瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

小金井喜美子『鴎外の思ひ出』(5)

 1月10日付(3)に見た口絵について、1月17日付「小金井喜美子『森鴎外の系族』(5)」と同様に新潮日本文学アルバム 1『森鴎外と対照して置こう。
 1頁めの集合写真は『森鴎外の系族』口絵5頁めと同じ。
 2頁めの写真は右側の人物の説明がなかったが『新潮日本文学アルバム』46頁右上に、左脇上寄せに明朝体縦組みで「有馬頼寧(亀井家と縁戚)と。明治26、27年頃」とのキャプションがある。しかしながら、有馬頼寧(1884.12.17〜1957.1.9)は明治17年(1884)生で、明治27年(1894)12月にやっと満10歳である。しかし写っているのは7頭身近くある若者で、若くても10代後半にしか見えない。撮影年か、人物のどちらかが間違いだろうと思うのだが私には俄に分からないので、今は疑問としてここに指摘して置くに止める。
 3頁め左上の喜美子の洋装の写真は、腹部から上を切り取って『新潮日本文学アルバム』9頁上中に「妹喜美子」のキャプションを下に明朝体横組みで付して載せてある。

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 奥付の左上にある「著者略歴」については1月14日付(4)に触れた。奥付は右下の、四隅の切れた子持枠、初版(8.5×4.8cm)は縦線6本で7行(1行0.7cm)に仕切り、再版(8.5×5.4cm)は縦線7本で8行(1行0.7cm)に仕切る。1行めは「 鴎 外 の 思 ひ 出        定価 四百五十円 」で一致。2行め、初版「 昭和三十一年一月二十九日発行」再版「 昭和三十一年一月二十九日初版発行」。再版の3行めが追加で「 昭和三十一年四月 十 日再版発行」。初版3〜6行めは再版4〜7行めに一致で「 著 者  小 金 井 喜 美 子/ 発行者  八  木  敏  夫/ 印刷者  下  谷  修  久/ 製本者  矢  島  三  朗」。最後の1行の上部「 発行所 〈株式/会社〉 八 木 書 店 」は一致、その下の割書、右側「東京都千代田区神田神保町一ノ四五」も一致するが左側は漢数字は半角で初版「電話東京(29)五四五八・八三五六・八四〇八」再版「電話東京二九局(29)二 九 六 七 番(代表)」。子持枠の外、この電話番号の左に「 装 幀 松坂屋上野店考案部 」と添えるのは一致。また子持枠の下に横組みで「(本製島矢・刷印社会式株刷印修千)」と添えるのも同じ。
 子持枠の上に、初版(3.0×3.0cm)再版(3.3×3.2cm)ともややいびつな鋏で切ったらしき和紙の検印紙を貼付、朱の白文方印「小金/井」は一致。
 奥付の前は白紙、裏も白紙。さらに白と橙色の遊紙が各1枚ある。(以下続稿)