瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

浪花節

山本禾太郎「東太郎の日記」(33)山本桃村⑦

山本氏はこの時期のことを、本作以前に随筆に書いたことはありました。 その1つが、論創ミステリ叢書14『山本禾太郎探偵小説選Ⅰ』の「評論・随筆篇」339〜343頁に収録される随筆「ざんげの塔」です。横井司「解題」387頁1〜2行めには、 「ざんげの塔」は、『探…

山本禾太郎「東太郎の日記」(32)山本桃村⑥

未だ梅中軒鶯童『浪曲旅芸人』を精読する余裕がないのですが、この後で山本桃村の名が出て来るのは11月4日付(27)に引いた、大正8年(1919)の「満洲の日記」の、書体についての記述のみのようです。すなわち昨日までに引いた、大正6年(1917)1月頃に京山…

山本禾太郎「東太郎の日記」(31)山本桃村⑤

・梅中軒鶯童『浪曲旅芸人』(5) 11月6日付(29)で見た、大正6年(1917)2月3日に岡山県の津山で旗揚げした一座がどうなったか見て置きましょう。96頁上段4〜17行め、 当時の津山駅は現在の津山口で、町まではかなりの距離が/ある。町中へ入って、あちこ…

山本禾太郎「東太郎の日記」(30)山本桃村④

・梅中軒鶯童『浪曲旅芸人』(4) 前回、支配人と副支配人(手代)について本作と照合して、そこまでになってしまいましたが、いよいよ「秘書として小円師に書道を教えていた山本桃村」について検討して行きましょう。 まずは『浪曲旅芸人』で、京山小圓を…

山本禾太郎「東太郎の日記」(29)山本桃村③

・梅中軒鶯童『浪曲旅芸人』(3) それでは、大正6年(1917)に梅中軒鶯童と一座していた「事務の山本桃村君」が、本作の山木東太郎、すなわち本名山本種太郎の探偵小説作家山本禾太郎である根拠を示しましょう。 前回の引用の続き、95頁下段5〜16行めを抜…

山本禾太郎「東太郎の日記」(28)山本桃村②

・梅中軒鶯童『浪曲旅芸人』(2) 「山本桃村」が登場する章は、86頁上段12行めからの「(一〇) 放 浪」です。順を追って書かれているのですが、はっきり年月が書かれていないところもあるので、この章の頭から、2013年10月26日付「赤いマント(5)」と同じ…

山本禾太郎「東太郎の日記」(27)山本桃村①

・梅中軒鶯童『浪曲旅芸人』(1) この自伝は恐るべき記憶力によって克明に綴られています。しかし全く書いたものがなかったのかというと、書いたものはあったのです。122頁上段6行め〜131頁下段4行め「(十二) 満鮮の初巡業」の章、126頁下段13行め〜127頁…

山本禾太郎「東太郎の日記」(26)

私は感情移入を強いられる藝能が苦手なので、落語はよく聞くけれども人情噺は好きではないのです。浄瑠璃や浪花節も必要があって聞く程度です。 そんな訳で、浪花節に関する本も読んだことがなかったのですが、先月からぼちぼち、参考になりそうな本を借りて…

山本禾太郎「東太郎の日記」(25)童貞

昨日の続き。 作中には時期を窺わせる記述は殆どありません。時事も全く扱われていません。 10月20日付(12)本文②、日記の1日めは、冒頭に登場する紳士風の男の台詞、「おかみ、僕はネ、白い絽の羽織に黒い紋をつけて、夏の式服にしていたんだが、昨夜高砂…

山本禾太郎「東太郎の日記」(23)

昨日まで12回に分けて本文を紹介しました。 探偵小説ではありませんから、本作と若干の未収録作品のために新たに論創ミステリ叢書『山本禾太郎探偵小説選Ⅲ』が編まれるようなことは、恐らく望めないでしょう。10月13日付(06)に述べたように本文の売込み(…

山本禾太郎「東太郎の日記」(22)本文⑫完

日記の11日め。【 34 】頁上段18行めから下段7行めまで。 下段の余白、下部に四角いお盆の上に桃を3つ盛った六角形の陶器の鉢に陶器の水差しが載っているカットがあります。 今回新たに新字で代用した漢字は「娯」です。 ×月×日 おふくさんと伏見の停留所で…

山本禾太郎「東太郎の日記」(21)本文⑪

日記の10日め。【 29 】頁上段10行めから【 34 】頁上段17行めまで。 【 29 】頁下段は3行めまでで、残りは挿絵で、10月27日付(19)本文⑨、日記の8日めの前半、真っ暗な中で2人が並んで正座して、おふくさんが東太郎の右肩に左手を掛け、東太郎の左手がおふ…

山本禾太郎「東太郎の日記」(20)本文⑩

日記の9日め。【 28 】頁下段5行めから【 29 】頁上段9行めまで。 今回新たに新字で代用した漢字は「並・述・寛・雪」です。 ×月×日 今日は四五日前から決まつてゐた圓八君夫婦の退座の日だ。これは主/として圓八君の希望によるもので、圓八君はおふくさん…

山本禾太郎「東太郎の日記」(19)本文⑨

日記の8日め。【 27 】頁下段11行めから【 28 】頁下段4行めまで。 28頁上段12行めまでの字数が少ないのは、この頁の右上に階段を描いた挿絵があるからで、床に届こうという暖簾により階段の先は隠れています。暖簾は「江ん」つまり「××さん江」の下部が描か…

山本禾太郎「東太郎の日記」(18)本文⑧

日記の7日め。【 27 】頁上段11行めから下段10行めまで。 今回新たに新字で代用した漢字は「望」です。 ×月×日 今日二時間ばかり自分の部屋にゐたおふくさんは、いろ/\と身の上/話をした。*1 若州の小濱近在の生れださうな、父母もなければ兄弟もない。浪…

山本禾太郎「東太郎の日記」(17)本文⑦

日記の6日め。【 25 】頁下段18行めから【 27 】頁上段10行めまで。 【 26 】頁の上下段とも6行と行数が少ないのは、左側に、おふくさんが旅館の薄暗い廊下を自室へ戻って行く場面が描かれているからです*1。右上に [哲] 印(1.0×0.6cm)があります。これは2…

山本禾太郎「東太郎の日記」(16)本文⑥

日記の5日め。【 25 】頁上段4行めから【 25 】頁下段17行めまで。 今回新たに新字で代用した漢字は「脱・煙・喫・嘘」です。 ×月×日 今日から〃曾我兄弟〃の改作だ。大圓氏自筆のネタ本を見ると、頼朝/のことを〃ヨリ友〃なぞ隨所にヘンなことが書いてある…

山本禾太郎「東太郎の日記」(15)本文⑤

日記の4日め。【 21 】頁上段10行めから【 25 】頁上段3行めまで。 【 22 】頁と【 23 】頁は見開きの挿絵で、10月21日付(14)本文④に示した日記の3日め、楽屋で京山大圓が圓八・おふく夫婦と対面する場面でしょう。【 22 】頁、姿見の前に立って弟子たちに…

山本禾太郎「東太郎の日記」(14)本文④

日記の3日め。【 19 】頁上段2行めから【 21 】頁上段9行めまで。 要領はこれまでに示した通りで、新字で代用した漢字は「習・記・墨・浮・掻・産・寝・騒・絶」です。 ×月×日 大圓氏はいつも旅邢へ床屋へ招いて調髪する習慣だのに、けふは珍ら/しく床屋へ…

山本禾太郎「東太郎の日記」(13)本文③

日記の2日め、【 15 】頁上段14行めから【 19 】頁上段1行めまで。【 16 】頁と【 17 】頁の下段は挿絵で、並べた座布団の上に腹這いになって巻紙に何か書き始めようとしている男性。 入力の要領は前回示した通りです。新字で代用した漢字は、前回に示したも…

山本禾太郎「東太郎の日記」(12)本文②

それでは日記の1日めの本文を紹介します。【 13 】頁上段4行めから【 15 】頁上段13行めまで。 用字はなるべくそのままにしようと思ったのですが、表示不可能な文字及び外字の一部は検索の便宜を考えて新字にしました。順に「羽・黒・急・縁・者・節・説・要…

山本禾太郎「東太郎の日記」(11)本文①

10月16日付(09)の続き。 まず、10月15日付(08)に見た、昭和9年(1934)1月1日発行の「週刊朝日」新年特別号(第25巻第1号)について、若干の補足をして置きましょう。 【 223 】頁は太い破線で囲われた「編輯後記」は、5段組で収録作品や企画について編…