・角川文庫294(3)
さて、②③とも「昭和四十三年九月十日初版発行」となっていて、番号は引き継いでいるが①の「昭和二十七年二月二十五日初版發行」はなくなっている。昭和27年(1952)に角川文庫に入ったから「294」という番号になるのだが、現行の版ではそこが分からなくなっている。
昭和43年(1968)に改版された②は昭和末まで増刷されている。
②『李陵・山月記・名人伝』
私が見たのは以下の2つ。
・改版二十四版(昭和四十三年九月十日初版発行・昭和五十八年九月三十日改版二十四版発行)
・改版三十版(昭和四十三年九月十日初版発行・昭和六十一年五月三十日改版三十版発行)
カバー裏表紙は上部に「ISBN4-04-11-302-9 C0193 \340E 定価340円」とある。
改版二十四版はカバー折返しが切除されているので完全な比較が出来ないが、他は改版三十版と一致している。
改版三十版で確認するに、カバー表紙折返しは「李陵・弟子・名人伝」として10行(1行16字)の説明文があり、その下に「月刊カドカワ」の広告、一番下右寄りに「カバー 山際千寿」とある。カバー裏表紙折返しは下部左に小さく「カバー旭印刷」、右下に「KB」のマーク。
扉の前にアート紙の口絵があり、表に教科書に載っている頭髪をきっちり分けて背広姿の写真「中島敦」、裏は「『李陵』初版本の表紙/(昭和二十一年二月 小山書店刊)」と「『李陵』の草稿」の1枚めの写真。扉、11.5×7.3cmの単辺の枠内上部の子持枠(4.5×4.8cm)内上部に横組みで書名と作者名、下部に鳳凰のマークと「角川文庫 294」が入る。裏の左下に縦組みで「本書は、現代表記法により、原文を新字・新かなづかい/にしたほか、漢字の一部をひらかなに改めた。/(編集部)」とある。3頁から頁付があり「目次」。4頁は「「李陵」関係地図」として現在の甘粛省付近の地図「前漢の辺塞地方」が掲載される。
作品が3つ追加されて6作品になっていることは1月12日付(01)で確認したが、作品ごとに中扉が作られているのが①と異なる。①は作品の冒頭3行分を取って、やや大きな字で題を入れてすぐに本文を始めていたが、②は奇数頁(頁付なし)に題のみを示し、その裏の偶数頁から本文を始めている。
この辺りは③も、組み直されているが変わっていない。扉の書名が変わっているのと2頁の(編集部)の断書きが「ひらがな」になっているくらいで、4頁は同じ版を使っている。(以下続稿)