角川文庫13359『新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺』の初版も借りて来ていたのに前回(16)を書くとき物に紛れて忘れていた。
カバーは新版八版と同じである*1。奥付がかなり違う。新版八版との奥付の文字の異同を挙げておくと、まず「昭和三十年十月五日 初版発行/昭和四十四年八月十八日 改版初版発行/平成十六年五月二十五日 新版初版発行」とある。それから「発行者――田口惠司」、新版八版では発行所が「角川学芸出版」になっているのが、新版初版では「角川書店」である。新版八版では「角川書店」は発売元として記載されていた。新版初版にはもちろん発行所のみで、発売所の記載はない。「電話」も「編集/営業」と2つ載っているが、新版八版では「電話・営業」のみである。印刷所と装幀者は同じだが「製本所――コオトブックライン」となっている。それから「定価はカバーに明記してあります。」の一文が、新版八版では匡郭外に左下部にあるのが、匡郭内の一連の情報の末尾に入っている。下辺の匡郭内に「ⒸFumiko YANAGITA 1955 Printed in Japan」とあるが、新版八版では著作権者が「ほか5名」となっている。
さて、これ以前の「改版」版は、新版初版の奥付により昭和44年(1969)初版であることが判明した。そしてカバーについては前回(16)に指摘したように、2種類は存在したことが分かっている。そのうちの、民藝調のものが今、手許にある。まず、奥付から見ておこう。
角川文庫1295『遠野物語 ――付・遠野物語拾遺――』と子持ち枠の中にある。その下に「昭和三十年十月五日 初版発行/昭和四十三年七月三十日 十版発行/平成六年六月十五日 改版四十六版発行/発行者――角川歴彦」発行所は角川書店、「電話」は「編集部/営業部」が載るが新版初版とは違う。郵便番号も7桁ではなく3桁、振替番号も違っている。印刷所・装幀者は同じだが、製本所は大谷製本。落丁・乱丁本の送り先が「小社角川ブックサービス宛」で新版初版「小社受注センター読者係」新版八版「角川書店受注センター読者係」と異なる。著作権者の名はなく右寄りに「「ⒸPrinted in Japan」のみである。そして匡郭の下辺の下、左に「や 17-1」右寄りに「ISBN4-04-308305-X C0139」とある。当時まだ角川ソフィア文庫というレーベル名はなかった。(以下続稿)
*1:【2013年6月11日追記】新版再版(昭和三十年十月五日初版発行・平成十六年五月二十五日新版初版発行/平成十七年四月十五日新版再版発行・定価476円・268頁)を見た。カバー表紙・カバー背表紙・カバー裏表紙折返しは新版八版に同じ。カバー裏表紙のバーコード1つめは新版二十一版のISBNコードに一致、右上の3行は新版八版に一致。但しその下、中央やや下の紹介文はゴシック体横組みで7行(1行25字)の紹介文。私の見た新版初版よりもこのカバーの方が古いようだ。カバー表紙折返し、下部は新版八版に同じ、上部にゴシック体太字で「柳田国男/やなぎた くにお」と題して、ゴシック体13行(1行16字)の紹介文。今、角川文庫1295の改版四十六版の縦組みの紹介文と比較するに、数字が漢数字から算用数字になっている他に異同は4行め「刊行し」が6行め「刊行、」になっているのみ。奥付の形式は新版初版に一致するようで「製本所――千曲堂」。