瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

永井荷風『濹東綺譚』の文庫本(01)

 永井荷風『濹東綺譚』については、以前、駒村吉重『君は隅田川に消えたのか』を批判した際に、当時の都市交通発達の資料として触れておく必要があると思ったのでした。私は駒村氏の本はいけないと思っていて、いろいろ難点があるのですがまず第一に地下鉄や市電などの交通機関の利用が奇怪なまでに考慮されていない点で、2011年8月16日付「駒村吉重『君は隅田川に消えたのか』(09)」及び2011年8月18日付「駒村吉重『君は隅田川に消えたのか』(10)」、そして主人公の失踪に絡んだ肝腎なところである2011年8月20日付「駒村吉重『君は隅田川に消えたのか』(12)」に疑問点を表明して置きました。その後、2011年7月24日付「駒村吉重『君は隅田川に消えたのか』(01)」に言及した大谷芳久『藤牧義夫 眞僞』を見る機会があって、時間がなく気になったところだけをざっと見たのですが、大谷氏の本では私が駒村氏の本でおかしいと思ったところに変な推測は示されておらず、かつ資料の大半は大谷氏の本に集められていて、例えば私が駒村氏に本に対して疑念を抱くきっかけになった2011年7月25日付「駒村吉重『君は隅田川に消えたのか』(02)」に指摘した天候の問題も、大谷氏は「秋空遠からじ」をそのまま載せて、大雨だったなどという根拠薄弱な想像は決して巡らしたりはしないのです。すなわち、あの本の内容は、やはり大谷氏本人によって(或いは同日の記事にコメントを下さった玉乗り猫氏によって)書かれるべきだったのだ、と2012年2月上旬に神奈川県立近代美術館(鎌倉)に「生誕100年牧義夫モダン都市の光と影」の前期展示を見に行って、ミュージアムショップにあった大谷氏の本の見本を手に、血液が逆流するほどの憤慨を覚えたものでした。
 私はもともと血気盛んで、それで若い頃はよくしくじったので、とにかく間を置いて気持ちを落ち着けてから、と考えて、最近は血圧が100以下の低血圧なので昔のように一瞬、瞬間湯沸かしのように血が上ったとしても、そのまま何もせずにいるとそのうちどうでも良くなってしまうというパターンで、今はいろいろなことをやり過ごしているのです。
 それはともかくとして、個人的なほとぼりの冷めたところで改めて、『濹東綺譚』について少々取り上げてみようと思ったのです。
新潮文庫290(1)
①昭和二十六年十二月二十五日発行(111頁)
・昭和三十九年四月二十五日十九刷 定價60圓

・昭和五十一年四月一日発行(高校図書館用)110頁
③昭和五十三年四月十日四十刷改版(123頁)
・昭和五十三年十一月十五日四十一刷 ¥140*1
・昭和六十一年十月三十日五十五刷 定価220円
・平成四年一月五日六十刷 定価272円*2
・平成五年五月二十日六十五刷 定価272円
・平成六年七月十日六十七刷 定価272円*3
・平成七年七月十五日六十九刷 定価311円
・平成十一年六月二十五日七十三刷 定価324円
・平成十三年八月二十日七十五刷 定価324円
・平成十五年十二月二十五日七十七刷 定価324円*4
・平成二十年八月五日八十刷 定価324円
・平成二十二年一月十日八十一刷 定価324円

ぼく東綺譚 (新潮文庫)

ぼく東綺譚 (新潮文庫)

④平成二十三年十月五日八十二刷改版(142頁)定価324円
・平成二十九年五月二十日八十五刷 定価370円*5

*1:4月8日追加。

*2:3月31日追加。

*3:2017年9月18日追加。

*4:2017年10月14日追加。

*5:2018年6月20日追加。