瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

TRUE CRIME JAPAN『情痴殺人事件』(1)

 昨日ネット上で見付けた文献の紹介に進んでも良いのだけれども、やはり私は形のある本で、出来ればなるべく初版に近い本で確認したいので、しばらく後回しにして、多摩美術大学の怪談について確認した折に借りた次の本について、気になったところをメモして置く。
・TRUE CRIME JAPAN 4『情痴殺人事件』一九九六年四月十日第一版第一刷発行・定価1,748円・同朋舎出版・237頁

情痴殺人事件 (TRUE CRIME JAPAN)

情痴殺人事件 (TRUE CRIME JAPAN)

 以前図書館で、立ち読みしたことがあったが、この機会に借りてみた。11月10日付「校舎屋上の焼身自殺(18)」に触れた佐藤清彦『にっぽん心中考』も、隣に並んでいて、やはり立ち読みしたことがあったのだが、ついでに借りて来た。
 どの事件も何となく知っている。もちろんリアルタイムで、ではなく、何かで読んで知っているのである。
 著者名は奥付には「作 者 斎藤 充功/土井 洸介*1」とあり、カバー表紙及びアート紙の扉には「斎藤充功/土井洸介/【共著】」とある。
 1頁(頁付なし)「目 次」に続く見開き2〜3頁「序」は末尾、3頁12行めに1字下げで「一九九六年春寒」13行めに下寄せでやや大きく「監修者 斎藤 充功 」とある。
 本書で扱っている事件については、2頁8〜13行めに、

 本書は『TRUE CRIMEシリーズ日本版』の第四巻で、収録した事件は『芸/能人の愛人殺し』『医者による女医殺し』『大学助教授の愛人殺し』『高校教師のソープ/嬢殺し』『愛人の子殺し』の情痴殺人五編である。また、ここで登場する犯人は歌手で/あり、医者であり、大学助教授や高校教師、そして一人はセカンドワイフで、裁判は/すべて結審しており、一家四人心中で自らの犯罪に終止符を打った一人と現在服役中/の一人を除き、他の三人は出所して社会復帰を果たしている。

とあって、海外の企画の日本版であることが分かるが、この「収録した事件」は、実際には4〜65頁「第一章 千葉大女医殺人事件/藤田 正・フィリピンダンサーの虜になった理由」、66〜99頁「第二章 高校教師教え子殺人事件/久世繁仁・貢がせたあげく四角関係を精算」、100〜149頁「第三章 墜ちた星――愛人殺害事件/克美 茂・空前絶後の芸能スキャンダル」、150〜187頁「第四章 大学助教授教え子殺人事件/大場啓仁・一家四人心中の凄惨な結末」、188〜235頁「第五章 愛人の子殺人事件/八巻良枝・きまじめな愛欲の果て」の順に並んでいる。
 この5つの事件は、カバー表紙の中央下部にはゴシック体横組みで白抜きで「'73.7.20/大場啓仁/立教大学助教授教え子殺人事件/'74.10.17/八巻良枝/愛人の子誘拐殺人事件/'76.5.5克美茂/芸能人愛人殺人事件/'83.1.7/藤田正/千葉大女医殺人事件/'86.10.11/久世繁仁/高校教師教え子殺人事件」と、発生順に並んでいる。
 ところで「他の三人は出所して社会復帰を果たしている」とあるが、刊行時までに出所していたのは2人で、1人は拘置所で自殺している。この自殺者を数え忘れ、無期懲役で服役中の高校教師の共犯を誤って勘定に入れてしまったものと思われる。(以下続稿)

*1:ルビ「さいとう  みちのり/ ど い こうすけ」。