瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

遠藤周作『わたしが・棄てた・女』の文庫本(3)

講談社文庫(3)
 昨日の続きで本体について。
 1頁(頁付なし)扉、私が見たうちでは第19刷のみ古いレイアウトで、横組みで上部(天から1.7cm)に横長のゴシック体で「講談社文庫」に下線。以下、扉で使用されているゴシック体は同じ横長で小さいもの。下線から1.5cm下に縦長の明朝体で標題、その下にゴシック体で著者名、中央やや下に「||◆|◆|◆||」横線(5.0cm)に挟まれて◆は講談社文庫のマークでカバー裏表紙と同じく左右に広がるようなった対が1段に3つ、合計18個のマークが並べられている。下部(地から1.3cm)にゴシック体で「講談社」。第53刷から第94刷までは一致。
 3頁(頁付なし)「目次」から272頁までは、第19刷と第53刷以降の諸刷も一致。
 第19刷と第53刷以降の諸刷の頁数が異なるのは273頁から始まる2段組の「年 譜」が異なるからで、第19刷は279頁上段7行め〜下段1行め「 昭和四十七年 一九七二年    四十九歳 」条までで、最後、上段20行め〜下段1行め「‥‥。十二月、『わたしが・棄て/た・女』を講談社文庫に収録。」となっており、1行分空けて下詰めで2〜3行め「古 林 尚 編/(昭和47・12)」とある。第1刷より存していたものであろう。
 第53刷は286頁上段、1行め〜8行め「 昭和五十七年 一九八二年    五十九歳 」条までで、1行分空けて9〜10行め「広石廉二 編 /(昭和57・7) 」とある。第19刷のように講談社文庫を特筆するような記述はない。昭和57年(1982)に差し替えられたものと見当が付けられる。
 この「年 譜」は第94刷に至るまでそのままになっているが、286頁下段の左側に、私の見たものでは第77刷以降の諸刷には、第53刷にはなかった次のような断り書が追加されている。

この作品は、今日の観点からみると、差別的表現/ととられかねない箇所がありますが、当時の風俗、/言語を残すために、やむをえざる部分のみ、それ/をそのままに致しました。作者の意図は、決して/差別を助長するものではありません。読者のご賢/察をお願い致します。また、ハンセン病癩病)/には、現在は特効薬があって、完全に治癒するこ/とを付記します。――――――ー著者・文庫出版部


 古林尚(1927.11.20〜1998.12.30)と広石廉二(1931〜2003.8)の「年譜」にはいろいろと異同があるが、今は詳細に及ばないことにする。
 第19刷は1頁白紙で奥付、全て横組みで上部は余白、中央やや上、左側に、中を横線で上下に仕切って、上下の枠に2つずつ講談社文庫のマークが外側を根本にして横転して入っている子持枠(0.8×0.8cm)があり、その下に横長のゴシック体で「講談社文庫」とある。この子持枠の右にゴシック体で4行、まず1行めに標題「わたしが・棄てた・女」がやや大きく、次いで著者名と発行日が第1刷と第19刷の2行。この下に少し離れて「発行者 野間省一/発行所 株式会社講談社」株と同じ位置から「東京都文京区音羽2-12-21電話 東京 (03)945-1111(大代表)振替 東京 8-3930」。発行者と同じ位置から「デザイン 亀倉雄策製  版  豊国印刷株式会社印  刷 廣済堂印刷株式会社製  本 株式会社若林製本工場」少し空けて「©Shusaku Endo 1972Printed in Japan」少し空けてゴシック体で「定価はカバーに表示してあります。/(落丁本・乱丁本はおとりかえします)」とある。
 第53刷以降は現行のレイアウトになっている。上部に二重線。その下に第82刷・第90刷・第94刷には著者の紹介文があるが第53刷・第77刷は余白。
 異同はそれぞれの発行日の他、第53刷「© Shusaku Endo 1972」*1が第74刷では「© Junko Endo 1972」となっており、第90刷までは「発行者――野間佐和子」であったが第94刷「鈴木 哲」になっている。第53刷「112-01」*2が第77刷「112-8001」、「電話」は第53刷「出版部(03)5395-3509/販売部(03)5395-3626/製作部(03)5395-3615」であったが第74刷は「出版部(03)5395-3510」が異なる*3。第82刷はさらに「販売部(03)5395-5817/業務部(03)5395-3615」に変わっている。その下の「落丁本・乱丁本」に関する4行、第53刷・第77刷「小社書籍製作部あて」が第82刷「小社書籍業務部あて」に変わっている他は同文。第90刷では書き改められて第94刷も同文。
 最下部にカバー裏表紙と同じISBNコードがあって、二重線。その下に第74刷より、第53刷にはない「本書の無断複写(コピー)は著作権法上での例外を除き、禁じられています。」が追加されている*4
 奥付の裏には「講談社文庫刊行の辞」、双郭で第19刷は11.6×7.7cm、第53刷以降は12.0×7.9cm。
 目録、第19刷は6頁、上部にゴシック体横組みで「講談社文庫 目録」とあって左右に外に開いた講談社文庫のマーク。頁付はその小口側に「6A−1(〜6)」。3段組で標題とやや小さく著者名を列挙。1頁め上段に1行空けて3行取りで「A 日本文学」とあり、5頁め上段まで、5頁め中段から「AX 推理・SF・ミステリー」6頁め上段まで、6頁め中・下段は「AA 児童文学」。配列は50音順でも生年順でもなく「遠藤周作」は2頁め中段12点めから下段1点めまでの13点14冊で、標題のみ挙げて置くと中段が「海と毒薬/白い人・黄色い人 ほか二編/哀歌/わたしが・棄てた・女/ユーモア小説集/第二ユーモア小説集/青い小さな葡萄/怪奇小説集/ただいま浪人/どっこいショ/快男児・怪男児(上)(下)/ぐうたら人間学」で下段が「ぐうたら愛情学」、カバー裏表紙折返しと比較するに「C」分類になっている『聖書のなかの女性たち』と、最後に挙がっていた『第三ユーモア小説集』がない。
 第53刷以降の諸刷には目録がない。(以下続稿)

*1:2015年1月6日追記】第69刷も同じ。

*2:2015年1月6日追記】第69刷も同じ。

*3:2015年1月6日追記】第69刷も同じ。

*4:2015年1月6日追記】第69刷も同じ。