瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

中島敦の文庫本(25)

・角川文庫294(8)
 (256頁)は改版三十七版を見たのみであったが、その後、改版四十一版と改版四十四版を見た。そして、これまで③のカバーについて何のメモも取っていなかったことに気付いた。
改版三十七版】昭和四十三年九月十日初版発行・平成元年六月十日改版三十七版発行・定価340円
改版四十一版】昭和四十三年九月十日初版発行・平成三年七月三十日改版四十一版発行・定価340円
改版四十四版】昭和四十三年九月十日初版発行・平成五年六月二十日改版四十四版発行・定価456円
 また、Amazon詳細ページのなか見!検索で、改版五十九版を見ることが出来る。本体は③に同じで、一部が消去されていて発行日が確認できない(平成二十年七月■十日改版五十九版発行・定価476円)が、カバーに関しては背表紙以外は大体確認出来るようなので、ここに並べて比較して見た。
 カバー表紙は多色刷の木版画で、岩の突端から弓をつがえて5羽の雁を狙う人、対する山の笹藪らしきところに虎、雁の背後には光を失った白い満月で、虎は月に吠えている。岩と山の間、近景の左に鴟尾ある屋根が2棟、右に騎馬の軍勢、そして遠景に砂漠を行く三蔵法師の一行、これで収録作の世界が表現されていることになる訳だ。右上に横書きで「李陵・山月記弟子・名人伝中島敦*1」。改版五十九版は中央右にゴシック体横組みで「角川文庫」が付け足されている。
 カバー背表紙は縹色地で上部に「な|4-1 李陵・山月記弟子・名人伝」中央やや下に「中島 敦」作品名の初めの2つと著者名は秀英初号明朝、明朝体でルビ「り りょう」。改版三十七版には著者名の下1字分空けてゴシック体で小さく「緑/103-2」とあるが、改版四十一版・改版四十四版にはない。下部にゴシック体で改版三十七版・改版四十一版は「角川文庫●350」●に白抜き「P」、改版四十四版は数字が「470」になっている*2
 カバー裏表紙折返しは白地で左下に明朝体横組みで小さく「カバー 旭印刷」、右下にKBマークがあるのみ。改版五十九版は上部に「角川文庫/中島 敦の本/李陵 山月記弟子・名人伝*3」とあるのが確認出来る。
 カバー裏表紙は白地で、改版三十七版・改版四十一版は上部に「ISBN4-04-110302-9 C0193 P350E 定価350円」定価のすぐ下にやや小さく「(本体340円)」とある。改版四十四版は左上にバーコード2つ、2つめの下4桁「4701」が改版五十九版では「4762」になっている。改版四十四版は右上にISBNコード10桁、2行めCコードに「P470E 定価470円」定価の下に「(本体456円)」、中央にゴシック体縦組みで20行(1行14字)の紹介文。4行・7行・3行・6行の4段落に分かれる。段落の頭1字下げていない。これは改版三十七版及び改版四十一版ではカバー表紙折返しにゴシック体で「李陵・山月記*4」と題して、明朝体横組み17行(1行16字)で入っていた。段落の頭1字下げ、3行・6行・3行・5行の4段落。異同は最後が17行め「……中島敦の代表作四編を収録。*5」から19〜20行め「……中島敦の代/表作六編を収録。*6」に変わっていることのみ*7、全6篇収録であるが「李陵」と「山月記」の「他に」であれば4篇ではある。改版五十九版ではバーコードの下に13桁のISBNコード、これは「978-」が加わったのみ、Cコードに「\476E」、3行めに「定価本体476円(税別)」とあり、その右にゴシック体横組み14行(1行14字)の紹介文、3段落、5行・3行・6行に分けられるが段落の頭1字下げていないので2段落めと3段落めは続いているように見える。改版四十四版と比較するに、まず最初の段落(4行)が省略されている。すなわち次の段落(5〜11行め)から始まっており、5行め「五千」が1行め「5千」に、5〜6行め「十/万」が1〜2行め「10/万」となっている他、7〜8行め「華/やかな宮廷に汚い欲望が渦巻く。*8/」が省略されている。その次の段落、14行め「/にくさ美しさを綴る「李陵」*9」が8行め「/にくさ、美しさを綴る「李陵」。*10」に、最後の段落、17〜19行め「/く「山月記」など、中国古典に材/をとり、人間の存在とは何か、/を……」が11〜13行め「/く「山月記」など、中国古典に/材をとり、人間の存在とは何か/を……」となっている。他に2箇所漢数字を算用数字に改めている。
 改版四十四版と改版五十九版のカバー表紙折返しは上部に学生帽の中学生とおぼしき顔写真*11、改版四十四版は縦組みでその下に、まずゴシック体で「●中島敦(なかじま あつし)」と題し、半行空けて以下明朝体で7行(1行17字)の紹介文。改版五十九版は横組みゴシック体で写真の下に「中島敦(なかじま あつし)」と題し、その下すぐ下から7行(1行17字)の紹介文、同文だがやはり漢数字を算用数字に改め、全て半角だった鉤括弧が行末以外全角になるなどの異同があり3行め以降字配りが異なる。下部、改版四十四版は右寄り、改版三十七版及び改版四十一版と同じ位置に「カバー 森村玲」とあった*12が改版五十九版は左寄りに「カバー森村玲」とある。
 未だに2012年1月12日付(01)に貼った少女漫画風の表紙のカバーが掛かったものは図書館では見かけない*13
 奥付、改版四十一版と改版四十四版は同じレイアウト、異同はそれぞれの発行日と「製本所――本間製本」が「製本所――多摩文庫」に、「落丁・乱丁本」の送り先が「小社通信販売課宛」が「小社角川ブック・サービス宛」になっているのみ。改版三十七版と改版四十一版の異同は、それぞれの発行日、電話番号が市外局番の次にまだ「三」が増えていないこと、「装幀者」から後の改版三十七版については既に3月29日付(24)にメモしたから、ここでは改版四十一版について見るに、「本書の無断複製・複写・転載を禁じます。」の1行と「落丁・乱丁本」についての2行があって、半行分空けて1字下げで「定価はカバーに明記してあります。」となり、匡郭下辺の上、右寄りに「©Printed in Japan」がある。匡郭下辺の下は改版三十七版・改版四十一版・改版四十四版で一致。
 本体の最後、改版三十七版の目録14頁は3月29日付(24)に記述した。改版四十一版も14頁で、1頁に6点、1〜7頁め「角川文庫ベストセラー」、8〜14頁め「角川文庫最新刊」。改版四十四版も14頁で1〜9頁め「角川文庫ベストセラー」、10〜14頁め「角川文庫最新刊」、改版三十七版に同じレイアウトだが内容は異なる。改版五十九版は1頁7点の「角川文庫ベストセラー」*14

*1:ルビ「りりょう」。

*2:2017年7月18日追記】「角川文庫●350」●に白抜き「P」になっているカバーの掛かっている改版四十四版を見た。

*3:ルビ「りりょう」。

*4:ルビ「りりょう」。

*5:ルビ「あつし」。

*6:ルビ「あつし」。

*7:2017年7月18日追記】別のカバーの掛かっている改版四十四版を見た。左上にバーコード2つ、2つめ「1910193003506」、右上に2行「ISBN4-04-110302-9C0193 P350E 定価350円」定価のすぐ下にやや小さく「(本体340円)」と添える。中央にゴシック体縦組み20行の紹介文、末尾19〜20行めは「‥‥中島敦の代/表作四編を収録。」ルビも増減なし。

*8:ルビ「うずま」。

*9:ルビ「つづ」。

*10:ルビ「つづ」。

*11:6月9日追記】この写真は203頁に「一高時代」のキャプションを附して掲載されている学生服(黒でない詰襟)の上半身の肖像写真から、顔の部分を取ったものである。

*12:2017年7月18日追記】定価340円の改版四十四版のカバーも表紙折返しは(表紙・裏表紙折返しも)定価456円のカバーに同じ。

*13:2017年7月18日追記】その後、このカバーの掛かっている改版六十三版を見た。Amazonの書影は現在、森村氏の表紙になっており、この少女漫画風の書影は見当たらない。

*14:全頁表示されていないようなので詳しいメモはしない。