瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

太宰治『斜陽』の文庫本(06)

新潮文庫261(6)
 さて、新潮文庫261『斜陽』について、7月2日付(2)の段階での版に分けられると見て、7月15日付(4)が途中で評伝や年譜が加わったり、作品解説が差し替えられたりしている、と指摘した。たぶん、これは正しい。のだけれども、7月16日付(5)楽天オークションに出ていたものをだと言ってしまったのは、間違いであった。
 これまで見てきた感じでは、新潮文庫は大抵、昭和20年代歴史的仮名遣いで発行されたものが、昭和42年頃から現代かなづかいに改版され、そして昭和末〜平成初年に再度改版され、そして平成10年代に三度改版され、……というパターンだった。例えば、新潮文庫で最も増刷回数の多い新潮文庫443『人間失格』も、7月7日付「太宰治『人間失格』の文庫本(09)」で見たように、このパターンで間違いない。だから、『斜陽』も同じだろうと予測したのである。
 他に2011年3月16日付「森鴎外『雁』の文庫本(3)」で見た新潮文庫46『雁』も同様である。
 しかしながら、そうでないパターンもあった。たぶん確定と見て良いものを例にして見るに、2月8日付「中島敦の文庫本(11)新潮文庫1895『李陵・山月記』は、昭和40年代発行だが、昭和50年代前半に改版、昭和末〜平成初年、平成10年代、というふうに改版している。それから昭和20年代発行のものでは、新潮文庫83『ヰタ・セクスアリス』は2月29日付「森鴎外『ヰタ・セクスアリス』の文庫本(1)」で見たように昭和40年代改版、平成初年改版、平成20年代改版、新潮文庫373『硝子戸の中』は3月11日付「夏目漱石『硝子戸の中』の文庫本(1)」で見たが昭和40年代改版、平成10年代改版、平成20年代改版、であった。
 それはともかく、新潮文庫261『斜陽』であるが、最初に想定したより1回改版の回数が多かった。そこで、以下に7月2日付(2)に示したものの改訂版を示す。
昭和二十五年十一月二十日発行
昭和四十二年七月二十日三十九刷(172頁)定価80円
昭和五十四年十二月十五日七十版改版(191頁)
・昭和六十一年五月三十日八十一刷・定価220円
昭和六十二年五月二十五日八十二刷改版(206頁)
・昭和六十三年五月二十五日八十四刷・定価220円*1
・平成元年六月五日八十六刷・定価214円
・平成九年五月二十日九十六刷・定価324円*2
・平成十二年五月三十日百刷・定価324円
・平成十四年五月二十五日百二刷・定価324円*3
平成十五年五月三十日百四刷改版(244頁)定価324円*4
・平成十六年五月三十日百七刷・定価324円
・平成十七年十一月五日百九刷・定価324円*5
・平成十九年十一月十五日百十四刷・定価324円*6
・平成二十年六月十日百十五刷・定価324円*7
・平成二十年七月三十日百十六刷・定価324円*8
・平成二十一年十一月二十日百二十四刷・定価324円
 7月16日付(5)に示した、昭和55年(1980)の「新潮文庫の100冊」の帯のあるものはではなくである。ここまでのところ、③④④⑤に、としたものの一部はに訂正しないといけない。気が向いたら注記の上、修正するか、断り書きを入れて本文はそのままにするか、したい。
 改版の頻度、の間が詰まっているが、7月16日付(5)で見たように、と1頁の行数と1行の字数が同じだった。本文を見るに、最初の頁(5頁)は全く同じである。すなわち、昭和40年代の組み方のまま改版したので、昭和末に文字を大きくする改版が行われた際に、10年経っていなかったが引っかかってしまったようだ。最終的にが166頁15行めまでだったのがは168頁1行めまでで、1頁と4行分のズレになっている。その細かいところは、そのうちに確認してみたい。(以下続稿)

*1:12月18日追加。

*2:2014年7月4日追加。

*3:2013年3月13日追加。

*4:2016年3月1日追加。

*5:2016年4月7日追加。

*6:7月31日追加。

*7:9月30日追加。

*8:2016年4月8日追加。