- 作者: 美内すずえ
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 1981/05/01
- メディア: コミック
- この商品を含むブログ (2件) を見る
文庫版第11巻の最後296頁が単行本第19巻74頁、文庫版第12巻の最初5頁は単行本第19巻75頁、そして文庫版第12巻119頁が単行本第19巻の最後189頁。
- 作者: 美内すずえ
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 1994/09/01
- メディア: 文庫
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (7件) を見る
* * * * * * * * * *
・単行本第19巻8〜10頁、マヤは「土曜日」の「晩の8時」まで「パントマイムの稽古」をしていて(7頁)、帰宅して夕食の準備を手伝いながらテレビのニュースの音声を聞き、衝撃を受ける。午後9時台のニュース番組であろう。8頁6コマめから。
TV:「ではつぎに芸能ニュース」/
男性*1:「シェイクスピアに挑戦か!/一人芝居「ジュリエット」にとりくんでいる姫川亜弓さんの記者会見と近況です」/
皿:ガチャーン(割れる)/以上8頁
青木麗:「マ…」/
マヤ:震える/
マヤ:(亜弓さん…!/一人芝居! 「ジュリエット」…!/亜弓さんも一人芝居を…!)/
マヤ:ダッ(台所から居間に駆け込む)/
マヤ:ベタン(勢い良く膝をついて座る)/
男性:「「ロミオとジュリエット」のジュリエットだけとはまた思いきった劇に挑戦なさいますね/亜弓さん」
マヤ:(亜弓さん…!)青ざめ、震える/
亜弓:「ええ ロミオの登場しないジュリエット/一人芝居でどこまでやれるか/むずかしい役ですが女優としての成長に役立つと信じておひきうけしました/これはわたくし自身への挑戦です」/以上9頁
男性:「一人芝居「ジュリエット」のためにフランスからはパントマイムの名手/マルセル・モーリアさんが来日/モダン・バレエの倉橋千恵さん/名演出家の小野寺一氏と共に指導にあたる予定です」/
男性:「一流の指導陣に囲まれて特訓中の姫川亜弓さん/はたしてどんな「ジュリエット」が生まれるか/舞台の初日が待たれます」/
亜弓:ポーズ、汗をかいた顔/
マヤ:(亜弓さん…!)青ざめる/
TV:「次にお天気のお知らせです」
マヤ:ガチガチ
麗:「マヤ…」/以上10頁
ここのところ、文庫版第11巻230〜232頁では、TV(キャスターであろう)・男性・亜弓さんの発言、つまり放送の音声は、単行本では明朝体だったがタイポスに改められている。心内語は単行本・文庫版ともに丸ゴシック体。
ここのところ、マヤは「亜弓さんも一人芝居を…!」と思っており、確かに亜弓さんは単行本第18巻102頁(文庫版第11巻132頁)1コマめ、マヤが一人芝居を上演したことを知っているのだが、「おひきうけしました」と言っているから、亜弓さんは殊更に対抗しようとした(対抗してるんだけど)訳ではない。
さて、この男性リポーターは「記者会見と近況」と言っており、亜弓さんの語っている場面は「記者会見」で、改めてインタビューなどはせずに「近況」を取材してリポートしているだけのようだ。
この「記者会見」だが、単行本第18巻162頁(文庫版第11巻192頁)6コマめ〜165頁(文庫版第11巻195頁)1コマめに既に描写されていた。それが、どうも、このTVのニュースとは亜弓さんの発言内容が、違うのだ。
フラッシュ:バッ バッ バッ/以上162頁
記者A:「亜弓さん 一人で「ロミオとジュリエット」に挑戦するって本当ですか?」
記者B:「一人芝居「ジュリエット」は成功すると思いますか !?」
背景のパネル:「姫川亜弓…/ジュリエ…/記者会見」/
亜弓:「わたしは「ロミオとジュリエット」に挑戦するのではありません/「ジュリエット」に挑戦するのです」/
亜弓:「ロミオという少年を恋したジュリエットが/なにを思いどう考えどう行動するか…/恋のためにどう変貌していくか…/これは「ロミオとジュリエット」のジュリエットだけに焦点をあてた劇です」/
亜弓:「ジュリエットの心を演じたいと思います/成功するかどうかはわたしの努力にかかっているでしょう」/以上163頁
司会(推定):「脚本構成にベテラン劇作家 成木先生/演出は小野寺先生に/フランスのパントマイムの名手マルセル・モーリアさん!」
記者たち:おー/
記者C:「そうか! 一人芝居だからパントマイムが重要になってくるんだ…!/それにしても“ひとりジュリエット”」
記者D:「これはシェイクスピアに対するおもしろい挑戦だぜ!」/*2
フラッシュ:バッ バッ バッ
亜弓:(シェイクスピアに挑戦…?)/
亜弓:フッ…/
亜弓:(いいえ…!/「ジュリエット」 これはわたしへの挑戦…!/自分の才能と実力への挑戦…!)/以上164頁
フラッシュ:バッ バッ バッ
亜弓:(きっと 勝ってみせる…!)/
単行本第18巻の記者会見と、単行本第19巻めのTVのニュースで流された「記者会見」と、亜弓さんの服装が一致するし、何度もこんなことはしないだろうから、同一だと見て良いであろう。尤も、前者は服にスクリーントーン(アミトーン)が乗せてあったのに対し、後者(9頁7コマ)にはスクリーントーンがない。つまり色違いということになるが、TV映りの按配で後者は色が薄く見えたのであろうか。
そうすると、前者では「フッ…」と笑って心の中で「シェイクスピアに挑戦」ではなく「わたしへの挑戦」なのだと、密かに思っていただけだったのが、後者では「これはわたくし自身への挑戦です」と、ぺらぺら喋ったことになっているのである。