瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

太宰治『人間失格』の文庫本(17)

・角川文庫(12)
 2012年6月27日付(08)の続きで、角川文庫14732について。
【改版八版】平成元年四月十日初版発行/平成十九年六月二十五日改版初版発行/平成二十一年八月二十五日改版八版発行・195頁
 これまで、改版初版(望月氏装画)、改版五版(松山氏写真)、改版十版・改版十四版(生田氏写真)を見ていたが、漸く梅佳代のカバーのかかったものを見た。書影は2012年9月23日付「太宰治『走れメロス』の文庫本(3)」に貼って置いた。
 この梅氏のカバーが現在書店にも出ているが、これは2012年6月2日付(04)に触れたように「太宰治 生誕100周年」を記念しての改装で、その時期はAmazon詳細ページに「発売日: 2009/05」とあるところよりして、平成21年(2009)5月と思われる。
 そうすると、角川文庫14732の改装は、望月氏装画→松山氏写真→梅氏写真→生田氏写真→梅氏写真、という変遷を辿っている、との筋が引けそうである。そして、松山氏写真のカバーまでが『人間失格・桜桃』で、梅氏写真に改装するに際して、標題を『人間失格』のみにしたのである。これはカバーだけではなく本体にまで及ぶ改訂であり、2012年6月27日付(08)に指摘した196頁から195頁に圧縮するための「年譜」の改訂も、この改装・改題と同じ時機に行われたもののようだ。うっかり2012年9月23日付にて、平成21年(2009)6月15日付の本書についてのAmazonレビューに「表紙が松山ケンイチさんなので注文しましたが、まったく違う表紙のものが届きました」とあるのに対して、望月氏のカバーに戻していたのだろう、などと書いてしまったのだが、そうではなくて梅氏のカバーの掛かったものが届いたのだろう。
 カバーは表紙と表紙折返し下部にゴシック体で2行「カバー写真/梅 佳代」「カバーデザイン/祖父江 慎 +cozfish」とあるのが改版十四版と異なるのみ、本体についてもこれまでのメモを参照するに、改版十四版と同じらしい。比較の機会があれば追記する*1

*1:2014年4月29日追記】梅氏のカバーの掛かった改版十四版を見た。カバー・本体ともにこれまでのメモに同じ(らしいが、生田氏写真のカバーの掛かった改版十四版や、改版八版の梅氏のカバーと比較する余裕がなかった)。