・岩波少年文庫613『最初の舞踏会 ホラー短編集3』
- 作者: 平岡敦,佐竹美保
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2014/11/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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岩波少年文庫の「ホラー短編集」シリーズの3冊めで、既刊2冊は英米の作品の金原瑞人編訳であったが、本書はフランス文学翻訳家の平岡敦編訳でフランスの作品を集めている。
3〜5頁「も く じ」の最後(5頁8行め)に「カバー・挿画 佐竹美保」とある、佐竹美保(1957.5.5生)のカバー表紙に惹かれて手にしたのではなくて、その「も く じ」を見て、収録されている15篇の最後「イールの女神像*1 プロスペル・メリメ 187 」に目を留めたからであった。
187頁(頁付なし)は上部に横組みでブーケ斜体の題*2と作者名があり、その下に大きく挿画(10.0×6.0cm)がある。佐竹氏の挿画は各作品に1つ、扉の題と作者の下にペン画で作中の場面を描く。クライマックスのこともあれば、恐怖に遭遇する現場に、何も知らない主人公が向かっている場面だったりする。本作の場合、――夜、通りかかった2人の若者の1人がこの女神像に石を投げ付けたところ、跳ね返った石がその男にまさに当たろうとする場面(205頁)を、女神像の背面とともに描いている。
188頁(頁付なし)は横組みで上部に作者の略伝、中央やや下に原題、収録作品集名、発表年(作品集の刊年ではない)を示す。
189〜247頁が本文、1頁14行、1行40字。
249〜254頁は「二〇一四年十月」付の「訳者あとがき」。1頁15行、1行42字。本作に関する箇所(254頁3〜5行め)を抜いて置こう。
メリメの「イールの女神像*3」は悪意に満ちた表情の女神像をめぐって、なにか奇怪な事件が/起こりそうな雰囲気がじわじわと盛り上がっていく読みごたえのある作品だ。伏線の張り方も/うまいので、じっくり読んでほしい。
昨年、本書を見掛けて久し振りに再読してみたが、衒学趣味の嵌り具合に、やはり惚れ惚れしたのであった。(以下続稿)