祖母は同じシリーズの本はある程度、纏めて保管していたのだが、順番に並べておらず(しかし、これまで見て来たように時代小説のシリーズは番号を打っていないことが多く、並べにくいと云うことはある)途中の何巻かが別置されていたりする。私にはそもそも知識がないので、何冊出ているのか、祖母が揃えていたのかどうかも分からない。とにかく纏まって置いてあるのを持ち帰って、そこで初めて、そのシリーズについてネット検索して、どの程度持っていたのかを知る。初刷から買っているシリーズはほぼ揃えていることが多いようだ。しかし何年も経ってから冊数の多いシリーズを集め始めたような場合、揃える前に止めてしまったことが多いらしい。
次のシリーズは、まず左側のクローゼットの手前に並べてあった9冊ぐらいを持ち帰り、次にクローゼットの奥を探って、さらに10冊ばかりを掘り出した。しかし、まだ1冊足りない。あるはずだと思っている。
そして、例によって1冊ダブっていた。何故か祖母は、シリーズ物の1点か2点、ダブりで買っている。いや、まだ持っていないつもりで買ってしまったのだろうけれども。
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2022年8月21日に Wikipedia から書目の一覧を copy&paste し、8月22日に、以上の前置きを書いたままになっていた。
その後、見付かっていなかった1冊(⑯)もやはりクローゼットの中で、横積みになっている他の本に紛れているのを見付けたのだが、当時は古書に対する幻想が少々あったので、倒産した社会思想社から出ていた現代教養文庫の全揃いの方が価値があって、ブックオフに持ち込むよりも古本屋の方が高く買ってくれるのではないか、と思っていたのである。全冊早々に持ち帰っていたので、昨2023年7月、退去直前の祖母宅に来てもらった2軒の古本屋には見せていない。しかし、どうも翻訳は売れないらしいことと、そして本シリーズは社会思想社倒産後に光文社文庫から再刊されていて、祖母の本は汚くはないが、よく読んだらしくそれなりに草臥れているので、採ってもらえないかも知れないし、ブックオフとてどうだか分らない、と思って何となくそのままにしていたのである。
世界史好きの私としては、興味がない訳ではないのだけれども、20冊を例によってメモを取りながら読み通す余裕が今後もありそうにないので、思い切って処分することにした。日本の古本屋を見ると、1~2冊欠けているものが5000円、3冊欠いているものが7880円で売りに出されている。1冊でも最低300円、最高では1000円である。そうすると祖母の揃いは10000円はしないと釣り合わないように思うが、まぁ仕方がない。先日も若い古本屋の方に、約束していた分を漸く持ち込んだのだが、400円にしかなからなかった。しかし店頭では最低でもその10倍、下手をすると10000円かそれ以上で並ぶのだろう*1。評価してもらっている間、店内を見て回ったのだが、祖母宅に来てもらったときに、ベテランの古本屋の方も嫌がって採らなかったような本が、結構な値段で並んでいる。どうしても複雑な思いを禁じ得ないが、さりとて自分でオークションサイトに出品して、等と云ったことをする余裕もないし、このまま置いておいても仕方がない。
以下、今後(多分見ないと思うけれども)見たくなったときに手にするであろう図書館蔵書では保管されていない可能性の高い帯を中心にメモして置く。他の巻に言及する場合は丸数字で挙げることとし、同一仕様が継続する場合は初出時にメモして繰り返さなかった。また帯は⑲まで白地に単色刷だが色を再現する煩を省いた。
現代教養文庫 ミステリ・ボックス『修道士カドフェル・シリーズ』社会思想社
・現代教養文庫 3001/F 001 1『聖女の遺骨求む』大出健 訳 1990年11月30日 初版第1刷発行・1993年2月28日 初版第4刷発行・定価544円・318頁
・現代教養文庫 3002/F 002 2『死体が多すぎる』大出健 訳 1991年1月30日 初版第1刷発行・定価621円・356頁※ 帯あり「ミステリ・ボックス」青、表紙側折返しは①に同じ、裏表紙側折返しは泡坂妻夫著『魔術館の一夜』の広告、その脇に「社会思想社刊」とあって③のような専用の帯ではない。裏表紙側は横組みで「<別冊『宝島』 このミステリーがすごい! 92年版>/<『本の雑誌』1991年度 ミステリー・ベスト10> 等で/激賞の異色の推理小説!」として『暗い夜の記憶』と『死がかよう小道』を紹介、最下部は①から「フェア」を抜いたもの(と云うかむしろ①④が「フェア」を足したもの)で、これは⑭まで踏襲されている。
・現代教養文庫 3003/F 003 3『修道士の頭巾』岡本浜江 訳 1991年5月30日 初版第1刷発行・定価544円・317頁※ 帯あり「ミステリ・ボックス 最新刊」淡い青、専用の帯で背表紙側「ミステリ・ボックス」表紙側と同じ右下に影を付けたシリーズのロゴの下、最下部を表紙側と同じ幅で青地にしているがここに細いゴシック体で小さく「P640/(621)」と白く抜く(専用の帯でないものはここがただの青地)。また裏表紙側折返しの左側にゴシック体縦組みで小さく標題を入れている。表紙側折返しと裏表紙側は①④「フェア」の帯に同じ、裏表紙側折返しは江戸川乱歩著『探偵小説の「謎」』の広告。
・現代教養文庫 3004/F 004 4『聖ペテロ祭の殺人』大出健 訳 1991年9月30日 初版第1刷発行・1993年2月28日 初版第2刷発行・定価660円・362頁※ 帯あり「ミステリ・ボックス フェア」青、①の帯に一致。同じで②③⑨⑩⑪の帯に「フェア」を足したもの。
・現代教養文庫 3005/F 005 5『死への婚礼』大出健 訳 1991年11月30日 初版第1刷発行・1993年2月28日 初版第2刷発行・定価621円・320頁・現代教養文庫 3006/F 006 6『氷の中の処女』岡本浜江 訳 1992年3月30日 初版第1刷発行・定価621円・316頁・現代教養文庫 3007/F 007 7『聖域の雀』大出健 訳 1992年9月30日 初版第1刷発行・定価660円・330頁・現代教養文庫 3008/F 008 8『悪魔の見習い修道士』大出健 訳 1992年11月30日 初版第1刷発行・定価621円・317頁・現代教養文庫 3009/F 009 9『死者の身代金』岡本浜江 訳 1993年1月30日 初版第1刷発行・定価621円・311頁※ 帯あり「ミステリ・ボックス 最新刊」青、専用の帯、書影に同じ。折返しの広告は③に同じ、裏表紙側は横組み『ケンブリッジの哲学する猫』の広告。
・現代教養文庫 3010/F 010 10『憎しみの巡礼』岡 達子 訳 1993年3月30日 初版第1刷発行・定価621円・309頁※ 帯あり「ミステリ・ボックス 最新刊」青、専用の帯、表紙側折返しと裏表紙側の広告は⑨に同じ、裏表紙側折返しは「夢野久作の本」として4点。
・現代教養文庫 3011/F 011 11『秘跡』大出健 訳 1993年5月30日 初版第1刷発行・定価660円・325頁※ 帯あり「ミステリ・ボックス 最新刊」青、専用の帯、書影に同じ。広告は⑩に同じ。即ち裏表紙側折返し左端の標題と背表紙側最下部の税込定価/(本体価格)以外は⑩に同じ。
・現代教養文庫 3012/F 012 12『門前通りのカラス』岡 達子 訳 1993年7月30日 初版第1刷発行・定価621円・308頁・現代教養文庫 3013/F 013 13『代価はバラ一輪』大出健 訳 1993年9月30日 初版第1刷発行・定価621円・313頁※ 帯あり「最新刊」青、専用の帯。表紙側のレイアウトが今までと違い「ミステリ・ボックス」は左上に、右上に横長の青い長方形に明朝体白抜きで「最新刊」、そして左に斜めに下線付きで「大好評」と添えて「修道士カドフェル/シリーズ 第13巻!」この巻の下に定価と本体価格を添える。表紙側折返しに「夢野久作の本」4点、裏表紙側折返しは大岡昇平・編『ミステリーの仕掛け』の広告、裏表紙側は横組み、仁賀克雄の本/現代教養文庫『海外ミステリ・ジャンル/ベスト100』の広告で既刊『現代海外ミステリ・ベスト100』は増刷出来、定価は520円でこれまでに同じ。
・現代教養文庫 3014/F 014 14『アイトン・フォレストの隠者』大出健 訳 1993年11月30日 初版第1刷発行・定価660円・325頁※ 帯あり「最新刊」緑、専用の帯。表紙側は⑬に同じレイアウト、裏表紙側は⑬に同じ。表紙側折返しは横組み「ミステリ・ボックス/好評既刊」翻訳3点、裏表紙側折返しは縦組み「チャーリー・レズニック シリーズ/既刊3冊」
・現代教養文庫 3015/F 015 15『ハルイン修道士の告白』岡本浜江 訳 1994年3月30日 初版第1刷発行・定価544円・266頁※ 帯あり「最新刊」緑、専用の帯。表紙側のレイアウト「大好評」の下に丸ゴシック体でやはり斜めに「既刊14点 / 続々増刷!」と添える他は⑬⑭に同じ。表紙側折返しは横組み「現代教養文庫/好評増刷」3点(夢野久作2点と小栗虫太郎)、裏表紙側折返しの広告は③に同じ。裏表紙側は横組み『ある詩人への挽歌』の広告、全体が白地で最下部のシリーズ名・レーベル名はなくなっている。
・現代教養文庫 3016/F 016 16『異端の徒弟』岡達子 訳 1994年7月30日 初版第1刷発行・定価738円・381頁・現代教養文庫 3017/F 017 17『陶工の畑』大出健 訳 1994年11月30日 初版第1刷発行・定価699円・342頁※ 帯あり「最新刊」緑、専用の帯。表紙側は「既刊16点」の他は⑮に同じ。表紙側折返しは横組み「ミステリ・ボックス/好評既刊」として「D・M・ディヴァインの傑作話題作」2点、裏表紙側折返しは縦組みで4点、大岡昇平・編『ミステリーの仕掛け』四六判・一五四五円|泡坂妻夫『魔術館の一夜』A5判・一五四五円|日影丈吉『ミステリー食事学』教養文庫・五二〇円|間 羊太郎『ミステリ百科事典』教養文庫・六八〇円」裏表紙側は横組み「異色三人傑作選/現代教養文庫」として夢野久作・小栗虫太郎・久生十蘭。
・現代教養文庫 3017/F 017 17『陶工の畑』大出健 訳 1994年11月30日 初版第1刷発行・定価699円・342頁※ 帯あり
この⑰のみダブリで帯から何から全く同じものが2冊あった。
・現代教養文庫 3018/F 018 18『デーン人の夏』岡達子 訳 1995年3月30日 初版第1刷発行・定価738円・366頁※ 帯あり「NHK衛生TV放送予定!」緑、表紙側レイアウトは「既刊17点」と「最新刊」のところがゴシック体白抜きで「NHK衛生TV/ 放送予定!」となっている以外は⑮⑰に同じ。表紙側折返しの広告は⑰と同じ2点だが「紙誌で大反響!」としていたのを「「このミステリーがすごい!他で他で大反響」に差し替えている。裏表紙側折返し「カドフェルシリーズの解説でお馴/染み 大津波悦子+柿沼瑛子の本/2冊同時発売! ▼四六判上製」大津波氏は①から⑳そして短篇集まで全ての解説を担当、光文社文庫版の解説も大津波氏らしいが、しかし現代教養文庫版での、続々翻訳が成って刊行されて行く雰囲気を伝えた書き振りはどうなっているのであろうか。裏表紙側「 イギリス。アメリカのTV界で大反響を呼んだ /「修道士カドフェル」がNHK衛生TVで放送予定!」しかし放送内容等の情報はなくシリーズの特徴を説明、既刊分を列挙するのみ。
・現代教養文庫 3019/F 019 19『聖なる泥棒』岡本浜江 訳 1995年7月30日 初版第1刷発行・定価738円・337頁※ 帯あり「NHK衛生TV放送予定!」淡い紫、表紙側、左側のシリーズ名と「大好評」があった辺りに主役の写真。右上「NHK衛生TV/ 放送予定!」は⑱に同じでその左に「英米TV界を席巻した/話題作! /■主演 デレク・ジャコビ 」とある。最下部に「人間の数だけ、ミステリが生まれる!」のミステリ・ボックスの惹句が入っていたのはこの帯まで。表紙側折返しは横組み「ミステリ・ボックス/好評既刊」として「D・M・ディヴァインの傑作話題作」3点、裏表紙側折返しの広告は⑱に同じ、裏表紙側は「既刊18冊」となっていたところと列挙の最後を「[18]デーン人の夏(新刊) ▼現代教養文庫▼各560~760円」としていたのを「既刊19冊」そして「[18]デーン人の夏[19]聖なる泥棒 ▼各560~760円」に改めた以外は⑱に同じ。
・現代教養文庫 3020/F 020 20『背教者カドフェル』岡達子 訳 1996年1月30日 初版第1刷発行・定価738円・376頁※ 帯あり「修道士/カドフェル|最終巻/ピーターズ逝く!」赤と緑、主役の写真、書影に同じ。帯のレイアウトは『修道士カドフェルの出現』帯に同じ。背表紙側と裏表紙側・裏表紙側折返しは緑地、表紙側折返しは赤地。表紙側、上左「父と息子の絆が」上右「カドフェルを背教者に!」。裏表紙側「[ NHK・BS放送で話題の好評ミステリー ]/修道士カドフェル・シリーズ/全20巻完結」として簡単な紹介と20点列挙、裏表紙側折返し、最下部左寄りゴシック体白抜き横組みで標題。
白い厚紙の栞「Yoshiike」挟まる。
・現代教養文庫 3050/F 050 『修道士カドフェルの出現』岡本浜江・岡達子・大出健 訳 1997年2月28日 初版第1刷発行・定価520円・222頁※ 帯あり「最新刊|NHK/BS放映」橙色と深緑、主役の写真、書影に同じ、背表紙側と裏表紙側・裏表紙側折返しは深緑地、表紙側折返しは橙色地。裏表紙側は⑳に同じ。表紙側、上左「イギリス、アメリカのTV界を」上右「沸かせた人気シリーズ!」。裏表紙側折返し、最下部左寄りゴシック体白抜き横組みで「現代教養文庫/修道士カドフェルの出現」。
祖母が行きつけだった書店の感熱紙の領収書「97/03/04(火)15:39」挟まる。(以下続稿)
*1:Amazon で検索したら帯が全く残っていなくてカバー背表紙を始め全体が黄ばんだ全20巻揃いが15,976円で出品されていた。2冊を欠くが短篇集1冊を備えた19冊はカバー背表紙は綺麗で天も少し黄ばんでいる程度だが、やはり帯なしで21,000円である。もしこの値付けで良いのであれば全20巻に短篇集1冊の21冊揃いの祖母の蔵書は25000円でも良いくらいではないか。‥‥そんな訳で処分する決心が鈍り掛けたところでもう少々検索して見ると、どうもオークションサイトやAmazon、日本の古本屋に相当数の出品がある。まぁ、だぶついているのだ。それだのにふっかけるような値付けをしている。私はと云えば、こんなことではいつまでも片付かないのでやっぱりブックオフに持って行こうと思っている。【10月9日追記】こう書いた直後、先年近所に出来たブックオフに初めて持ち込んだ(これまではそこがブックオフに代わっていたことを知らなかったので、近隣市のブックオフ(3店舗くらい)に持ち込んでいた)のだが、値が付かなかった。同じくらい冊数の入ったもう1つの紙袋と合せても数十円(!)であった。まぁ、それでも置いておいても仕方がないのだけれども。