いよいよ「はてなダイアリー」は停止されることになり、このままブログを止めるか、それとも何処かへ移行するかで迷っているのだが、一番困っているのは下書き記事が約1000件ある(!)ことで、――と云っても、数ばかり多くて殆どが断片、中にはタイトルだけで本文のないものも少なくないのだけれども、やっと350件をワープロに移した。もっと効率的なやり方があるのかも知れないけれども、なかなか手間である。とにかく久し振りに下書き記事のタイトルを通覧して、少々「はてなダイアリー」のうちに投稿して置こうと思ったのである。
以下の記事は2011年3月13日18時20分に登録して21時52分に保存し、そのままになっていた。2011年3月12日付「新聞夕刊の日付(1)」の続きだが2011年3月13日付「節電(?)」に述べたような事情で見送り、その日のうちに纏めたのだけれども、原注に指摘している誤写らしきところをデータベースで再確認してから投稿しようと思って保留にしているうち、2011年3月19日付「森鴎外『雁』の文庫本(4)」2011年3月22日付「幽霊と妖怪」2011年3月31日付「平山蘆江『東京おぼえ帳』(4)」に述べたように図書館の開館時間が短縮されて、なかなか見に行けないでいるうちに8年近く経ってしまったのである。やっぱり誤写の確認はしていないままだけれども、以下に全く修正せずに上げてしまって、その上で機会があれば注もしくは別記事で訂正することにする。
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大正12年(1923)9月1日11時58分に発生した地震により東京では新聞が発行出来なくなったため、「聞蔵Ⅱビジュアル」の「朝日新聞縮刷版」のうちの「明治・大正」は、helpページの「明治・大正期の紙面データベースについて」の「(2)書誌データ」に、
東京紙面の記事および広告は、日付、見出し、キーワード、分類などの書誌データが付与されており、検索が可能です。
大阪紙面については、1879年1月25日の創刊号から東京朝日創刊までの記事・広告と、全期間から選定した重要記事約2000件、一部号外、関東大震災の影響で東京本社から紙面が発行されていない1923年(大正12年)9月2日〜25日の記事・広告の書誌検索ができます。
それ以外の大阪紙面は、書誌データとして日付・面名と朝夕刊などの刊種だけを付与してありますので、日付を指定することで紙面イメージを検索してください。
とあるように、大正12年9月2日(日曜日)付の紙面は、普通は検索ではヒットしない「大阪朝日新聞」の、第14990号が検出される。この9月2日付第14990号、朝刊・夕刊ともに同じ号数(これは現在でも同じ)であるが、これが「聞蔵Ⅱビジュアル」には朝刊・夕刊の順に収録されているのだが、その、朝刊が地震の記事だらけになっているのは当然として、夕刊は(一)面のコラム「プリズム」に、
本日正午の地震で、東京大新聞/の電信電話が全部普通になつた/が、震源地は東京方面だといふ/から、エビツなり權兵衛内閣*1/なんか一番先きに潰れちまつた/らう。
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伯林に獨逸婦人經營の日本學生/專門の下宿屋があり、……
と至って呑気である。(二)面に至って初めて、
本州に稀有の強震
東海道鈴川驛附近
一尺以上も陷沒す
東部方面の状況不明
との見出しで、上半分を費やした記事が出る。しかしこの鈴川駅というのは今の吉原駅(静岡県富士市)で、「聞蔵Ⅱビジュアル」震災当日9月1日に収録されている大阪朝日新聞「號外」(無番、第二〜第四の4種)よりも呑気な記事である。これはいったいどういうことか。
と、これは9月2日付夕刊(一)面の題字の下をよく見れば分かるのだが、9月2日付で、朝刊と同じ号数(第一萬四千九百九十號)だけれども、「九月一日」の「夕刊」なのである。
このことについては、先に触れた「明治・大正期の紙面データベースについて」の「(1)収録紙面と紙面構成」にリンクしてあるPDF「■紙面の建て・段数などの変遷」を見るに、「大阪紙面」の「大正4年10月」条に、
夕刊発行(10日発行、日付は11日)
※この時期の夕刊は紙面上の発行日付の1日前の午後に配達されている。同一日付の発行順序は夕刊→朝刊の順番になる
とあり、「東京紙面」の「大正10年2月」条にも、
夕刊発行(1日発行、2日付)。※この時期の夕刊は紙面上の発行日付の1日前の午後に配達されている。同一日付の発行順序は夕刊→朝刊の順番になる
とあって、一応注意はされている。しかし、「聞蔵Ⅱビジュアル」の収録順が朝刊→夕刊の順なのだから、あまり注意深くなく、このような知識をもともと持っていない人は、さすがにこの関東大震災の9月2日付記事なら気付くだろうが、それほどでもないような事件報道などであれば、奇異に思いながらも(或いは、思いもせずに)そのまま朝刊→夕刊の時系列で考えて、済ませてしまいかねない。
さて、このデータベースだが、「朝日新聞縮刷版」と名乗っているものの、実は当時発行されていた『朝日新聞縮刷版』そのままではないのである。(以下続稿)
*1:誤写か、後日確認。