・角川文庫294(6)略年譜
引続き、昭和43年(1968)の改版(②)と、昭和末か平成初年の改版(③)の比較。前者は改版二十四版、後者は改版三十七版を使用した。
一番最後にある郡司勝義編「年譜」(②239〜249頁・③246〜256頁)は、②236頁に「以下の私の略年譜は……まったくの一指標にすぎず」云々とあったのだが、「縦横に書き改められる」ことなく③に殆どそのまま再録されている。ただ、細かいところが少し違う。それからルビがかなり増やされている。満年齢。
・「明治四二年(一九〇九)」条
同文。ルビ②「たびと」のみ、③「たんす・たびと・ぶざん・かめだほうさい」。
・「大正一三年(一九二四) 一五歳」条
②「四月、三番目の母を迎える。」③「…三番め…」
・「大正一五年・昭和元年(一九二六) 一七歳」条
②「四月、中学の四年修了より第一高等学校(現在の東京大学教養学部)文科甲類に入学する。」③には以下の一文を追加「抜群の成績であった。」
・「昭和二年(一九二七) 一八歳」条
ルビ、②なし、③「ろくまく」。
・「昭和三年(一九二八) 一九歳」条
ルビ、②「きぐう」、③「ぜんそく・しんせき・きぐう・けんか」。
・「昭和五年(一九三〇) 二一歳」条
ルビ、②なし、③「となんぞんこう」。
・「昭和六年(一九三一) 二二歳」条
ルビ、②なし、③「あ」。
氷上英広と釘本久春の回想が引用されるが、釘本氏の題は②③とも「敦のこと」だが、氷上氏の題は②「中島敦の回想から」③「中島の回想から」と異なる。
・「昭和七年(一九三二) 二三歳」条
ルビ、②なし、③「りよじゆん」。
・「昭和八年(一九三三) 二四歳」条
ルビ、②「ろんこう」、③「くどく・しぶがみ・たんび・あしかり・ろんこう・ろつこく・もりおうがい・いざわらんけん・ほうさい・かんさざん・あ・じゆえん・こ・これ・べ・ろつこく・い・や・いたしかた・ほと・ころ・い・はや・しやべ・よさみ」。
②「八月、ロレンス「息子と恋人たち」を同窓の木村行雄氏と翻訳する。ただし下訳である。」③「…。ただし沢村寅二郎助教授の下訳である。」
・「昭和九年(一九三四) 二五歳」条
ルビ、②「ぜいにく」、③「かしわば・ぜいにく・ぜんそく」。
・「昭和一〇年(一九三五) 二六歳」条
②「『列子』や『荘子』」、③「「列子」や「荘子」」。「パンセ」は両方ともただの鍵括弧。
・「昭和一一年(一九三六) 二七歳」条
②「『アナトール・フランス全集』」、③はただの鍵括弧。
ルビ、②なし、③「シヤンハイふとう・こうしゆう・そしゆう・ろうしつき・かんぴし・おうい・こうせいきゆう」。
・「昭和一二年(一九三七) 二八歳」条
ルビ、②なし、③「ぜんそく」。
・「昭和一四年(一九三九) 三〇歳」条
ルビ、②なし、③「はげ・ごじようたんい」。
・「昭和一五年(一九四〇) 三一歳」条
引用の典拠を②(九月一六日 一友人より中島敦あて)とするが、③では「一友人」が「氷上英広」に改められている。
・「昭和一六年(一九四一) 三二歳」条
ルビ、②なし、③「ぜんそく・あいさつ」。
・「昭和一七年(一九四一) 三三歳」条
ルビ、②なし、③「これ・ぜんそく・まで・からだ・もら・まわ・こたん・こたん・うわさ・このごろ・もつと・へんしゆうう・ま・ごじようしゆつせ・と・かく・もら・あじわ・い・ばくぜん・たん・かんしよう・はげ・のこ・りりよう」。
・「昭和一八年(一九四三)」条
ルビ、②「たこのき」、③「たこのき・いただ・た」。