出しで昨日の続きを述べて行くつもりだったのだが、人によっては当り前のことだし、急にこんな展開になって十分に用意が出来ている訳でもない。かつ、続きを書かないと全国各地から歎声が漏れる程に、読者…
以下に述べることは考えて見れば当り前のことである上に、私自身、大体こんなものだろう、と云う見当は、持っていたのだけれども、最近の学界の議論は承知していないし、自分でも十分に整理し切れていない。かつ、本書に限った問題でもないので、ここで不慣…
・編纂の動機 昨日の続きで、乙部泉三郎「序」及び杉村顯「自序」から、本書編纂について述べた箇所を見て置こう。 まづ、乙部氏の「昭和八年正月」付の「序」は、まづ「最近頓に勃興した郷土研究」の意義について述べ、しかし、県立図書館長として館の利用…
①初版(昭和八年三月一日 印 刷・昭和八年三月五日 發 行・定價金貳圓四拾錢・信濃郷土誌刊行會・8+19+393頁・B6判) ②覆刻版(昭和六十年十一月十一日初版発行・定価 四、八〇〇円・郷土出版社・A5判上製本) 私は以前この覆刻版を、多分横浜市立中央図書…
・中公文庫(1)カバー 昨日の続きで、中公文庫版の②初版と③改版の比較。 カバー背表紙、青地に明朝体白抜きで、上部にやや大きく標題、中央やや下に著者名「北 杜夫」、下部にやや小さく「中公文庫」とあるのは共通。レーベル名の上、上下が半円形(1.6×0.…
8月8日に投稿予定だったがしばらく後回しにしていた。 * * * * * * * * * * 7月20日付「elevator の墜落(3)」に、北杜夫が医局時代に聞いた怪談を吉行淳之介との対談『恐怖対談』から引用して、『どくとるマンボウ医局記』を参照すべきであろう…
・新潮文庫2470(1) 八刷と十刷の比較。 本体、目録はそれぞれ13頁で、12頁めまでは3段組の目録「新潮文庫 日本の作品」で八刷は小林秀雄から渡辺淳一まで、最後は新潮社編『俳諧歳時記』(冬春夏秋)、十刷は椎名麟三から和辻哲郎まで。13頁めは「新潮文…
・青木純二『山の傳説』(7) さて、8月15日付(102)まで4回に分けて引用した青木純二「晩秋の山の宿(白馬岳)」本文の、白銀冴太郎「深夜の客」との異同について、8月16日付(103)に何例か挙げて杉村顕道「蓮華温泉の怪話」は「晩秋の山の宿」に依拠し…
『山怪実話大全』の第一刷から第三刷に掛けての時期、その編者の東雅夫が杉村顕(顕道)と「サンデー毎日」の関わりについて tweet していたことは、2018年8月8日付(027)にも触れましたが、8月8日付(095)に改めてその全文を引用して確認し、8月9日付(09…
・青木純二『山の傳説』(6) さて、昨日までの本書の「晩秋の山の宿(白馬岳)」本文を、昭和3年(1928)7月の「サンデー毎日」に懸賞入選作として掲載された白銀冴太郎「深夜の客」との異同を指摘しつつ引用して見た。殆ど同文であることが明らかになった…
・青木純二『山の傳説』(5) 昨日の続きで、最後。 昨日引用した箇所は特に書き替えが少なかったが、ここもやはり若干手を入れている程度である。 家に歸つた主人は子供に向つて云つた。*1 『あの男は怖ろしい人殺しをしたやつだったが、俺ぁ不思議でなら…
・青木純二『山の傳説』(4) 一昨日からの続きだが、この辺りは特に書き換えが少ないようである。なお、傍点「ヽ」を打たれている文字は、ルビと同様に再現出来ないので仮に太字にして示した(「深夜の客」には傍点はないようだ)。106~109頁1行め、 『父…
・青木純二『山の傳説』(3) 昨日に続く場面を引用する。要領は昨日に同じ。102頁9行め~105頁、 飯の仕度をいそいでゐる主人はふと、奥の部屋で、八つになる男の子が、はげしく泣き出す聲/をきいた。*1 『これ、何を泣くんだ。』*2 子供のところへ飛んで…
・青木純二『山の傳説』(2) 前置きが長くなったが、「晩秋の山の宿」の本文を全文引用する。 なお、従来、本文の引用・比較に当たっては、2018年8月7日付(026)にように分割して検討して来た。しかしながら「晩秋の山の宿」の本文は「深夜の客」とほぼ同…
それでは、早速、杉村顕『信州百物語』の「蓮華温泉の怪話」が下敷きにした、と、断定して良いと思うのだけれども、その話と出典について確認して置こう。 ・青木純二『山の傳説 日本アルプス篇』(昭和五年七月 七 日印刷・昭和五年七月十七日發行・定價一…
・白銀冴太郎は杉村顕道に非ず(3) 前回、根拠を示さずに少々過激とも取れる結論の一端を述べてしまった。 これからその根拠を挙げて行くつもりだけれども、当ブログでは結論だけ述べて根拠となる資料の検討をやったのかやらなかったのか、曖昧にして置く…
・白銀冴太郎は杉村顕道に非ず(2) さて、問題の東雅夫 編『山怪実話大全』第三刷(二〇一七年一一月二五日 初版第一刷発行・二〇一八年 一 月二八日 初版第三刷発行・定価1200円・山と溪谷社・二三五頁)の追記だが、二二三~二三五頁「編者解説」の、昨…
・白銀冴太郎は杉村顕道に非ず(1) 当ブログではこれまで、岡本綺堂「木曾の旅人」を源とするとおぼしき怪異談についてブログ開始直後の2011年1月3日付(002)に、阿刀田高「恐怖の研究」に於ける再話や、2011年1月23日付(008)にて松谷みよ子『現代民話…
・武田百合子『ことばの食卓』(3) 昨日の続き。 小児性愛の気味のある牛乳屋が登場するのはここまでである。 ①20頁5~12行め②21頁9行め~22頁2行め③21頁9行め~22頁2行め④179頁5~12行め まわってくる紙芝居屋は、二人ともが「黄金バット」をやっていた。…
・武田百合子『ことばの食卓』(2) 昨日の続きで「牛乳」について、牛乳を飲まされていた話題が赤マントに展開して行くまでを見て置こう。 昨日引用した箇所に続いて、牛乳配り=牛乳屋について描写する。①17頁7行め~18頁1行め②18頁9行め~19頁3行め③18頁…
・武田百合子『ことばの食卓』(1) 8月4日付「武田百合子『ことばの食卓』(2)」にて、『ことばの食卓』諸本の体裁を確認するために2篇め、「草月」の連載では第1回に当たる「牛乳」を例に取り上げたが、この「牛乳」に赤マントが出て来るのである。しか…
昨日の続きで、諸版を対照して見ることとしたいが、まづ「牛乳」を例に取って、諸版の体裁を確認して置こう。 ①13頁(頁付なし)扉、上部中央に大きく「牛 乳」、14頁(頁付なし)白紙、15頁から本文で1頁14行、1行37字、15頁の本文冒頭、まづ5行分空白。16…
①単行本(A5判上製本)ことばの食卓作者: 武田百合子出版社/メーカー: 作品社発売日: 1984/12メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (4件) を見る・一九八四年一二月一〇日第一刷印刷・一九八四年一二月一五日第一刷発行・定価一二〇〇円・141…
・吉行淳之介の解釈(2) この「幽霊見参記」の体験談については、他にも気付いたことはあるのだが、何だか続けようと云う気分にならないまま放置していた。 この体験自体は、本当に幽霊かどうかはともかく、幻覚であっても事実あったことなのであろう。――…