瑣事加減

2019年1月27日ダイアリーから移行。過去記事に文字化けがあります(徐々に修正中)。

美内すずえ『ガラスの仮面』(24)

 マヤの初恋の相手は「里茂」であるが、しばしば「里茂」と誤っている。
 芸名としては、面白い付け方なのかも知れないが、紛らわしいことこの上ない。
 初登場シーンは前回触れて置いた。単行本第13巻126頁5コマめで、AD渡辺クンにより「ああ 第6回から登場する里美茂だ」と初めて名前が持ち出されるが、以後175頁まで「里美さん」は頻出する。そして、単行本第13巻177頁文庫版第8巻215頁)4コマめ、マヤが里美茂の親衛隊に脅されるシーンで、親衛隊のリーダー洋子*1が次のように言う。

洋子:「だからみんな茂に熱あげてるけどじっとがまんしてるのよ/里見茂はわたし達みんなのもの/共演者だからってあんたみたいな新顔のガキにあんな態度とられるとわたし達の神経にさわるわけ!」


 ここが「里茂」の初出(?)である。文庫版第8巻215頁でも修正されておらず「里見茂」のままである。しかし、179186187頁ではまた「里美さん」になっている。
 ちなみにマヤが里美茂に赤面するシーン、単行本第13巻157頁文庫版第8巻195頁)1コマめ、マヤの異変に気付いた親衛隊の連中が騒いで、

親衛隊:キャー
親衛隊A:「なっ なによ なによ あの子/あたしの里美に!」
親衛隊B:「なにいってんの あたし達の里美にでしょう!」


 この後、いたたまれなくなったマヤが逃げ出し、単行本第13巻161頁文庫版第8巻199頁)2コマめ、もう一度親衛隊が登場する。

親衛隊:ギャー ギャー
親衛隊B:「あの子ったら里美に手を握られてまっ赤になったわ!」
親衛隊D:「なによ 共演してるのをいいことに!/カミソリ送ってやるわ!」

とあるが、これは前回指摘した「茂でいいよ みんなもそう呼んでるんだから」という里美茂本人の言に相違している。もちろん、他の箇所では彼女たちも単行本第13巻170頁文庫版第8巻208頁)1コマめ「茂うー!」・単行本第14巻47頁文庫版第8巻267頁)3コマめ「茂ーぅ!」などと言っており、ここの「里美」は異例である。それだけマヤの態度が衝撃的だったということか。
 それはともかく、単行本第13巻では177頁4コマめだけだった「里見」だが、単行本第14巻になるとこれが増えているのである。(以下続稿)

*1:単行本第14巻48頁6コマめ・49頁1コマめで仲間たちから「洋子!」と呼びかけられている。