・初版(河出書房新社)
『半生の記』昭和四一年一〇月一〇日初版印刷・昭和四一年一〇月一五日初版発行・定価三八〇円・217頁・四六判上製本。
9月27日付(2)と9月29日付(3)は、昨年準備していたのだがそのままにしていた。漸く初版を借りることが出来たので、投稿したのである。
図書館蔵書だから函はない。硫酸紙が掛けてあったらしく、表紙と裏表紙の見返しに糊付けしてあった硫酸紙を剥がした痕がある。
漂白していない麻布装の表紙で表紙の中央に明朝体で「半生/の記」と、右をやや高くして縦組みで標題を入れる。背表紙にはやはり赤の明朝体で中央にやや小さく著者名、1字分空けてその上に標題。増補版・新装版は丸背であるが、初版は角背である。
見返しは焦茶色。
アート紙の扉の中央やや上部に、表紙と同じ配列で一回り小さく標題、その右に著者名が、中央下部に小さく「河出書房」と、黒の明朝体の太字で入る。裏は白紙。
ついで口絵で、余白なしで白黒の松本氏の写真。これは新装版のカバー表紙の左上及び扉の左上に、縮小して主要部が使用されている。新装版に掲載されているものではよく分からなかったが、総絞りの着物で、両腕を頭の後ろに回していて、顔の手間に見えているのは右肘で、顔の後ろに見えているのは左腕の下膊である。やはり裏は白紙。
1〜2頁(頁付なし)目次は一件組み直されており、増補版(及び新装版)は1頁に10章、2頁に9章を並べているが、初版は1頁に9章、2頁に7章と1字下げで一回り小さく「あ と が き 二〇九」半角漢数字は他の章と同じ大きさ。すなわち増補版(及び新装版)は3章増補して「あとがき」を省いているのである。
3頁(頁付なし)扉に標題、これも増補版(及び新装版)は組み直している。5頁から本文で、新装版に比較するに印刷が薄い印象を受けるが同版。208頁まで。
209〜217頁「あとがき」は1頁15行、1行40字。内容は新潮文庫の「あとがき」に一致する。新潮文庫版については2012年10月31日付(1)にメモして置いた。今、手許にある新潮文庫1909『半生の記』②三十三刷の180〜188頁と比較して見る。
行数字数が異なるが、初版213頁と新潮文庫②184頁は一致。また初版209〜210頁と新潮文庫②180〜181頁、211〜212頁と新潮文庫②182〜183頁も一致。初版214頁以降もそんなにズレていない。
異同は振仮名の増補で、初版にあった振仮名は211頁1行め「はたち」と216頁6行め「くわじ」の2つだけで、ぞれぞれ新潮文庫②182頁1行めと187頁6行めにそのまま採用されている。増補されているのは新潮文庫②180頁11行め「あいさつ」181頁9行め「わず」14行め「しりき」182頁13行め「ほうき」183頁2行め「てちよう」8行め「つい」14行め「は」15行め「あきら」184頁11行め「あ」12行め「あくたがわ」14行め「へいきしよう・かや」15行め「としぶうちわ」185頁1行め「あしへい」9行め「からだ」10行め「な」14行め「しよせん」16行め「きくまくら」186頁1行め「た」4行め「いとこ」9行め「こせんきよう」12行め「なみだ」16行め「なお」187頁3行め「な」4行め「きせる」6行め「ふすま・くわじ」7行め「ほうき・なまり」8行め「そば」10行め「しにぎわ」11行め「しゆうと」14行め「き」188頁1行め「ひとみ」。
それから括弧の使用法が異なる。初版211頁5行め「「週刊朝日」で」新潮文庫②182頁6行め「『週刊朝日』で」の如く、初版では以下、誌名「別冊週刊朝日」「三田文学」「文芸春秋」を鍵括弧で括っていたのを、新潮文庫版②は全て二重鍵括弧に改めている。作品名は初版も新潮文庫版②も二重鍵括弧で、題名は213頁10行め「あとの『或る小倉日記伝』が/」新潮文庫②184頁11〜12行め「あとの『或/る「小倉日記」伝』が」*1及び213頁12行め「『或る小倉日記伝』の」新潮文庫②184頁13行め「『或る「小倉日記」伝』の」が異なるのみ。
末尾、新潮文庫版②は188頁2行めまで本文で、1行分空白で3行め、下詰めで「松 本 清 張 」とあるが、初版は217頁3行めまで本文、4行め2字下げで若干小さな活字で「一九六六年九月六日」、5行めは下詰めでやや大きく「松 本 清 張 」とある。
この「あとがき」が、同じ版元の増補版・新装版には採られず、別の連載からの抜粋に代えている。
奥付の前の頁は白紙で初出などは示されていない。
奥付の形式は増補版・新装版とは全く異なっていて、上部に縦組みで、明朝体で標題、4.1cmの縦線があって、ゴシック体で「昭和四一年一〇月一〇日初版印刷/昭和四一年一〇月一五日初版発行/著 者 松本清張/発行者 河出朋久/印刷者 奥村正雄/発行所 株式会社河出書房新社/東京都千代田区神田小川町三の六/振替東京一〇八〇二/電話東京(二九二)三七一一」著者から発行所までは若干大きな活字である。なお、扉には「河出書房」とあったが奥付は「河出書房新社」である。また4.1cmの縦線があって「定価 三八〇円 ©1966」定価も著者と同じ大きさ、数字等は横転。下は余白で、裏に広告等はない。(以下続稿)
*1:ルビ「あ」。